愛おしい。マズラーメン。

少し前、友達と昼から映画を見て、16時から3軒飲んだ。
とにかく素晴らしい映画で、感想を熱く語り合った。

「そろそろ帰ろうか」となったとき、駅までの道のりには、ラーメン屋さんがそれはもう沢山あった。

葛藤して数軒スルーしたあと、家系ラーメンのお店があった。かなり嬉しくなったので入った。
「僕たちはブラックホールを搭載したアンドロイド。何人たりとも止めることはできないのさ」
「千鳥足の赴くままに。それが人生ってやつだろう？」

ラーメンやすい…！！ライスも漬物も食べ放題…！

ラーメンまずい…！！ライス食うてる場合ちゃう…！

お店を出て、二人は無言だった。

「…美味しくは、なかったよな？」
のどの奥に張り付いたやさしさを、精一杯言葉にした。

「ラーメンではあった。ただ、それ以上のものではなかった」

普通ならムカつく。
でも、すっごい幸せだったんだよな。
素敵な映画を観て、美味しいものを食べて酔っ払って、美味しくないラーメンで締める。
きっとあのラーメンは忘れない。

なんだかとっても、趣深いや。

※画像はイメージです。きっと美味しいと思います