落下の解剖学
落下の解剖学/ Anatomie d'une chute 2023年公開、フランスの映画でした。
以下ネタバレ含みます。
2時間半のなかで、事件をきっかけに夫婦や親子の人間関係が深く濃く炙り出される映画だった。
①男は自殺だったのか
物語中、事件に関する裁判の中で争点となったのは男が死んだ理由について、自殺なのかそれとも妻による他殺なのか。映像中でも真相はわからない。
私の意見ではこれは男性の自殺だったと思う。
でも、このストーリーを見ていると改めて”事実”というものは多面的だと思った。私たち映画を見ている観客は、登場人物たちより多くの場面を見ていたけど、それでも、夫の自殺が真実だと確信を持つことは難しかった。
結末が妻による他殺であっても正直納得できるストーリーだったな〜。
女性は不倫をしたこともあったし、子育てのこと、仕事に関しても夫との間に火種はいくらでもあった。夫婦であっても他人。誰だって長年連れ添ってきたならそういう歪みは抱えているんじゃないかな。そこの描写がリアルだった。だから、結末が妻によっての他殺であっても正直納得がいくと思ったのだ。
②息子の供述
ラストシーン、妻が無罪になったカギはやっぱり息子の供述だったのかなと思う。半年前、夫がアスピリン?を過剰に摂取した出来事、そしてそのあとの息子の父との会話の供述。息子だけが知っている事実とはいえ、物的証拠はないし、会話から汲み取れる父の様子(自殺願望)も少し行間を読みすぎているような気がした。この会話を証拠として加えたことで無罪の比重を強めることができたと思う。
それにしても、この会話から父は自殺するつもりだったと納得できるかな、個人的には難しい気がした。
③裁判辛ぇわ…
裁判が進むにつれて、傍聴者つまり他人には決して見られたくないような深いレイヤーの事実が露わになっていった。(口喧嘩の音声データとか、スクリプトにされたくなさすぎる〜〜。。)
裁判って無実になるためにも、まぁまぁ傷は負わないといけないみたい。めっちゃ大変そうやな〜。
サンタさんみたいな格好をした検察がまぁまぁ疑り深いというか、先入観入りの誘導尋問じみた発言もの標的にされる女性。事件とはかけ離れた昔のインタビュー記事まで掘りかえされて、無理くり繋げられて…
女性は作家として公に出ていた存在(夫も作家だが夫より売れていた)だったから、好奇の目でもみられていた。疑われるって辛い。。
さいごに
映画は2時間半と長かったので映画館でじっくり観れてよかったです!自分の人生とあまりにもかけ離れていてシンプルに没頭して楽しめました!!
以上になります。読んでくれてありがとう^_^
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?