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ふくじん日記

腎癌に引き続き、副腎腫瘍が発覚しました。前回と同じように備忘録兼ねて、ことの顛末を書き記しておきたいと思います。

腎癌についてはこちらをご覧下さい。
https://note.com/taxikaw/n/n377b3d57ed2c

腎癌その後:
術後1ヶ月の検診でお許しも出たのでお酒も解禁、2ヶ月後には体幹中心の筋トレや、スロー/ショートディスタンスながらランニングも再開。ほぼ通常の?コロナ自粛生活を過ごす。

術後3ヶ月検診:
5/23 約50日ぶりに電車に乗って都心へ。この頃はまだ首都圏の非常事態宣言は解除されておらず、電車の中もまばらな感じ。いつも通り採血、採尿、造影剤入りCT検査。問題なく終わる。お願いしていたガン保険申請用の診断書をピックアップして、コロナが怖いのでそそくさと家路に着く。

モヤモヤが晴れた:
5/27 結果を聞きに外来へ。T先生、開口一番、右の副腎に所見があるとコメント。元々昨年末に右の背中が痛んで結石だと思って救急搬送された時、出血の為にモヤモヤして見えなかった部分が今回晴れ、当初の見立て通り副腎腫瘍の様だとのこと。念の為PET検査しましょうと言われる。
PET検査は、ガン細胞がやたらと糖分を吸収する性質がある事を利用して、予めブドウ糖を投与して糖が集まる部位を特定する検査。脳や肺、胃以外の部位に有効とのこと。

PET検査:
5/29 緊急事態宣言解除直後のやや混み出した電車に乗って病院へ。ブドウ糖を投与された後、全身に回るまでリクライニングシートで水を飲みながらゆっくりと待つ。
時間で呼ばれて装置へ。CTより長めのトンネルで、かつ両手両足を固定されるので閉所恐怖症を発症しないか心配したが、なんとか無事に終わる。

手術確定:
6/3 外来へ。今度も開口一番、やはり副腎腫瘍でほぼ間違いないですねと告げられる。こういうことをストレートに淡々と伝えてくれるT先生はいい。コロナの影響で不要不急の手術が減っている為、手術は最速で18日に可能、今回もT先生執刀との事で、スケジュールを確定。手術前に必要な採血や心電図、肺活量などを検査して帰宅。

手術前検査:
6/12 術前検査。口腔外科、麻酔科のヒヤリングの後、T先生から手術の説明。聞き逃しが嫌なので、カミさんにも電話で参加してもらう。先生も快く応じてくれた。
今回は副腎の摘出手術。前回と違ってロボットを使わない人間による腹腔鏡手術。症例も多く、特に問題はなさそうだが、出血していたので他臓器との癒着の可能性はあるだろうとの事。前回と同じく、途中で開腹したり輸血したりする可能性があることが告げられる。了承。
最後にPCR検査へ。これに受からないと入院させてもらえない。今は使われてなさそうな古くて暗い病棟の個室に1人づつ案内され、完全防護服の看護師に長い綿棒で鼻の奥底をグリグリ、左右両方。激しい痛みとくしゃみしたくなるいやーな感じ。

入院:
6/17 コロナの影響で付き添いが入れない為、一人で病院へ。家の玄関先でカミさんと娘が交互に握手と肩ハグして見送ってくれる。
入院受付、結構な混雑で30分ほど待たされる。感染症認定医療機関でないからか、ここだけは普段どおりの混んだ病院という感じ。
ようやく受け付けてもらって病室へ。なんと、前回と同じフロアの同じ部屋、同じベット。行きつけかよ。
持ってきたものを引き出しやロッカーにしまい、ベットに落ち着くと、看護師さんやら薬剤師さんやらが交互にやってきて対応してくれる。昼ごはん食べてトイレに向かうとT先生にバッタリ。明日よろしく、終わったらカミさんの携帯へ連絡お願いしますとあいさつする。横浜マラソンのTシャツに反応してくれる。
シャワー浴びて、晩ご飯食べて、下剤飲んで就寝。すんなりと眠る。

