新曲「生まれ落ちて」 〜メンタリストは電気猫の夢を見るか〜

べべとフラワー

メンタリストを名乗る人物が自身の動画内で
「生活保護の人が生きてても僕は別に得しない」
「自分にとって必要のない命は、僕にとって軽い。だからホームレスの命はどうでもいい」
「もともと人間は、群れ全体の利益にそぐわない人間を処刑して生きてきてる」

などと発言した件を昨夜リツイートしたら、友人のタケくん16歳から、こんなリプライが来た。


乳児の頃、重度の心臓病で15年の余命宣告を受け、同時に病院での医療事故によって脳障害を負ったタケくん。
過酷なハンディを負いながらも、時には電動車椅子を乗りこなしながら、世界の片隅に置かれたさまざまな人々の声やアイデアを掬い上げ、ともすれば曇りがちな僕らの眼前に、未知の光を投げかける。

彼がどんな思いでこの記事を読んだかと思うと、リツイートしたことを後悔したが、つよい衝撃を受けたであろう彼の真摯な問いかけに対して、自分は大した返答が出来なかった。


その後、Twitterを閉じ、窓辺から裏庭の暗がりで揺れる草木を見つめていると、短い歌を思いついた。

生まれ落ちて

誰も知らない 生まれ落ちた理由
月に照らされ 名もなき花揺れる
命とは 命とは 命とは
わけもない輝き

君は知らない 生まれ落ちた理由
泥を掻きわけ もがくそのたびに
命とは 命とは 命とは
わけもない輝き

わたしは知らない 生まれ落ちた理由
雨にうたれて 愛を知る
命とは 命とは 命とは
わけもない輝き

雨 雨 雨 雨 雨 雨 雨


現代においても新自由主義などと結託しながらなお根強く社会を覆う優生思想的な心性に応え得るほどの曲だとは思わないが、こうして少しずつ、一曲ずつ、書き続けるしかなかったのが自分だ。
おれに無いものをたくさん持っているタケくんには、もっと有効な戦い方があるのではないか?そんな風にも思う。

この歌の中には、通りすがりの人々から雑草と呼ばれてしまうような、ありふれた小さな花が一輪、登場するが、
きっとこの花は、ここに書きとめたつまらない歌詞の数行よりも、遥かに大きな物語を抱えているだろう。

だからまた、明日も、明後日も、新しい歌を作り、この花について、語り直さなくてはならない。



noteでの記事は、単なる仕事の範疇を超えた出来事について、非力なりに精一杯書いています。サポートは、問題を深め、新たな創作につなげるため使用させて頂きます。深謝。