ぬら 死の磨きたて

窓の外笑顔だみんなくちあけて
エアーの足らぬ
魚だからだ
僕のいるこの部屋だけエアーが充填されて
くちをあけぱくぱくせずとも
生きていける
くちをぱくぱく
食べ物さえも
      じきに要らなくなるだろう
窓からは
 色々なものが見えるだろう
みんな笑顔でくちあけて
エアーの足らぬ
魚だからだ
僕だけが笑っていないのだ
エアーの足らぬ外の景色は
音を反響させることもなく(真空だからだ)
互いの耳に静かにくちづけては
互いにエアーを脳に送り合う
だからみんな仲良しで
持ちつ持たれつ
やっているやっている

白色の陶器の流し台に
「ぺ」と吐いた唾
ぬら 死の磨きたて
  白色陶器 血混じりの
吐いた唾 とか僕の夢とか
わずかな音 唾 ぬら 垂れる音
それすらも もうそろそろしなくなる
僕の部屋すらもうすぐ真空で
マイナス二七〇度
窓から攻めくる陽射しに
僕は喜ぶ
彼果てる迄
枯れる迄 果てる迄
体に蓄えた水分みな ぬら
口から吐いて
蒸発 結露 横顔 外は 宇宙デブリ混じりの
  雪
飛沫 デブリ 白色 くちぱくぱく
  しん(耳が痛いほどの)
あんなに食べて大丈夫なのかなあ
  やっているやっている
あんなにまみれて大丈夫なのかなあ
  霜焼けたデブリに
          灼ける迄

もしも気に入りましたらサポートをよろしくお願いいたします! 励みになります喜びます!