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ロストバゲージ、正確にはディレイドバゲージで得たもの

羽田に着いて、何気なくターンテーブルで荷物を待っていると、いつのまにか周りから人がいなくなり、ターンテーブルも止まった!!!
自分の荷物は?となり、急いでANAのカウンターに行く。
ところが、世界中のデータベースに問い合わせても、田谷様のお荷物はございませんとの返答。

今回の帰国は、シンガポールからクアラルンプールを経由して帰って来たので、おそらく僕の荷物はクアラルンプールで止まっているはず。
と思うものの、なすすべなくとりあえず諦めて都内のホテルに。
カウンターのお姉さんには、夜中でも良いので分かり次第連絡をくださいと言い残しました。

常にロストバゲージの可能性を考えて、預け入れ荷物も工夫をしておけば良かったと、かなり後悔です。
スーツ、革靴、ネクタイ、私服、ここ1ヶ月半で出会った人の名刺、書類、常備薬、時計……。
1ヶ月半出張に出ているので、かなりの量の身の回り品が、自分の手元から一瞬にして消える可能性に、唖然としました。
(輪島塗の品々は別のスーツケースに詰めて運んでいるのですが、そちらはちゃんと戻ってきました)

眠れない時間を過ごしていると、ANAのスタッフから本当に夜中に電話がかかってきて、その対応に感動しました。

「この度は、ご不安な思いをおかけし、またご不便をおかけしましたことを、まず心よりお詫び申し上げます。
クアラルンプールの現地スタッフが必死に捜索したところ、田谷様のお荷物を見つけることができました。
明日の夜10時に到着する便で日本に入り、それから4時間以内に、ご宿泊先のホテルまでお届けします。
お仕事に支障が出てしまったこと、大変申し訳ありませんでした。」

まずは、「明日から仕事ができない」とカウンターで少し文句を言ってしまった自分の小ささを反省。
それから、おそらくクアラルンプールの空港スタッフのミスにも関わらず、相手の気持ちに立って迅速に対応してくれた、ANAのスタッフがすごいと思いました。
少しでも早く届けるために、夜中に僕が宿泊しているホテルのフロントに荷物を預けておきますと言われたことも、驚きです。

この経験から何を学んだかと言うと、リスクマネージメントと、ミスが起きた後の対応の仕方です。

常にリスクを想定する必要があり、荷物をひとまとめにしてはいけないと感じました。
それから、乗り換え時間の短いトランジットの航路も避けた方が良さそうです。
乗り換え時間が短いと、自分は次の飛行機に乗れても荷物は次の飛行機に乗れない可能性があるからです。

あと、航空会社が加盟しているグループも統一したほうがいいと感じました。
今回、シンガポールからクアラルンプールまでは、マレーシア航空でスターアライアンスグループ。
クアラルンプールから羽田までは、ANAでワンワールドグループ。
そのせいで荷物の連携がうまくいかなかったのかもしれないと思うからです。

イメージ力があれば、起きそうなリスクは把握できたなあと思います。

自分もおそらく塗師屋としてミスをすることがあると思います。
でも、その際にお客様がどんな気持ちなのか、何を考えておられ、何を望んでおられるのか、相手側に立つ必要があります。
それから、原因究明を急ぎ、迅速に対応する。
もちろんノーミスがベストですが、人間としてミスが起きた時に正しくありたいと思いました。

ロストバゲージにも2種類あるようです。
本当に戻ってこないロストバゲージと、今回のように戻ってくるディレイドバゲージ。

電話がかかってくるまで、ANAの補償規約や、クレジットカードの付帯保険ばかり見ていました。
イライラしながら。
でも、振り返ってみると、そんなイライラより荷物が一度無くなったおかげで、得たものがとても大きかった。
自分にとっては素晴らしい経験になったと思います。

明日1日、シンガポールから着てきた東京では少し肌寒い格好と、2日間同じ下着だということぐらいは我慢しよ。

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