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「ソノヘンニ・アルモンデ暮らし研究所」開所宣言

そのへんに、あるもんで。
もっと豊かに、もっと楽しく。

「ソノヘンニ・アルモンデ暮らし研究所」の開所をここに宣言する。

この国には、恵み(モノ)が溢れてる。

栗、柿、タケノコ、フキノトウといった季節の恵みだけじゃない。先人達が残した里山暮らしの知恵だけじゃない。

かつて誰かがどこかで作ったモノや買ったモノ、その大半が使われないまま眠っている。うちらの暮らしにまだまだ使えるモノたちが、ゴミとして今日も燃やされてる。

なのに、今日も遠いどこかで、モノは新しくジャンジャン作られ、すでにモノはこんなに溢れてるのにこんなに眠ってるのに、多くの人がバンバン新しくモノを買う。

「エコ」「オーガニック」「エシカル」なモノだから大丈夫。

ごめんなさいどうしても、そう思えない。

まだまだ使えるモノを眠らせたり燃やしたりしながら、新たにモノを作らせ買うことの、一体どこが「エコ」「オーガニック」「エシカル」なのか。どうしても理解ができない。


「アルモン」という資源

日本には資源がない、と言われる。だから輸入に頼るしかないんだ、と。

そんなことはない。資源はある。

その辺に溢れているのに眠っている「アルモン」、それこそがうちらの資源、暮らしの糧となりうる。

気づいてない人が多いが、日本はアルモン大国である。溢れているのに眠っているモノが多すぎる。とはいえアルモンは、溢れているがゆえにその得難さを見落としがちで、眠っているがゆえにその存在に気づきにくい。生まれた頃から風景の一部と化してるアルモンもことのほか多い。

だが目を懲らしさえすれば、アルモンはそこここに溢れてる。そこらじゅうに眠ってる。少しの技術を会得して、数人の仲間さえ見つければ、アルモンは生かせる。アルモンが資源に、場合によっては宝にもなる。

もっと言うとアルモンモノとは限らない。

今現在、たしかに在るのに、様々な事情で眠っていて生かされていない」のが、アルモンである。

だから、アルモンはモノばかりではない。ヒトや、ヒトの才能能力センスだって、アルモンに他ならない。

アルモン事例①:竹


具体的な話をしよう。

天然素材でいえば、竹は代表的なアルモンだ。かつては暮らしを支える中心的な素材として重宝されていたのに、プラスチックの登場とともに急速にアルモン化が進んだ。しかも竹は眠ってなどいない。放っておけば竹林から溢れ出し、人家を飲み込む。「竹害」とまで言われる所以だ。

アルモンである竹を生かすために、房総竹部というチームを2019年5月に立ち上げた。

瞬く間に竹の輪(これを竹輪という)は房総に広がり、いまや東京湾を超えて鎌倉にまでその輪は広がっている。竹の可能性を見直す人が急激に増え、竹を生かす技術の習得に多くの人が嬉々として勤しんでいる。

アルモン事例②:着物

衣食住のひとつである、衣。

ご存知の通り、衣の世界もアルモンだらけである。にも関わらず、今日も新品の服を買う人は多い。オーガニックコットンだろうがフェアトレードだろうが、ここまでアルモンだらけの状況で新たに衣類を作らせ買うことに違和感しかない。

アルモンとしてうちらがまず目をつけたのは、着物である

都会に住んでると実感しにくいが、3代が続けて住む家なら大抵タンスには大量の着物が眠っていて、遺品整理や古民家再生などで行き場を失った着物は日本全体で何億着とあるに違いない。

