今日の1曲―死んでしまったのだろうか―小日向千虎さん

今日の1曲シリーズの第2回です。今回紹介するのはVtuberグループハコネクト3期生、通称“ねりね組”の一員である小日向千虎こひなたちこさんによる「死んでしまったのだろうか」のカバー。

ハコネクトは音楽に特化したグループと言うよりはバラエティ色豊かなバーチャルタレント事務所と言った感じ。大手で言えばホロライブに近い形です。将来的にはライブ等のイベントを行いたいという目論見はあるのでしょうが、必ずしも全員が歌活動をメインにしているわけではありません。

小日向千虎さんはその中でも、「歌」という面で見ればひと際大きな存在感を放っています。歌配信では、自身の明るくポップなキャラクターが生きる曲から、しっとりと聴かせるバラードまで多彩な曲を歌い上げており、その歌唱力の高さはファンの間でも周知されています。

現在、「歌ってみた」に関してはコラボを含めると4曲出していますが、いずれも方向性が違い、聴き応えは抜群。少ない曲数ながら小日向千虎さんの歌声の魅力を知るには十分なものとなっています。ぜひとも、小日向千虎さんのことを知る入り口として、触れていただきたいですね。

夏の憂いを表現した楽曲

今回紹介する「死んでしまったのだろうか」は、季節で言うなら夏のイメージがある曲です。しかし、晴れやかな、と言うよりはどこか陰鬱とした憂いを感じさせます。これは夏に限ったことではありませんが、四季にはそれぞれ明るいイメージと共に表裏一体で暗いイメージも共存しています。夏真っ盛りは暑い暑いと言いながら、どこかウキウキとしてしまうものですが、朝晩が涼しくなり始める夏の終わり際には、どこか寂しさを覚えるものです。この曲は、そんな夏の寂しさ・もの悲しい気持ちに寄り添う楽曲と言えるでしょう。

MVを見ても色の数も少なく、もやがかかったような淡い色合いでまとめられています。そういったところからも、曲の雰囲気を感じ取ることが出来ますね。

淡々と歌い上げた末の爆発

この「歌ってみた」を聴いて感じるのは、淡々と歌い上げているな、ということ。小日向千虎さんは表情豊かに歌うイメージが強いのですが、この曲ではまるで感情を押し殺すかのように、静かに歌っています。

ただ、決して感情を込めずに「無」という訳ではなく、淡々と歌う中にもしっかりと「気持ちの揺れ」を感じることが出来ます。例えて言うならば、ギリギリまで膨らんだ風船のように、今にも破裂しそうな状態の感情を、見事に表現していますね。表では平然と振る舞いながら、心の中には鬱蒼とした思いを抱えていて、それが溢れないように必死で抑えている…そんな姿が思い浮かびます。

小日向千虎さんは、この辺りの微妙で繊細なニュアンスを表現する力が本当に優れていると感じます。感情の乗せ方が絶妙で、しっかりと歌詞に込められた意味、曲の意図を感じ取って表現することが出来る。歌い手としての才能に溢れているVtuberさんと言えますね。

そしてラスト。この曲の最後は“戻ることない失った日々を”というフレーズが3度繰り返されるのですが、その最後の最後でこれまで押し込めていた感情が一気に爆発します。この「歌ってみた」は全てがそこに集約されていると言ってもよく、一種のカタルシスのようなものがドッと押し寄せます。ぜひとも、視聴の際にはポイントとして注目していただきたいですね。

まとめ

今回は、小日向千虎さんの「死んでしまったのだろうか」を紹介していきました。繊細な感情表現が巧みで、そろそろ夏が終わりそうなこの少し悲しい時期にもピッタリと合う、そんな「歌ってみた」と言えます。どこか排他的な感じが、刺さる人には強く刺さるでしょう。

小日向千虎さんの歌声は魅力に溢れていて、将来ハコネクトが音楽関連のイベントを行った際には、きっと中心的な役割を果たすと思われます。グループの成長と共に、オリジナル曲等も出していくことが予測されるので、Vsinger好き、V音楽好きの方は今のうちにチェックしておくことをおすすめします。

また、小日向千虎さんは決して歌だけが魅力という訳ではなく、芸人的なムーブもこなすことができます。特にアドリブに強く、とりあえずで雑に振られても見事に対応できるので、そういった方面でも優れていると言えますね。その辺りは別の機会に紹介できたらと思います。

最後にチャンネルを貼っておくので気になった方は、ぜひチャンネル登録をお願いします!


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