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ドリームウォッチ 漆

今日は久々ですが、塗師屋の話です。
以前より、九州の会社ワンチャー様の仕事をさせていただいておりました。
海外に漆塗りの万年筆を輸出するプロジェクトで、3年ほどのお付き合いになります。
このプロジェクトが楽しくて仕方なかったのですが、今回新しく共同で腕時計を作りました。
3年前に感じたことと同じですが、新しいモノを作るのはやっぱりワクワクします。

時計の文字盤に漆?となるかもしれませんが、金属の文字盤に漆を塗っています。
漆は木にしか塗れないと思っている方が多いかもしれませんが、実は緩和剤を用いれば、その上に天然漆の塗装ができます。

ただ、今回の時計の文字盤は初の試みで、やってみて気付いたこともあります。試作を作るのに1年ほどかかりました。
漆って均一に塗ったつもりでも、実はかなりムラがあり、そのムラを研いで均一にしていきます。この作業が非常に手間隙がかかり、面一の綺麗な面を作るのは骨が折れます。均一な面でないと、文字盤のガラス越しから波を打ったように見え、輪島のクオリティーとは言えないからです。
塗っては研いでを繰り返し、やっと仕上がった文字盤。
漆を分厚く塗りすぎると、今度は時計の針が回らないので、そこも心配でした。
それから、肝心なことが一つ。
インデックスでした。
インデックスの位置が少しでもズレると針がしっかりと時間を示さなくなるので、ミリ以下の単位までの作業で、インデックスを作りました。

綺麗に塗り上げた漆の表面に貝を蒔き、螺鈿で仕上げてあります。
インデックスも螺鈿です。
螺鈿は、古来より貴重な美術品に用いられてきました。
時を超えて、現代でも時計の文字盤で時間を刻み続けることに、少し感慨深いものがあります。

沢山の人の腕の上で、漆器らしい光沢と螺鈿の輝きが、正確に時を刻んでくれたら、最高です。

ワンチャーさんの腕時計のプロジェクトは、マクアケで見れます。
ドリームウォッチ漆でマクアケ内で検索してください。

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