長編連載小説 Huggers(30)
裕子は、自分には小倉が必要なのだと知る。裕子 5
ハガー協会の事務局から、沖本の後任を引き受けてくれないかという打診が来たとき、裕子はすぐには決められなかった。あまりにも思いがけない話であったし、自信もなく、何よりも、ハガー養成に携わるという大役を重荷に感じた。
ずっと、地味で目立たない存在として生きてきたし、それでいいと思っていた。注目されないかわりに気楽で自由で、その一方で看護師として常に誰かに必要とされ、誰かの役に立ちたいという欲求も満たされていた。だから自分の世