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ポッカリ空いた穴のミズウミ


0.プロローグ

皆さんこんにちは。このnoteを開いていただきありがとうございます。
これは、エッセイ...?というのでしょうか???
お風呂に入っているときにとても文章が書きたくなって、日曜深夜に2時間ほどかけて書いたものです。

書き始めた頃は、友人たちや親に見せるために書こうと思っていたのですが、文章を書くにつれて、ドンドン誰かに見せたくなっていったので、noteで公開します。

久しぶりの更新がなかなかにぶっ飛んだ内容となっております。
今までのこのアカウントのnoteとは、全く違います。

でも許してね。




1. まっくら

映画館の中は暗い。数百人が入るスクリーンの一番後ろの列のド真ん中に居る。周りは誰も居ない。一人も居ない。空調の音が聞こえる。スクリーンには、自分の部屋が映る。

見える風景は、私のいま。目の前に見えている物事だ。

私はこの世界を生きているはずなのに、どこか俯瞰的に、映画館でその自分が今見ている風景を一人で見ている。
なんだろう、この孤独感は。真っ白で無機質な部屋に、居るような気分。

自分とは、なんなのだろう。


2. 少年時代

「おはよう」
メガネをかけた高身長なイケメン。

「お! おはよ〜」と力が抜けた挨拶を返した。ビルの狭い部屋に青春を圧し殺したこの部屋は、私の通う高校だ。

「イケメン〜」
腕枕を机に置いて、右に顔を傾けて話す。
「ん?」とスマホを見ながら片手間に返事を返された。
「イケメンは良いよな〜...モテモテだよなぁ〜」と言うと、一瞬嫌そうな顔を隠し、「そんなことないよ。」と呟いた。

「おっはよー」と、ウザいぐらいに元気なもうひとりのメガネが来た。すかさず私は、「変身!」とテンションを無理やり上げて、立ち上がる。

「私に倒せない敵など居ない。掛かってこい」と調子に乗った「挨拶ウザイくらい元気ヒーロー」が私のノリに乗っかって、悪役を演じる。

「いやオレ、仮面ライダーのボキャブラリー『変身!』以外ないんだけど。」と言いながら、席に座る。

腕を組んで挑発してきたヒーロー(本日は悪役)も、「なんだよ!先にやったのドッチだよ」と笑いながら机にカバンを掛ける。


3. 花

23時、LINE電話には花がない会話が続いていた。
「パークリを手に掛けるのは良いよな。」
シューと何かを吹きかける音が聞こえてくる。一人目の変人。

「今日学校のゴミ箱からPC-9801拾ってきた。」
写真をグループに貼り付けながら喋る。二人目の変人。

「オホホ!すげーな。動くん?」
「もちろん。動かんくても治すけど。」
「そりゃそーやろな。」

この変人たちの7割ほどよくわからない会話を聞きながら、コカ・コーラゼロを飲む。

私含めたこのお喋りマシーン3人は、飽きもせず毎日のようにこの時間帯に活動する夜行性動物だ。

この会話をもし誰か他人が聞いていたら、汗クサくてしょうがないだろう。
でも、このクサさが、我々にとっては職員室から香るコーヒーのニオイの如く、とてもいい気分なのだ。

1号がもの珍しく、「あのさ。」といつものトーンとは違う感じで話し始めた。
「彼女欲しいと思う?」と彼は聞く。

「そりゃ欲しいよ。いつも『乃木坂!乃木坂!』言ってるオレが彼女欲しくないなんて言う訳ないだろ〜」と私が言うと、「いやーさ、昔から仲の良い女友達と喋っててさ、そこまでなんだよな〜」

「年上お姉さんで、全てをシャットアウトして、優しくハグしてくれたり、膝枕してくれたりする人居ねーかな〜〜」

全くもって人の話を聞いていない私は、高校生という年齢的に色々引っかかりそうな爆弾発言をして、自己満足している。


なんにも味のしない笑い声がスマホから響く。


4. 古民家

私は、いつもシロアリに襲われる。別にグロい話をしたい訳ではない。

気づかないうちに、食べ尽くされる私のココロ。数週間から数ヶ月をかけて、私の背中に背負う荷物がどんどん重くなり、気づかないうちに...。

まさにシロアリだ。

でも、そのときになるまで、誰にも助けを求められない。
求めたところでヘタクソだが。

周りの友人に、「ホント辛いわ〜」と漏らすが、そんなに深刻に捉えられることはない。私から「苦しい助けて」と言うことが出来ない。誰かに気づいて欲しい。助けて欲しい。

でも、その不器用なところも、私だ。

そんなシロアリさんたちに食べられたとき、とても恋しくなること。
それが「彼女」という存在だ。

年上のお姉さん好きになった理由を自分なりに考えてみた。

私は小さい頃から、人からの見られ方、自分の評価をとても気にする子供だった。人として、敬語、礼儀、挨拶、など態度で評価されること、優等生であることに必死だった。

でも、その頃の私の年齢は、小学生。我ながらませている。

授業中は、背をピシっと伸ばし、力いっぱいに、腕と肩に分度器を合わせたら90度になるくらいまで、手をまっすぐ上げていた。
それは、0%か100%の両極端な性格に現れる。50%を継続して出し続けることが出来る人とお会いしたら、私は知らない人でも尊敬するだろう。

そんな気を張って生きてきた私は、人に甘えることを忘れた。

「大人びている」「大人っぽい」「え!(小・中)学生なの!?」「高校生なの!?20歳超えてるのかと思った。」と小さい頃から18年間言われつづけた。
だから、早く大人になろうと焦ってしまったのだ。

その都度、私は「こども」という貴重な期間に、「甘える」という行動が幼く感じ、誰にも出来なくなってしまった。
だから、自分から「助けて」など言えないのだ。

誰が見ても痛い怪我をしても「痛くない」というのが大人。
というように無意識的に刷り込まれていったのだ。

だからこそ、この今年18歳という年齢で、「年上のお姉さんに甘えたい」という「誰かに頼りたい」「守って欲しい」という感情がドンドン成長していったと自己分析する。

映画館の俯瞰的感覚は、まさに自分の現状を非現実的に捉えたい感情なのだろう。


「誰かに甘えたい」という幼い私の。


5. ポッカリ空いた穴のミズウミ

湖(みずうみ)とは、陸地を広く覆う水域のことである。

私のミズウミは、カラッカラだ。だからずっとミズを求めている。
優しく包み込んで、この空白を埋めるミズを。


ミズがないミズウミは、ポッカリ空いた穴だ。

喉が乾いた。コーラを飲もう。


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