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「CONNECT歌舞伎町2023参戦記」 〜水曜日のカンパネラから、おとぼけビ〜バ〜まで〜

昨日は歌舞伎町を中心としたサーキット型フェス「CONNECT歌舞伎町」に行く。複数のライブハウスで同時多発的に行われるライブを回るフェス。
チケットは6500円。水曜日のカンパネラとChelmicoとおとぼけビーバーが参加していたことで決める。

歌舞伎町も久しぶり。リストバンドをもらいにTOHOシネマズ前のシネシティ広場へ。近くにはAPAホテル。ん、ここは?そうだ、去年の夏にコロナで隔離された場所だ。あの時、APAホテルは東京都の宿泊療養施設になっていた。苦い記憶がよみがえり、あごにかけていたマスクをあげる。まずは水曜日のカンパネラだ。

【13:00-13:40 水曜日のカンパネラ@新宿BLAZE】

時間通りに客電が落ちる。会場に「ティンカーベル」の音楽が流れる。
会場後ろの入場口にライトが当たる。そこからヴォーカルの詩羽が!こっちに来るかな?客の間を縫って、歌いながら歩く。こっちに近付いてくる。
刈り上げた頭。吊り上げられたアイメイク。東南アジアの秘密の宗教の化身的な佇まい。人を惑わせ魅了する妖精のよう。

2曲目は「バッキンガム」先代のヴォーカル・コムアイは表現者としての個性やしなやかさが際立っていたけれど、詩羽の魅力はちょっと違う。音楽やリズムに同期したダンス。彼女自身がひとつの音符のように見える。曲のラスト、銃声のような効果音に撃ち抜かるような動き。音楽が彼女を貫く様がビジュアルとして浮かぶ。

3曲目は「ディアブロ」サンドイッチマンの温泉の番組のテーマ曲でもあった曲。歌の前に、フリ&レスポンスの練習が入る。
「いい湯だね、いい湯だね!」
中高年男性の声に詩羽が反応する「野太いなー、オジオジばかり?若い子も頑張って!」この「オジオジ」というのは、つまり僕のようなオジサンのことで、少しドキッとする。確かに会場には彼女の親世代の、年老いたオタクっぽいルックスが多い。(たぶん僕もそう見えているはず)

「オジオジは、お金あるんだから物販頼むよ!」的に、その後も「オジオジ」呼びは繰り返された。女性アーティストにとっては、お金を持ってる階層だけに無視できないんだろうけど、微妙な気持ちもあるのかなと思ったりもする。

「赤ずきん」からの新曲。そして「エジソン」ステージには彼女しかいない、カラオケのような状態。たまに着ぐるみなどが登場するけれど、演出はシンプル。だからこそ、会場の目線は彼女一人に集中して、その中で堂々と歌いきる。きゃりーぱみゅぱみゅのように、小柄でも体幹のしっかりとした立ち姿。スポットライトの中で静止してポーズを決めると、神々しさすら漂う。後半になってくると、息も切れてくるけど苦しい感じを出さないプロ根性もさすが。

次は「桃太郎」唯一のコムアイ時代の曲。その頃からやっていた巨大なビニールボールの中に入って客の上で大玉転がしのようにぐるぐる回る演出もやる。こっちに転がってくるかなと思っていたら、早々にステージに戻されてしまい、彼女も少し不満そう。

ラストは「招き猫」巨大な猫の人形が登場し、
可愛く福を招いたり、厄を払ったりして終わった。

【13:40-14:20 餃子居酒屋で休憩】


次はどこに行こうか?
16:30のChelmicoまで、絶対見たいバンドは無い。
久しぶりのライブで、足はすでに疲れていた。居酒屋でひとり作戦タイム。
生ビールが290円くらいだから入ってみら、お通しが400円。なんてこった!気を取り直して、スケジュール表を見る。

生ビールを呑みながら、Apple Musicでバンドをどんどん検索して
「トップソング」に上がっている曲をどんどん聴いていく。楽しい。

Cinema Staff
YAJICO GIRL
宇宙団
Klang Ruler
THE STEPHANIES
CRYMY
ルサンチマン
メレ

なんとなく、さっきの「オジオジ」というワードが心に引っかかっていて
そう言えば、今日のお目当ても女性アーティストばかりなことにも気付き、
「ここは、ガツーンとしたロックバンドに行かねば」という気持ちになる。
(何に引け目を感じているのか)

