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コーチング (メモ1)


コーチングをCognitive Science(認知科学)の理論により紐解きながら学び始めました。自分の頭の整理を兼ねて、ざっくりまとめたいと思います。

1.私の学ぶコーチングが目指す生き方

 一言で平たくまとめれば、「主体性を最大限発揮し続ける生き方」
これに加えて、学んでいる用語を使うと「現状の外に作るゴールに向かって挑戦し続ける生き方」です。
 この考え方で特に面白いのは、以下の2つでした。

① 主体性と自主性を明確に分け、前者のみの発揮を良しとすること。
② 「今のままがいけば十分に起こりうる、頑張れば実現しそうな未来」は「現状」

① 主体性と自主性

 「主体性」も「自主性」も、人が積極的であるとか意欲的だという意味で多用されています、が、2単語は、行動の源泉となる権威を自己とするか、他者(問わない)とするかという大きな違いがありました。
 日本の学校教育で躾けられるのは、もっぱら教員の言われたことに自分から取り組む「自主性」であり、児童生徒が「主体性」を身につけた日には、たちまち時間割は守られず、教員は反発され、学校の秩序は保たれなくなってしまうというイメージでしょうか。(主体的に授業に参加する子どももいると思いますが)
 私の学ぶコーチングでは、人のポテンシャルが最大限発揮されるのは
「主体性」=本人が心からやりたいと思っていること 
によって行動している時だという前提に立っています。そのため、主体性が発揮され続ける人生を、自分にも周りにも良しとしています。何よりこれからの世界、日本において、主体性を発揮できない生き方は自分も窮屈かつ社会の変化に適応できなくなる危険な在り方ではないかと個人的にも感じとります。

② 「現状の外」の意味

 ここでは、「現状」=「現在と同じように過ごせば十分に起こりうると予測される未来」と定義されています。したがって、高い目標を掲げている人がいたとしても、私の学ぶコーチングから見ると「将来の現状」に過ぎない、とみなされることもあるということです。厳しいし直感に反しますね。

 では何が「現状の外」なのかというと、ほぼ裏返しですが「今のまま過ごしていては到達しえない未来」です。ただ、そんなものをゴールとして設定するからには、単に現実離れしているということではなく、自分が心から惚れ込んで目指したいこと、かつ、想像するとぞくっとするような恐怖や不安を感じられる程度にリアリティがあることが重要になります。

2.挑戦的な生き方を目指す理由

 とはいえ、生来人間には何の義務も課せられておらず、生きる意味は個々人が決め納得していればそれで良いものだと思います。そのうえで、私の学ぶコーチングがこのような生き方を理想とするのは、

① 人間には「今、ここにない」ものを生み出す力がある
と同時に、
② ゴールを設定しなければ挑戦すらできない頭の構造になっている

からです。この辺り習ったことをばくっと書いているので、もし皆さんが知っている研究と違うといったことがあれば教えてください。

① 人間にしかないシミュレーションの力

 人間は脳の発達によって世界を支配するに至った特殊な生物ですが、その特殊性の最たるものが前頭前野によるシミュレーション能力と言語です。シミュレーションができるということは、経験のないこと、考えたことのないことも思考に収め、脳みそ(情報空間)の中で行動できます(よね?)。
 加えて言語があることで、各時代の巨匠が考えたことを、私たちは容易く追跡、理解することができます。

 面白いのは、思考は肉体と異なり物理的な制約を受けない為、言語同様「抽象度を上げる」といったことが可能で、しかも脳は自分にとって優先順位の高いものだけを認識・思考する特性(RASとスコトーマ)を持っているということです。そのため、抽象的でも、達成方法が分からなくても、自分が心から取り組みたいと思うゴールを設定すれば、勝手に脳が自分の周りにある大事な情報をキャッチしながらシミュレーションを始めて、あたかも経験したことのあるかのようにふるまい始めるそうです。(すごい)

② 現状ではチャレンジできない頭の構造

 ここまで書くと人間の脳が大変都合のいい仕組みに見えます。脳が優先順位を決めてくれるのに、わざわざゴールを現状の外に設定しないといけない理由は、人間の知識の蓄積方法にあります。
 というのも、人間は「過去(経験)」を失敗例・失敗経験を土台にして世界観を作るようにできているんだそうです。
 確かに石器時代、「狩りのイメージはばっちりだぜ!」と飛び込む集団と、「この間仲間が襲われたように、草陰から肉食獣が襲ってきたら…群れが復讐にやってきたら…」と慎重に進む集団であれば、後者が生存、生き物全体として悲観的になるのは自然な流れであるように思われます。

 余談ながら日本人は遺伝的に欧米と比較し、この悲観的な傾向を持ち合わせている割合が高いんだそうです。根暗なのは進化の結果、繊細な幸福感を持てる証というのは私にとって新しい発見でした。

 ということで、人間が構造上、過去の失敗経験から知識を引き出してしまうのであれば、蓄積がない=経験したことのない世界に自分を位置付けてしまえば、制約なく脳がシミュレーションできるようになる、というのが現状の外にゴールを置こうと考える意図です。逆に、ゴールを何も設定していなければ、脳は昨日と今日と同じ優先順位で機能し、失敗を避け、現状維持を続けることになります。

3.私が目指すコーチとは

 というわけで、私の学ぶコーチングでは、上記のような挑戦と生き方を自分が体現し、同じように挑戦を目指す人を後押しし続けることを目指しています。未来の可能性を信じる分、現状維持しようとする目の前の相手には非情と思われても介入する必要があるので、企業研修などで学ぶ「共感・傾聴」をベースにしたコーチングとは全くスタンスが異なります。

 元々私自身がこのコーチングに触れたのは、HR Techや企業研修的な事業のネタにしたかったからなので、学び始めた率直な感想は、「ひえ~こりゃ大変なこっちゃ。こんなこと社員にやらせる大企業あるんかいな」です。
が、仕事でどういう価値提供をするのであれ、自分や人のポテンシャルを最大限発揮させる仕組みを学び挑戦を行うことはプラスにしかならないので、引き続き吸収して参ります。

 今回の記事ではゴールの設定って人間のポテンシャル発揮に大事なんだという趣旨がメインでしたが、何となく設定するだけではもちろん何も起きないので、設定の仕方とか、達成に向けた考え方もこちらで少し書いてみました。


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