シン・仮面ライダーの暗くてよくわからないシーンについて。

暗くてよくわからないとされている大量発生型相変異バッタオーグ戦、僕は暗くてよくわからないのは蝗害の中にいるような感覚の表現かなーって思ったのでよくわからなくてもイイ、というかよくわからないから良くない?と思った。

いや確かに暗くて見にくかった。何がどうなっているのか、わかるのは攻撃色に染まった相変異バッタオーグが沢山おり、仮面ライダーをわしゃわしゃと攻め立てて圧倒し、今まさに封殺しようとしている!本郷猛ピンチ!そこにライダーキックを放って現れる一文字隼人!…って結構わかるんすよ大筋。

だからあそこのシーンは「仮面ライダーが訳もわからず圧倒され、なす術も無く封殺されそうになる」っていうのがテーマのシーンなのだとしたら十分条件を満たしてるし、そこに大量発生したバッタの黒い渦中に巻き込まれるような恐怖を感じさせたいという思惑を付加するなら暗くて正解…なのでは?って思うんすよ。

そもそもアクションが何やってるのかわからないのは良くないというのはただの常識で、もっと言うと「わからないものは良くないものなのか?」という話でもあって。

ブルース・リーが本気でアクションしたら速すぎてカメラやキャスト、観客が追いつかないから発生したのがあの打撃と共に放たれるアチョー!という怪鳥音だという話も聞いたことがあるし、実は本当に凄いアクションは理解を超えていて実はよくわからないものなのかもしれないと考えることもできんこともない。

この論理で考えていくと発勁とか居合とかの世界になって、その延長でハチオーグの爆速描写や過積載カット割があったりしてるんちゃうんかなと思ってたりもする。

完全に訳わかんないのはダメで、わからんこともないと訳わかられるのは負けで、訳わかんない事もないけどやっぱちょっとわかんないは勝ち…みたいな表現のボーダーラインを攻めてるというか。

アクションの良し悪しという物差ではなくて強い弱いというか勝ち負けというか…どこまでがアクションであれるのか?という挑戦というか。驚かせたい、かな?驚愕。うーん。

ただ、よくわからないものは基本的に生理的に気持ち悪いものであるのは普通の事なので批判は当然。確かに暗い。見にくい。事実、見ていて気持ちの良いものではない。それはそう。

だいたいのアクションシーンは大枚のお金をかけてそういった気持ち悪さを排除するために完成度の高い振付、モーション、CG、カメラワーク、カット割、そして音楽、効果音、照明…そして速回し等、様々なフィクションでデコレーションしてわかりやすく整えられて味わわれるスペシャルスイーツだ。アクションとは金がかかる。その分観客に良い体験を与えて納得させる。映画においてそういうものだ、という観念。

そこにこう、庵野秀明がいつもの感じで突っかかっていった結果がシン・仮面ライダーのアクションシーンなんだろうなー、と。

つーかシンエヴァん時に「あ、エフェクトつけ忘れてた」とか平気でやってたから「あ、明度調整忘れてた」ってのが暗くてよくわからないシーンの真相なのかもしれない。クランクイン後に感想を踏まえて編集し直したりシーン足したりとかしてたし。ウン。この辺にしときます。

M7は音楽ドラッグ。

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