手術当日(前編):
目覚めよし。今回は朝イチではないので余裕もあり、排便もスムーズ。今回は右の手術で左下で寝ることが多くなるだろうということで、点滴は右腕に入れてもらう。
10時過ぎ、カミさんが病院に向かっているとLINEを送ってきた。いつも万が一を想定し、その時できる最大限のことをやる、カミさんならでは行動か。頭が下がる。
手術は12:30位になりそうとの事だったが、一向に呼びに来ない。そのうちカミさんが病院に着き、病室の窓と前の広場で手を振り合って動画の撮り合い。TVでよく見たコロナで隔離されたカップルみたい。まぁある意味コロナが原因ではあるけれど。
13:15に看護師がやってきて13:30から手術と。急いで手術着に着替え、弾性ストッキングを履いてスタンバイ。カミさんとは窓越しにバイバイ。

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付き添いの看護師さんが、手術室への道すがら、身長高いですねだの、スポーツ何やってるんですかだの、色々聞いてきてくれる。緊張を和らげようとしてくれている様子。
手術室前の待機室に4人くらい待っている。程なく通され、手術内容を自分で言わされた後、これまた前回と同じ11番手術室へ。前回お世話になったダヴィンチ君が静かに佇んでいる。なんか、ちょっと前にTVで見たターミネーターに出てくる二足歩行しないT-なんちゃらに見える。
台の上に乗せられ、色々繋がれていく。自分でして行ったマスクそのままの上から酸素マスクつけられて、苦しいので外してって言うといやこのままでと。顎を使ってマスクをずらし鼻先だけ出す。
今回は麻酔の先生からあまり説明なく、この辺で意識途切れる・・・

手術当日(後編):
・・・夢の中で、何人かの人と揉め合ってる。あれこれやってるうちに、あ、息できないじゃん、苦しいじゃん、と思って起き上がろうとすると、揉め合ってる人達に押さえつけられる。そのうち、大丈夫ですよー、とか終わってますからねーと聞こえて、あ、手術が終わったんだと気づく。恐怖から肩で息してハーハー。なんと寝覚めの悪いことか。
ガチャガチャと機材を外され、ベッドに移される。寒くなってガタガタ震えるのは、手術後いつものお決まりか。手術室出る時に時計の針が17:05を指していた。3.5時間だとまあまあ順調かなとパニクっている割には意外と冷静に考える。
部屋まで連れて行かれるが、もちろんカミさんは居なくて、代わりに手術室まで付き添ってくれた看護師さんが出迎えてくれる。
さて、ここからが本番。酸素マスクの息苦しさ、寝返りしようにもなかなかできなくて背中や腰が痛くなる苦しさ、そして尿カテの違和感…。ところが今回は色んなことが奏功して意外と楽に。
まずマスク。部屋に着くなり看護師さんが自前マスクをとってくれた後、酸素マスクをつけ直してくれた位置がピッタシ鼻骨にハマり、苦しくない。それどころか、清らかな空気がスースー入ってくる感じで気持ちいい。むしろ取り外してもらった後に鼻詰まり気味になる。
寝返りは、前の日に予め頼んで置いた追加の枕がビンゴ。ベッドは上げられないが、枕2段は怒られないので、しれっと重ねて横向きに寝るといつもの睡眠態勢に。さらにもう一個追加して膝の間に挟めば完璧。
尿カテはなぜか今回ほとんど不快感なし。その答えは翌日判明。
そして何よりも良かったのは手術開始時刻。前回は朝一だったので、終わったのがお昼くらい。それから翌朝まで安静だったのに対し、今回は夕方からだったのですんなりと夜に入り寝ることができた。予め、22時に入眠剤の投与も頼んでおいたので、朝までほとんどストレスなしで済んだ。