しかも着物はロックミシンが使われてることが少ないためほどきやすく、ほどいた後の布は四角のまま使われてることが多いため生かしやすい。

着物をほどいて、うちらが普段着られる衣類を作るのである

素材にはこだわらない。高級シルクであれ化学繊維であれ、アルモンはありがたく生かす。アルモンを生かすのに、余計なイデオロギーやポリシーは要らない。

「ナイモン」のために競う人たち

アルモンが見落とされ眠っている一方で、「ナイモン」を得るために、今日も熾烈な競争が繰り広げられてる。

ナイモン」とはつまり、「その辺(身の回り)では手に入らず、流通システムや貨幣システムを介して遠くから手に入れるモノ」の謂いである。

ナイモンは資本主義と相性がいい。資本は、希少性を人為的に作り出し、価値を無理やりに高め、システムを駆使して巧妙に利益を掠め取る。ナイモンを求めることをやめれば、資本主義は終焉するけど、ナイモンに慣れ親しみナイモンに依存しきった暮らしを送るうちらには、ナイモンから離れる選択肢はないように思える。

しかし、ナイモンは、ないのである

震災や台風被害などでシステムがダウンした途端、ナイモンはその名の通り、なくなる。わかりやすく姿を消す。ナイモンの虚構性の一端を、先の震災や台風被害でうちらは垣間見たはずだ。

とはいえナイモンを敵視したり全否定したところで、それで豊かに楽しく生きていけるとは思えない。そのくらいナイモンはうちらの暮らしの深部にまで入り込んでいるし、ナイモンが完全に悪だと断ずるつもりもない。

でもナイモンは、システムが破綻した途端、たちどころに手に入らなくなる可能性大なわけで、そんなナイモンに全面的に依存した暮らしはどう考えてもリスキーであるし、ナイモンに頼りっぱなしでは、せっかくその辺に溢れてるアルモンも眠りっぱなしで、勿体ない。そして何より、アルモンはその辺に溢れてる以上、競う必要がないし独占されるリスクもない。

だからナイモンはほどほどに、それこそ嗜む程度にして、アルモンを最大限に生かそう、という意思表明として、この開所宣言を長々書いているわけだ。

アルモンの無限のポテンシャル

ソノヘンニ・アルモンデ暮らし研究所は、まず上述の竹というアルモンを生かす「房総竹部」が2019年5月に一足先にスタートし、このたび2021年10月より着物というアルモンを生かす「アルモンデ縫製部」をスタートする。

木更津市草敷433に位置する当研究所は、築100年を超える古民家であり、部屋が9つあり、周りに広大な敷地を持つ。裏手にある広大な竹林についても、いくらでも活用していいと地権者からの了承を得ている。

竹、着物以外でも、アルモンを生かす志と技術を持った人は、ぜひ当研究所のフィールドで新たな部を立ち上げ、仲間を見つけ生業作りに励んでもらいたい。

具体的には、

・アルモンデ建築部
アルモンを生かして建物を建てる

・アルモンデ農業部
アルモンを生かして農作物を育てる

・アルモンデ食品部
アルモンを生かして食べ物を作る

・アルモンデスポーツ部
アルモンを生かしてスポーツを楽しむ

・アルモンデアート部
アルモンを生かして表現活動を行う

・アルモンデエネルギー部
アルモンを生かしてエネルギーを作る

などなど、いくらでも考えられる。アルモンが楽しく暮らしに活かせるのなら、基本分野は問わない。

そしていずれは部間でモノやコトをやりとりするアルモンデトレードを活発化させたい。ナイモンの代表格であるお金への依存度をなるべく下げて、アルモンが循環する世界を、少しずつ手の届く範囲から作っていく。


そのへんに、あるもんで。
もっと楽しく、もっと豊かに。

ソノヘンニ・アルモンデ暮らし研究所、少しでも興味があれば、ぜひ関わってみてほしい。


ソノヘンニ・アルモンデ暮らし研究所
篠田 絵美
菊地 佐和
石田 啓子
田崎 建

いつもご覧いただきありがとうございます。私の好きなバスキング(路上演奏)のように、投げ銭感覚でサポートしていただけたらとても励みになります。