関の囲碁旅 今までの振り返り 囲碁旅まとめ3月25日更新
自己紹介
まず初めに 検索で来られた方 Twitterなどのリンクから来られた方
こんにちは
日本棋院本院所属の 関達也三段です
2021年の10月頃から執筆時2022年末まで 全国の碁会所など対面で囲碁が打てる場所を訪問しています
今回は今までの訪問囲碁旅を振り返っていきます
関の囲碁旅まとめはこちらです↓ 随時更新
囲碁旅をしようと思ったきっかけ
コロナ前
私は現在33歳で11歳の秋に漫画「ヒカルの碁」を見て興味を持った事がきっかけで囲碁を覚えました ヒカルの碁で碁会所と言う囲碁を打つ場所があるのは知っていたので母に電話してと頼んだ事を覚えています 碁会所の土日午前の初心者教室に通うようになり 10級位になると平日は下校後から夕飯まで 休日は一日中碁会所に居るような程に囲碁にのめりこんでいました
碁会所にはいろいろな人が居て 初心者の頃から教えてくれた優しい先生 格言と四字熟語を会話に入れるちょっと変わった元学校の先生 凄い早打ちで一局10分も掛からず打つおじさん 最後までタイミング良く残ると碁会所隣の肉屋のとんかつを買ってくれるお爺さんなど 私にとって碁会所は楽しい時間でした
気が付いたらプロになると言って小学校卒業後上京し ライバル達と死闘を繰り広げながら幸いプロになる事が出来ました
コロナ後
今回のコロナ渦はサービス業系特に娯楽産業には致命的と言うレベルでダメージを受けました １回目の緊急事態が明けた時に私が行っていた指導関係の仕事でのお客さんは3分の1ほどに減少していたイメージです
元々業界全体で減少していた状況でしたが僅か半年ほどで10年分以上状況が悪化した感覚を受けました 小学生時にご縁があった碁会所で私がプロになった後も繋がりがあり後に教室も行っていた碁会所も「先生今までも危ない時はありましたがご協力頂いてなんとか頑張ってきましたが今回はもう無理です」と話され閉店となってしまいました あっという間に碁会所が無くなってしまう事に衝撃を受けました
自粛生活時に旅行系YouTube動画などを見た時に そういえばプロを目指した頃から旅行などした事が無かったなと思い出し 全国を回って観たいと思うようになりました それなら大変な状況であると思われる碁会所を訪問してみるのはどうだろうと思うのに時間はかかりませんでした
旅の始まり
2回目の緊急事態宣言明け直後 個人的に仲良くしていた 外柳是聞四段が新人王を獲得 おめでとうLINEをしていた時に岩手の盛岡出身だと思い出し これはおめでたいと思い 温めていた碁会所訪問を決断 数時間後には盛岡行き夜行バスに乗り旅の始まりでした
初めての旅は突発的に始まったため準備不足感はあり訪問時に 日本棋院棋士の関ですと飛び込み営業の様な感じになってしまいました 訪問日は大会が開催されており慌ただしい状況でしたが気を遣っていただきました（連絡は取るべきだと反省） 歓迎の飲み会を開いていただき感謝です
翌日は鈍行列車で仙台までの旅
仙台には夕方近くに到着 碁会所に行くとお客さんは殆ど居ない状況 （今にしてみれば当たり前で17時頃には大半が帰宅）で状況の悪さを感じました
この時までは旅行半分碁会所半分の気持ちでしたが 旅行は何時でも出来るが碁会所は無くなってしまう可能性があると思い碁会所訪問を優先にしました 想像と違う事も多々あり やはり行動したのは正解だと思いました
翌日のお昼には新潟で縁があった子が仙台に居る事を思い出し連絡を取りランチと近況報告をして初回の旅は終わりました
そして関の囲碁旅へ
2回目の旅（新潟）
１回目の旅の反省点として予め連絡をした方が良いと分かったので
地元新潟県には伝手があったので連絡を取ったところ 囲碁サロン天元で解説会、指導碁会などを開催すること事になりました
この旅では他には 初めにお世話になった西新潟支部 途中で立ち寄った長岡支部 を訪問しました
この時に今までお世話になっていた方々が亡くなった話を聞き寂しさを感じました
この時に碁会所文化の記録を残したいと思うようになり 現在の活動に繋がっていきました
碁会所と言う業態が現在では大変厳しいであろうことは想像できますが 記録、継承、発展できるようにお手伝い出来ればと思います
碁会所関係情報を調べていくと分かったのですが 碁会所に行く人にとっては当たり前の事過ぎて殆ど確認できる情報が無いのは驚きでしたね
これは初めての人にはハードルが高いと思いました
新潟旅の後（これからの旅の方針を決定）
この旅以降現在まで続いている方針を決めました
１ 全国各地（地方優先）の碁会所など苦しい中頑張っている所や人を紹介する
２ 訪問した碁会所などの色々な情報をGoogleマップ、Twitter、ブログに残し 将来囲碁を覚えようとする方 囲碁休眠状態の方の碁会所への初めの一歩を踏み出しやすい様にする
３ こちらとしても赤字では活動続かない為 指導碁などでホテル交通費位は回収できるようにしたいという事で予め話をする（旅費関係は私の自腹、指導碁希望者は1局3000円をお願いして補填にする）
