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新曲『宣告のブルーズ』

七尾旅人
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『宣告のブルーズ』という曲が出来た。

「死神に付き纏われ生きていく 期限を切られて」

こんな歌い出しで始まるが、コロナ禍に入ってからの一年半で書きためた楽曲群の中では特にポジティブな雰囲気があり、フェーズの変化を感じている。
この夏だけでも随分いろいろなことがあった。
家族や仲間の闘病、孤立した自宅療養者へのフードレスキュー。
無我夢中で動き、息をしている間に、異様な状態で生き続けることへの耐性がついてきたということだろうか。

明後日9/25、岡山で演奏するが、純然たる音楽イベントに出演するのは半年ぶりのことだ。
フェスへの風当たりが強まり、秋以降に出演予定だったイベントの大半が中止になってしまったが、わずかに残ったもののひとつで、地元シーンを支え続けてきたライブハウス「エビスヤプロ」が起死回生を賭けて行うデイイベント「EXTRAVAGANZA」。外部イベンターがローカルに持ち込む大型イベントとはやや質が異なる。個人的に今はまだ遠出に慎重だが、このイベントは支えに行くことを決めていた。文化とは何か大きなひとつが代表するものではなく、それぞれの街に息づくかすかな声の総体だからだ。かすかだが、確かなもの。そんな無数の声の一つとして、自分もまた歌い続けてきた。
長くやってきた曲に新曲も織り交ぜて、春に亡くなった、岡山の友人の霊前で歌いたいと思う。

我々は生き残れるだろうか。
うちの犬は生きてくれるだろうか。
君は生きていてくれるだろうか。

「死神に付き纏われ生きていく 期限を切られて」

百年後、千年後、一万年後、いつかは誰も皆、いなくなる。
でも今はせいいっぱい悪あがきをしていよう。
魂の底から、笑ってやろう。君と一緒に。

noteでの記事は、単なる仕事の範疇を超えた出来事について、非力なりに精一杯書いています。サポートは、問題を深め、新たな創作につなげるため使用させて頂きます。深謝。