『大人はつらいよ』 ~ 17歳のガキ、涙もろくなる ~

 

1.『家族はつらいよ』

2016年公開の山田洋次監督作品、当時13歳のボクは父親と一緒に映画館へ見に行ったことを今でもよく覚えている。

『家族はつらいよ』はその後、『家族はつらいよ2』『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』と合計3作品が2018年まで毎年公開された。

約5年ぶりに見る。。。と書こうとしたが、実は2作目や3作目の映画公開時に、テレビで放送していたのを録画して見た記憶があった。
正確な年数は分からないが、久しぶりにみる『家族はつらいよ』

リビングのレコーダーに、数ヶ月前に録画してあったであろうモノをずっと放置していた。今日たまたま見つけて、観ようと思った。

熟年離婚がテーマの1作目、5年も前の映画だが、一応ネタバレに気をつけて書くのであれば、

今見ても、とても面白かった。

さすが、喜劇だ。さすが、山田洋次大先生だ。現代問題を面白おかしく伝えてくれる。
ただ伝えるだけでなく、その中で、感情の深い部分をよく考えさせられ、最後は何か

スッキリとする。

映画館で観た5年前と全く一緒だ。映画を観た後のあのなんともいえないゾワゾワ感。鳥肌が立つというか、いい意味で身震いを起こす、あのたまらない感覚。

絶対に言葉では伝わらない。伝えたいのに、その経験をしたことがある人にしか伝わらない感覚。

「カンカク」ばっかりで何を伝えたいのかよく分からなくなってきたが、兎にも角にも、『面白かった』という小学生並みの感想で、ご理解いただきたい。

いや、そんなことを言いたい訳ではない、伝えたいのはこの映画を改めて観て思ったことだ。


2.一杯のラーメン

いきなり話が逸れるが、無理矢理ついてきて頂きたい。(ワガママ)

私は父とよくラーメンを食べに行く。
だからどうした。という話だが、そこで今まで感じたことのない感情になった話をさせていただく。

ラーメン屋についたとき、入口入ってすぐの券売機で父が「並で良い?」と言って黒い財布を開けていたあの風景。その時、何かがグサッと来た。

今や当たり前のように、父に連れられて何億回も見てきた風景なのに、とてもあの瞬間が残る。

いま、
父が財布から取り出し、券売機に入れようといているそのお金。
無機質に光る緑色のランプの上に書かれる「ラーメン 並」の文字。

私は「子ども」として、別に感謝を伝えることなく、「うん」と頷き、父がボタンを押した。
でも、このお金は父のあのカッコいい背中姿のおかげだ、とあの頃のことが一瞬にして思い出させられる。


小さい頃、父が仕事に出かけるときに、玄関から見送ったときのこと。
スーツを着て、革靴をカタカタと鳴らしながら、カバンを持って出かけていった父。

その背中が、子供ながらに恥ずかしくカッコつけて、
「背中姿がカッコいい」と母に伝えた。

あの風景を思い出す。
そして、この「当たり前」の「当たり前じゃない」という事実に心が揺らぐ。

深く感謝しなければならない。ありがとうと。

ラーメンを食べ終わる頃には、美味しくて忘れていたボクだが。

(この文章を書きながら、感動で泣かないボクは泣いてしまった。)
(オヤジになったかな。※元からだよ  涙もろい。父親ゆずり笑)


3. 17のガキが考える「幸せと辛さ」

やっと本題に入れる。(お付き合いありがとうございます)

『家族はつらいよ』を観て、思ったのが、「幸せと辛さ」だ。

こんな何気ない日常の中で、5年前の映画を録画して、また数ヶ月放置して観たのにも関わらず、とても幸福感があった。
そして、家にいながら、映画館で感じた感覚を味わえた。

こんなしょーもないことでも、人間は幸せを感じることが出来るのか。

と。

いや、人間じゃないか、単純なのはワタシ自身か。(笑)

その逆に思ったのは、
しょーもないことで、辛い思いにもなるのが、人間なのだろう。と。

私も、ガラスのハートでおなじみなので、心の上がり下がりは激しい。
だからこそ、このしょーもない一つひとつのことが、
「楽しく・嬉しく・辛く・悲しい」

そう思い、これもまた人間にとって「あたり前のこと」なのかもしれない。

『家族はつらいよ』の中で描かれる、夫婦の形。(ネタバレ有)

父が感謝を伝えず、母は少しずつ我慢する。そして、母は離婚届を突き出す。母は正直に今まで我慢してきたことを話す。

数日が経ち、父は色々考えて、離婚届にハンコを押して、「今までありがとう。一緒に居れて良かった。センキュー」と感謝を伝え、手渡す。

感謝を伝える父の姿に、受け取った離婚届を破り「どっちが先に死ぬか分からないけど、死ぬまで一緒に居ます。」と言う。


こんな何気ない「父の感謝の言葉」で、母は感動する。
そして、このしょーもない一つひとつの儚さ、尊さをワタシは感じる。

「男が」「女が」というと、不快に思う人が居るかもしれないし、気遣う時代だということは理解しているが、そういう古い考えや思いではなく、

母の重なる我慢を、少しでも減らすのが、
父・夫として出来ることなんだろう。

と思った。


4.皿洗い

何かそのことを考えると、キッチンのシンクに置いてある、ワタシの朝食に使われたお皿が目につく。

先程の言葉を考えると、自然と手が動き、皿洗いをはじめた。

こんなしょーもないことで、ワタシの母が、今までの17年間とこれからも続く家事のたった1日のたった朝食分だけのお皿を洗うという、とても小さな負担が減るなら、と思いながら、母想いの子どもを演じつつ、洗った。

意外と、お皿洗いも嫌いじゃないと思いつつ、たまにしかやらないからこそ、こんな呑気なことが思えるのだろう、と思った。


少しずつ、父や母を考え、「大人になること」を考える年頃なのだろうか?

「早く大人になりたい」と言っていた小さな頃から、「大人になりたくない」といろいろ知り、考え、感じる、今。

私にも、大切な人を想い、思ってくれる人が...。
彼女じゃなくて、人生のパートナーが欲しいぃ〜(17歳男性 独身 高校3年生)

『家族はつらいよ』の蒼井優さん可愛かったぁ〜...。
羨ましいぞ、妻夫木聡!

違うか、。
赤メガネ!!!(山里亮太)

 

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