全身持久力とは、多くの筋を使った運動をできるだけ長く持続する能力と定義され、身体の様々な機能・能力が関わる。

エネルギー供給機構からみると有酸素系が中心となり、呼吸・循環系および筋組織が深く関わる。またエネルギー基質の利用の仕方も影響し、そのほか体温調節能や精神的要因も規定因子となる。そのため、全身持久力を評価するためには、これらを個々に測定するよりも、最大酸素摂取量や乳酸性代謝閾値(LT)など総合的な能力を評価する方が適している。

古くから全身持久力の指標として利用されてきた最大酸素摂取量は最大運動時の呼吸・循環機能の評価法として優れているが、最大下の運動を持続する能力の評価法としては妥当性が劣る。

最大酸素摂取量が高い人ほどマラソンの走速度は高く、(時間は短い)、相関関係は高いことはわかるが、最大酸素摂取量が同程度の場合(図中の点線の囲い)、記録は広範囲にばらつくことがわかっている。

これに対してLTは、乳酸濃度が高まることなくエネルギーを供給できる代謝閾値を表している。運動強度とエネルギー供給量そしてその際の血中乳酸動態の関係を示す。

強度に比例してエネルギー供給量は増えるが、ある強度を超えると脂質代謝が抑制されエネルギー源は糖(グリコーゲン)が主体となり、乳酸が上昇し始める。これがLT強度で、これより高い強度になると糖の浪費、乳酸能動の増大による体内の酸性化など、運動を制限する要因が生じる。このためLT強度の高低は、マラソンのように運動を長時間継続するような能力(全身持久力)を評価する優れた指標になると考えられている。

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