手術翌日:
何回か目が覚めたものの、6時の放送で程なくして看護師さんが現れ、ベッドを立ててくれる。水を二口、この水がンマイんだよねーとの独り言に看護師さんが相槌を打ってくれる。
10時過ぎ、日勤の看護師さんが来て、歩行練習。スッと立ってサッサと歩くのでビックリされる。廊下で前日担当してくれた看護師さんとすれ違い、昨日手術した人とは思えないですぅ!と声かけられる。
トイレまで歩けたので尿カテ抜去。ここで今回違和感がなかった理由が判明。前回に比べ、挿入深度がえらく深い。多分2〜3cmは違うので、前回の様に先っぽで常に尿漏れしながら我慢している感じが全くなかった。もし次回(もうやりたくないが)手術することがあれば、事前にお願いしてみよう。
下肢マッサージ器も外され、弾性ストッキングを脱がしてもらう。今回は持って帰りますか?と聞かれる。どうやら菜々緒のメディキュットの影響で欲しがる人が多い様だ。自分はマラソン用でゲーター2セット持っているので断る。(でも後になって、貰えるもんなら貰っとけばとも思った)
昼食。前回は間違えて普通食だったが、今回は予定通り全がゆ。ここで改めて、味のない白かゆは苦手だと悟る。濃いめの味付けのおかずと一緒に掻き込む。
レントゲン、前回は車椅子で連れて行ってくれたが、今回は大丈夫ですよね?と言われて単独自立歩行で。
午後から飲水と排尿量を記録させられる。今回は前回にも増して排尿量が半端ない。飲んだ量の2倍以上。看護師さんによると、手術時に大量の点滴を入れるので、どんどん出るのはいいことだと。しかし、検量カップが500ccしか無くていつも溢れそうになるので緊張する。
夕方、T先生登場。手術は極めて順調だったと聞かされる。癒着はあるにはあったが、取りにくい類のものでは無く、すんなりと2時間くらいで終わったと。輸血もなく、出血も10ccくらいだったとの事。先生の腕にも感謝。
夜、普通食のご飯を食べて、就寝。昼ごはんくらいから食べた後に痛みが強くなる傾向にあるので22時に痛み止めの投与を頼む。変に我慢して眠れなくなるよりマシと考える。今回、肩こりが酷い。娘が腹腔鏡手術受けたときに言っていたのと同じ症状。

手術翌々日:
朝から快調。前日に出た痛みもあまり感じない。朝からやることがないのでウロウロしたり、このノート書いたり。
昼食後、最後の点滴が終わり、針を抜いてもらって更に解放感。あとは患者IDのリストバンドを残すのみ。前回同様、自分へのご褒美に自販機で買ったペットボトルのコーヒーをいただく。
シャワーを浴びて傷口を見ると結構グロい。これで腹回りの刺し傷は合計9個。ゴルフ場のお風呂でご遠慮下さいって言われるかも💦
風呂上りに窓際のエアコン吹き出し口で涼んでいると斎藤工似の医局の先生が登場し、立ったまま会話。血液検査の結果も問題ないし、元気よく歩いているので予定通り明日退院と。次回外来はT先生の予定が混み合っているので別途連絡となった。病理検査結果が出る2週間後ぐらいになるとの事。
夜、ご飯食べて歯を磨いて、テレビ見て過ごす。痛みもほとんど感じず快調。
22時の消灯で、ベッドをフラットにしてみると、どっちを下にしても傷を圧迫する感じがして寝付けない。やはり痛み止めの効果は凄いなと思いつつ、もう点滴外してるので気軽に頼むわけには行かないことを再認識。繋がれっぱなしのウザさはあるけど、点滴ってやっぱり便利と改めて感じた。
ウトウトし始めたところで同室のお兄ちゃんのイビキ爆音開始。時計を見ると2時。トイレに行って寝ようとするが、爆音のdBは上がる一方。満を辞して持参してきた耳栓をつけると同時に鳴り止む。ホント、こういうのどうにかならんものか?入院して、ゆっくり静養のつもりが、逆にストレスじゃん。ナースコール呼んだらなんとかしてくれるのかとか色々考えているうちに寝落ち。

