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リーマンショック①

 さて、前回はリーマンショックを「デリバティブ」「証券化」「サブプライムローン」の3つのキーワードで解説していきますよ!というところで終わっていましたので、今回はまず「デリバティブ」について解説していきたいと思います。

 「デリバティブ」とは、日本語で派生商品(派生取引)を意味し、株や金、原油など(原資産)から派生した金融商品のことを指します。その中でも代表的な先物取引を例に解説していきましょう。まずは、先物取引のルーツから。

 先物取引は江戸時代のお米の取引と当時のお米商人たちの発想がそのルーツになります。お米商人たちは現物で取引するのは大変なので「米手形」というものを発明し、お米の交換に使っていました。「米手形」は「◯月◯日に◯円でお米を買う約束をする引き換え券」です。(=将来のものを現時点で売買予約している)これにより、取引ごとに米の引き渡しをする必要がないので、取引が楽になったわけです。(また、買った時よりもお米の価格が上昇した場合に、米手形を他人に売る人々が現れ、米手形を売り買いする市場も生まれました。=米手形の証券化)しかし、便利な米手形にもデメリットが発生したのです。天候に左右されるお米は価格が変動するので、将来的に価格が下落する可能性があります。そのため、事前に買う約束をするのは大きなリスクでした。下に具体的な例を挙げます。

例①)5月(現時点):9月1日(将来)に1kgのお米を3000円で買う約束をしました。月日は流れ9月1日、お米の価格は下落し、2500円に。2500円で売るので500円の損です。取引量が増えればさらに大きな損をしてしまいます。これは困った。

 そこで、商人たちはこのリスクを回避するために「つめかえし取引」というものを考え出します。「つめかえし取引」は価格下落のリスクに備えて、現時点の価格で”売って”、将来の価格で”買う”取引をしてしまおうというものです。

例②つめかえし取引)5月(現時点):9月1日に1kg2800円でお米を”売る”約束をしました。9月1日、お米の価格は2500円に下落。ここで2500円でお米を”買い”ます。2500円で買って2800円で売ったことになるので、300円の儲けになりました。

例①と例②を合わせて考えてみましょう。例①では500円の損が出てしまいましたが、同時に「つめかえし取引」を行うことによって300円の儲けが発生しました。例①だけでは500円の損でしたが、つめかえし取引を行うことで300円の儲けが生まれ、トータルで損を200円に減らすことができました。

 このように「つめかえし取引」を行うことによって、価格下落によるリスクを軽くすることができるようになったのです。

 そして、この「つめかえし取引」をきっかけに、物の交換はせずに将来の価格の変動によって利益を得ようとする人々が出始め、現在の先物取引が生まれるようになりました。ここまでが先物取引のルーツになります。

 次回は現代の先物取引について、解説します!

 



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