シン・仮面ライダーの泥臭い戦いについて

例のドキュメンタリー未視聴だから観てからじゃないと語れないかなーって寝かせてたんですけど、溜めててもしゃーないし割とあー僕もそう思ってたー!な親近感が湧く意見もチラホラ出てきてるのでまとめてみる。

あの泥臭い戦い、イイですよね。あんなのアクションじゃねーだろカッコ悪いし頭突きなんてありえんわ、となるのが普通だと思います。初見では僕も「コレはわからんでもない…が…な、長ェ!さすがにやりすぎw」って手ブレガクガクの長回しで笑ってしまってます。ありえんのですよ、プロの映像であんなの…前置きが長くなりそう。端的にいきます。


・ライダー頭突きとはなんなのか

スト2のスーパー頭突きとかヘッドバットって格ゲーでも必殺技になってたりするし、割とポピュラーで市民権を得てはいるものの目の当たりにする機会はなかなかない攻撃手段、頭突き。

演出つければ頭突きやヘッドバットってめちゃくちゃカッコよくなるんすよね。ドラゴンボールの舞空術で遠方から超加速して顔面のアップのコマからガツン!ってぶつかるのとか幽遊白書の酔のヘッドバットとか好例ですよね。

で、まぁあのライダー頭突きとはなんなのかというとあれは僕らにとっての頭突きの全てが詰まってるんですよ。

頭突きの特徴として攻撃を受ける側はもちろん痛いが、仕掛けた方もかなり痛いという攻撃というより根性と意地の勝負みたいな節が強いというのがありまして…コレも前置きだな。この際、頭突きの劇的な意味合いや文脈においての比喩とか抜きで。

あの頭突き、何が良いってメッチャ痛そうなんですよね。柄本さんは「もう絶対痛えよコレって分かってるけどやるっきゃねぇ!」って歯を食いしばりつつアクション!…するも、やや及び腰な様もバッチリスローモーションなので明らかに見てとれて分かる。わかるよ痛いもんねやだよね頭突きって感情移入できる。

あの頭突きはライダー頭突きというか、生身の僕らの頭突きなんですよね。頭突きは痛いんすよ。腹とか鼻っ柱とか柔らかい箇所か弱点を頭突きするなら全然攻撃手段としてアリなんですけど、頭と頭がぶつかる頭突きはもうホントに痛い。

演出をつけたりアクション振付やカメラワークで魅せるのではなく、僕らの現実に即したリアリティの頭突き。

ただの物体と物体がぶつかる物理の実験をハイビジョンカメラでスロー撮影する事に重きを置いた、衝突する仮面、割れる仮面、飛び散る破片、くゎんと衝撃でたわむ画像。その現象の事細かこそテーマだと言わんばかりのシーンというか映像。

劇的に言うとあんな頭突きはあり得ないのですよ。走ってきて飛びかかって勢いよく頭と頭がぶつかる方が現実なら死んじゃうけど劇的にはあり得る。「地べたに組み合って座ってる2人が静止してて、その脇に真っ直ぐ起立しててせーのっエイッ!て勢いよくお辞儀をしたらゴッツンコしてしまった!」なんてのはアクション動作の連続性からして起こり得ない超常現象、シュールなんですよ。超現実的表現。

これが強い。めちゃくちゃ強い。あんだけ長回しでブレまくってた揉み合いからビタってカメラが止まってスローモーション。何この緩急。

仮面が割れる瞬間をカメラでしっかりと撮るために尽く要素を省いたとも言える。ここはCGじゃダメで絶対に生で撮影するんじゃ!特撮するんじゃ!という偏執。

シンエヴァでもガフの扉の時に特殊ガラスの割れエフェクトをわざわざ特殊撮影して公開後に追加してましたし、割れる瞬間とか壊れる瞬間がたまらんのでしょうな。実際なんかイイっすもんね。もう元に戻らない、やり直せない。それでいて何か清々しかったりする。

やれと言われりゃやるのが演出と役者の関係性で、やると決めたらやってやるのが…一文字隼人感があっていいですね。

なんかまとまらなくなって来たのでここらでリリース。

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