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田谷漆器店の蔵でお宝発見!びっくりな値段でした

久々に蔵に入りました。
お客様に宝石箱が見たいと言われ、一番良いものをお見せしたいと探しに入りました。

蔵は直射日光が入らず、乾燥しないように調節されています。
入った瞬間に、漆の香りがホワッと漂います。
生まれた時から慣れしたしんだこの香り、なんか落ち着くなぁ。
でも、お客様の中には塗りたての漆の香りが苦手な方もいらっしゃいます。
もし漆の香りが苦手な方は、輪島塗を箱から出して置いて放置しておくと、自然と香りは無くなりますよ。

話が脱線しましたが、見つけました。
すごい作品。
昭和の時代からうちにある宝石箱。
桐箱の外に巻いてある茶色の紙には、「輪島塗宝石箱 牡丹蒔絵 一良作」と書いてあります。

まさか、桜井一良の作品?と思い、開けてみたらやはり桜井一良のものでした。
桜井一良は、昭和を代表する輪島の蒔絵師で、大胆な構図と色使いが特徴です。

おそらく元々は短冊入れだったのだと思いますが、現代に合わせて、平成に入ってから中を宝石箱仕様に加工したのだと思います。

それにしても短冊入れを宝石箱にアレンジするとは!昔の田谷漆器店の営業マンは、やるなぁと思いました。
横長の宝石箱はよく見る形のものと違い、モダンさがあります。
蒔絵も桜井一良のものなので、古さが感じられず、華やかで美しい。

横40×縦14×高8㎝なので、それなりの量が入り、指輪立ても3列付いているので、使いやすそうです。
女性になって想像してみました。笑

こんな素晴らしい蒔絵を描ける桜井一良は既に他界しており、もう二度と描いてはくれません。
思いを込めて作った作品が、自分が死んだ後も輝き続けるという職人の世界は、やっぱり素敵だと感じました。

少し感動した後に、ちなみにいくらかなと思って在庫帳を見てみたら、270万円!!!!!
よく言われますが、良いものは高い!
でも、今となっては作れないという価値と、この桜井ワールドを手にするとなれば、そんなに高くないのかもしれません。

昭和、平成、令和と時代をまたいだこの宝石箱は、どこにお嫁入りするのでしょう?
少し親のような気持ちになりました。

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