【小説】太陽のヴェーダ 先生が私に教えてくれたこと(36:最終回)
(第1話/あらすじ)
花火の打ち上げはとうに始まっている。
華やかな音と彩りに急かされながら丘を登り、頂上が見えたところで美咲は足を止めた。
万が一雪洋が誰かと来ていたら、そっと帰ろうと思っていた。
花火の明るさを頼りに目を凝らす。
だがそこには「誰か」のみならず、人影はひとつもなかった。
「いない……か、やっぱ……。そりゃ、そうだよ……ね……」
雪洋と約束したわけではない。
あちらに行けと言われたくらいなのだから、ここに雪洋がいる保証など、はなからなかった。
来る