４ 体を壊したら元も子もないので無理はあまりしない
それからの旅
方針と方法が決まり3.4泊の旅を月2回ほど定期的に行うようになりました
幸いな事に赤字にはならず 来年も旅を続ける予定です
6月頃からは日本棋院発行の週刊碁に関の全国碁会所訪問記と言う題でコラムを書かせていただく事になりました 原稿など人生で書いた事が無く思った事ないのですが人生何が起こるか分からないものですね
印象深い全国の碁会所
東青森支部
お客さんの団結力がピカ一 月一の会報誌が凄い
岩手囲碁センター
今振り返ってみてもしっかりとした運営 お客さんの人数 イベントなど良い碁会所
囲碁と将棋のサロン「北の森」
設備関係は他を圧倒 福島近郊県を引っ張れる様な場所になって欲しい
私も顧問だったりします
宇都宮支部
郊外の碁会所としては完成形 新規開業には参考になると思います
隣の蕎麦屋も是非
三島囲碁教室
子供達が普通に碁会所として来ている 大人と混ざってリーグ戦など感銘を受けました
このような場所が増えると理想的
碁席爛柯
席亭が素晴らしい 棋士にとっては本当に有難く 経済的な観念、運営手法、お客さんへの還元というサイクルで また此処も一つの碁会所の完成形と言えると思います
高松木太囲碁スクール（公民館・同好会併設）
香川には碁会所が殆ど無くなってしまったが 日本棋院支部、同好会が繋がりあってネットワークを作っている 香川は地理的不利を協力して克服しようとしている事に感動 中心的存在の石田さんには感謝しかない
囲碁ギャラリー１０１
本当にこちらの碁会所には助かりました 2回訪問したのですがどちらの回も指導碁23局打ちました これだけ歓迎して頂けたので厳しい状況でも旅を続ける事が出来ました 現在もこの記録は越えられてません 高知のみなさんありがとうございました
佐賀中央支部
中部で活躍した 吉岡薫九段が運営する碁会所
吉岡先生を核に九州囲碁界がまとまる兆しがありこれからが楽しみです
深堀囲碁教室 長崎こども教室ネットワーク
長崎は子供囲碁関係が盛んで驚きでした 深堀囲碁教室さんは息子さんに代替わりされ若々しい碁会所でした 指導碁を受けた平均年齢がぶっちぎりで若かったです
囲碁みそてんじん
こちらも子供関係に積極的 NPO法人があり 長崎とも協力関係
旅の最中の発見、気になった事など
１ 本当に長い間その地域で囲碁普及を頑張っている人が多い
囲碁界に５０年位関わっている人が結構居る これ程まで続けて囲碁を楽しんだり指導したりする囲碁の魅力を再確認した
その一方でビジネスになるシステムを作れなかった為 後継者不在で無くなってしまう問題があると感じた
今回は頑張っている所だろうと問答無用でお客さんが6割減になる天災の様な状況で心が折れたと思われる所が何ヶ所もありました
２ 下手だから指導碁を受けるレベルでは無い
こんな弱いのじゃ教えるの嫌でしょ など言われる事が相当数ある
何故このような発想になってしまうのか不思議
私としては収入になるので嫌がる理由がない 向上心があるなら積極的に受けてみるべきだと思う
何故この様な状況になってしまったかを私なりに推測すると
A 教室などのビジネス環境が無く 碁会所来場の上手から教わる為 引け目に感じる事が習慣となっている
B 置き碁をする事が嫌な人が結構多いのでその感覚なのかな？
３ 駅前の碁会所が苦戦傾向
地方では電車、バスなどが交通手段として機能しなくなりつつある様に感じた あと根本的に人口が少なすぎる状況がある 広い駐車場は必須で広いエリアから集客する必要がある
４ 基本的に安すぎる
娯楽に対してお金を払う感覚が薄く感じる ちゃんと対価を払いある程度利益が出る構造にしないと設備更新も滞り結局は縮小再生産になる これは碁会所に限らず現代日本の問題とも言える
５ 予想より囲碁人口は居るが半休眠状態の人が多い
仲間内や公民館などクローズド環境で楽しむ人が多い 碁会所には潜在的囲碁人口の数％程の人しか来ていないのかもと思った
Q＆Aコーナー
Q 私の行きつけ碁会所に来て欲しいが費用などはどうなりますか？
A 旅費交通費関係は私持ちで０です 訪問した際に旅費の補填として指導碁を１局3000円でお願いしています 他のご要望などはご相談ください
地方でプロ棋士などとの繋がりが作りにくい所を優先しているので
３大都市圏近くは優先度が低くなります
もちろん仕事で呼んでもらえるのは大歓迎です 目安は日当35000＋交通費です
地方の碁会所は見つけにくく現在の状況がわからないので情報提供をお願いできればと思います
Q 日本棋院からの派遣なの？
A 個人的な活動で日本棋院とは直接は関係ないです
あとがき
お読みいただきありがとうございました
反応が良さそうなら 地方毎の旅日記等も良いかもと思いました
来年2023年も囲碁旅を続けていきますのでご支援をお願い出来ればと思います
皆様良いお年を🌄
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