退院日:
寝不足ながら目覚め、朝ご飯食べて顔洗って歯を磨いたら撤収準備。今回、テーブルタップ持参して携帯二個の充電を続けてきたが、気づいたらベッドのキャスターで踏まれててコードの一部が凹んでる。危なくショートするところだった。
カミさん到着、入り口でスタンバイ。退院後10日分の痛み止め&胃薬を貰い、退院。
帰路も足取りふらつくようなこともなく、極めて普通に歩ける。地元のスーパーで、自分へのご褒美にちょっと値の張る海鮮丼を購入。
この日は父の日。娘から、テレワークでのWEB会議に映えるようにと明るい柄のポロシャツとお手紙を貰う。夜にはケーキでお祝い。

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退院後の日々:
退院後は大きな問題もなく、前回ほどの痛みも感じず、退院後1週間で痛み止めの服用もやめ、夜寝るときに右を下にしても痛くなくなっていた。
ただ、傷口は4つともボッコリと盛り上がってて大きい。ロボットより小さいんじゃなかったっけ?
病理検査結果のまえに、もう一度副腎腫瘍についてネットで調べてみる。先生の言葉の端々から、何となく単純な副腎腫瘍ではない気がする。実際、副腎腫瘍で痛みを感じたり出血したりという例はどこにも見当たらず、普通は無症状のまま何かのついでで偶然に見つかるか、副腎が分泌するホルモン系の数値がおかしいことから見つかることが多い様子。
では、副腎ガンで検索すると、それはかなりのレアケースで、罹患率は100万人に2人とある。レアケースが故にあまり症例数がないということもあるが、実際には予後のよろしくない類のガンとされ、フランスのデータではステージ1でも5年後の生存率が60%とかなり悪い。

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この辺から一気に気が重くなり、良からぬことを色々考え始める。が、どちらにしても手術での副腎の切除が既に終わっているという、今取りうるベストの対処がもう終わっているので、あとは祈るしかないと自分に言い聞かせる。必要以上に心配かけたり、同情や励ましの言葉を考えさせることが嫌だったので、家族を含め、身近な人にもあまりこのことを積極的に話す事はしないようにした。
病理検査結果を聞く外来の前日、予め先生に聞くことリストを作成しておく。

病理検査結果:
7/3 外来へ。この日の予定は採尿/採血を済ませた上でT先生の診察(病理検査結果の告知)。ところが当日、いつもの採尿/採血センターではなく、ケアルームとなっていることに気づく。行ってみると案の定、間違えていたらしく、T先生の予約時間と同じ9:00からしか開かない。
仕方がないので先に書類受付に行き、医療保険申請のための書類記入を申し込みに行く。
ケアルームに戻って呼ばれるのを待っていると、看護師が出てきて訝しげに、コレ、先生の指示でここに来るように言われたんですかと聞かれる。いえ、退院の時に病棟で看護師さんに言われ・・・あ、T先生!と、前を横切るT先生を指差すと、オレそんなこと言ってないよ!と即答。この間髪入れないやりとりが面白かった。
ようやく採尿採血が終わり、予定より1時間以上オーバーして診察室へ。
まず、傷口を見てあー問題ないですね、このポッコリしたのはじきに治るでしょうと。
そして本題、病理検査結果は良性でしたと、先生も驚いた様子で話してくれた。
・・・よかったぁ!心の底から声が出た。
先生も転移だと想定してたようで、もしそうならステージ4でしたよと。
ステージ4って、、、先のフランスのデータで言うと5年後の生存率は0%!!もう、地獄の淵から蘇ったくらいの衝撃、からの安堵。
最後にご飯とかお風呂とか運動とか、あとお酒とかは大丈夫ですかねと聞くと、ニッコリ笑って、もう無制限でオッケーです!と。
この解放感たるや、ここ最近では記憶にない!
次の診察は6ヶ月後と言うことで予約を入れて、もう一度先生にお礼を言って診察室を出る。多分、待合室で暗い気持ちで待ってる人達からすると、アイツ何ニヤニヤしてんだ?と思われたかもしれないくらいニヤついていたかも。
入院病棟で手術・入院代を支払って病院を後にする。帰りの電車の中で早速ビール1ケースを楽天でポチり。

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