_田端大学_7月度プレゼン資料

【売れるもマーケ当たるもマーケ】一番手の法則 SONYα7のケーススタディ

 先日の田端さんのオンラインサロンの勉強会で発表した内容を外部向けにもまとめてみます。

今回の勉強会のお題は、書籍 売れるもマーケ 当たるもマーケに関するものでした。事前に本を読んだ上で、自分が正しいと思う内容とそのケースに一致する製品の紹介・逆に反すると思うケースの紹介というものです。勉強会では、それらの中から1〜3つほど選びプレゼンを行いました。

私はSONYのα7というフルサイズミラーレスカメラが一番手の法則に一致するという内容でプレゼンを行いました。以下プレゼンの内容です。

1番手の法則とは

一番手の法則とは、他に優っていることよりも、先陣を切ることの方が大切であるという法則です。大西洋横断に二番目に成功したのはバート・ヒンクラーですが、多くの人は知りません。一般的に知られているのは一番手であったリンドバーグです。ヒンクラーの方が飛行のスコアとしては上でしたが、それでも認知率はリンドバーグの方が圧倒的に高いです。

この一番手の法則とは、内容の善し悪しよりも競合より先にプロダクトやサービスを出すことが大衆の心を掴むうえでは重要という法則なのです。

α7が発売した2013年のカメラ勢力図

ここからが私の発表の内容です。取り上げた製品はSONYのα7。

時は2013年プロ用のカメラはCanonとNikonがほぼ独占しておりました。CanonとNikonが出していたのは、ゴツくて重い一眼レフカメラです。OLYMPUSやFujifilmなどの他のメーカーは主にミラーレスカメラを販売しておりました。ミラーレスカメラの特徴は、軽くて女性でも扱えるという点です。一部ハイエンドのミラーレスカメラも販売していましたが、主力製品は女性向けのミラーレスカメラです。宮崎あおいのCMが皆さんの記憶に残っていると思います。

この時、どのメーカーもフルサイズのミラーレスカメラはどこにも需要が無いと思っていました。その中でフルサイズセンサーのミラーレスカメラを投入してきたのがSONYです。

フルサイズとかミラーレスって何?

フルサイズとは

フルサイズとはカメラの内部に入っている撮像素子のサイズのことです。

フルサイズ(プロ・ハイアマチュア向け)以外に大判(超プロ向け)・中判(プロ向け)・APS-C(主に初心者向け・バードフォトグラファーも使っている)・フォーサーズ(OLYMPUSやPanasonicのミラーレス機)・1型(コンデジ)があります。大判・中判を除いた序列では、フルサイズ→APS-C→フォーサーズ→1型となります。

センサーサイズは大きければ大きいほど、取り込める光の量が多くなるため綺麗なボケの写真が撮れたり暗い場所に強いなどのメリットがあります。

ミラーレスとは

通常の一眼レフカメラの中には、レンズの光を反射してファインダーに送るためのミラーが入っています。ミラーレスカメラはこのミラーを取り除いて、直接撮像素子(センサー)に光を送るというものです。一眼レフカメラでは、ファインダーを覗けば電源がついていなくてもレンズの先の風景が見えますが、ミラーレスカメラは、電源が付いていないければレンズの先の風景を見ることができません。センサーに映った画をファインダーの中のEVFと言われる小さなディスプレイに映しているからです。

その後SONYはどうしたのか?

SONYはα7のリリース後、立て続けに製品のアップデートを繰り返していきました。α7は、操作性が悪い・バッテリーの持ちが悪い・レンズが少ない・記録カードが一枚しか入らないなどのデメリットがあったため、購入したのは殆どがイノベーター・アーリーアダプター層でした。しかし、その後α7Ⅱ、α7Ⅲとアップデートを重ね、徐々に市場を伸ばしていきました。

特に転換点となったのは、α9とα7RⅢです。α9はオリンピック競技の撮影にも耐えうる高速シャッターを備えた高級機です。また、α7RⅢは、プロ使用での課題であった記録カードの二枚対応・バッテリーの改良・瞳AF(被写体の瞳に一発でフォーカスを合わせる機能)の強化と盛り沢山の改良を行いました。

その結果

α7RⅢの発売に併せて、多くのプロフォトグラファー達がSONYに乗り換えていきました。スライドの中では、サイトに掲載されている方だけを記載していますが、私が好きなカメラマンですと、光の魔術師イルコアレクサンドロフさんやサンセットスタジオのダイスケさんらもSONYに乗り換えています。

ちなみにこの発表を行ったのは1週間前ですが、つい数日前にNikonがフルサイズのミラーレス機を開発していることを正式に発表しました。Canonはまだ動きを見せていません。

今後どうなるのか?

カメラを使う上では、本体以外にレンズを購入する必要があります。そしてレンズはボディのメーカーごとに規格が異なるため、メーカーを変えるとなるとレンズも全て変える必要があります。つまり、今回SONYに乗り換えたプロカメラマンたちは、メーカーを戻すとしても100万円〜200万円ほどの支出を行う必要があります。

よって、今後もSONYが優勢な状況は続くのではないかと考えています。この結果となったのはSONYが市場で一番最初にフルサイズのミラーレス機を出すことが出来たからだと言えます。逆にCanonが出していたら状況は大きく変わったと思っています。

プレゼンのレビュー

事前に資料を提出した時点で好評を頂いたのでプレゼンとしての出来はまあまあだったかなと思っています。プレゼン前にビール二本飲んだのは間違いでしたが…。

また、α7の事例は、カテゴリの法則(そのカテゴリで勝てないと思ったら切り口を変える)にも当てはまるマーケティングの非常に良い事例だというコメントを頂きました!確かにSONYが一眼レフカメラを出していたとしてもCanonに勝つことは出来なかったと思います。今後のSONYに期待大です。

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