一番ガツーンとしていたのは、ルサンチマン。バンド名も我らが90年代バンドブームっぽい。シンプルで、あえて洗練されてない感じ。よし行こう。場所はMarble。狭い階段を降りていく、いかにもなライブハウス。

【1450-1520 ルサンチマン@Marble 】

15分前くらいに会場に入ると、すでに演奏は始まっていた。
あら時間間違えたかなと思うと、それはPAチェック。
こういったイベントでは当たり前なのかもですが、最初以外は完全に客がいなくなる状況がないためバンドは皆、客の入った状態でチェックを行います。メンバーはきっとやり辛いんでしょうが、聞く方はラッキーです。
バンドは「あと6分?じゃ、一曲通しでやります」なんて言って演奏を始めました。疾走感があって、ドラムのビートが強いストレートなロック。
期待が高まる。

ヴォーカルは長めのマッシュルームカットが目を隠すくらいの内省的な佇まい。歌詞ははっきりとは聞こえないけど、ナイーブでちょっと情けない心象風景を歌う感じ。力強いドラムがバンドを前へと進ませる。そう言えば、PAチェックでもドラムの人がたくさん注文を出していたような。ストイックにストレートに音楽に向かっている姿勢が気持ちいい。
心地よく、時間は過ぎて行きました。

でもふと気になることがあった。この会場で、おとぼけビーバーもやるんだよね。小さめのハコだけど、大丈夫かな?

【1630-1715 chelmico@ZeppShinjuku】

おし、次はchelmicoだ。もう一つ違うバンドを挟もうかとも思ったけど、
chelmicoとおとぼけビーバーは、こんな時じゃないと至近距離で見れない気がして前のバンドの終わり際に会場に向かう。
Zepp Shinjuku  今回で最大の会場。
最近できたらしい歌舞伎町タワーという、めっちゃ立派なビルの地下一階。
大資本と大デベロッパーが作ったような複合ビル。観光客も多い。庶民的なルックの屋台村っぽい施設もあるけれど、行く前から値段設定がわかるような感じ。絶対、生ビールは500円以上でしかも税抜きだ。僕らが20代に酔い潰れていた歌舞伎町っぽくない建物。まぁ、今日は別にいいや。

会場に入ると、chelmicoの次のTHE BACK HORN のファンがすでに場所取りで最前列にいる。むむむ。これはアウェーかもな。僕は物販に向かってタオルを購入する。タオル振ったりするのって、したことないけど今日はしてみてもいいかなと。ちょっとしたサポーター気分。

この会場でも、開演前にPAチェックが行われる。
DJのパーシーが登場して、Disco(Bad dance dosen’t matter)のトラックを流す。大好きな曲。トラックには名フレーズ「Tシャツの袖ビロビロ、だけど気にしないの もうベロベロ」の「ビロビロー」と「ベロベロー」が入っていて、なんかアルバムのインストを聴いてるみたいで楽しい。
ていうか、ボーナストラックでほしいっす。

10分前になると、RachelとMamikoも登場!うひょー。
「あ、ごめんごめん」みたいな感じで出てきて、何か必要以上に無表情な感じでリハを行う。「3億円」と「Meidaimae」あくまで、これはリハだからさ、的な。でも僕らは超嬉しい!
結局本編でこの2曲はやらなかったから、得した気分。

で、本編が始まる。タオルを持って登場のふたり。一曲目は「Player」
サビでタオル振る曲です。タオル振るのってちょっと恥ずかしいし、意外と難しい。でも頑張りました笑。MCでは、BACK HORNの客にも感謝の言葉を伝える2人。
「Chemicoのこと、 好きになってもいいかもって人いる?」なんて聞いていく2人には実はある種の肝の太さと覚悟があって、それを普段着の友達感覚でくるんで巻き込んでいく感じ。やっぱすごいねchelmico。MCはひたすらグダグダだけど笑。(ダイアンとかのお笑いの話は、身内の時にとっておこう)

2曲目の「ハイライト」を終えると、少しペースダウンすることを宣言しての2曲。印象的なベースで始まるのは「COZY」僕がChelmicoを好きになった曲、ライブで聴くのは初めてかも。

Rachelの出産での活動休止前、世界はコロナの真っ只中。もしかして2人も不安が多かった時期かも。でも好きな音楽と大切な人(あるいは大切なこと)との時間があればいいんじゃない。そんなことを肩の力が抜けた2人が歌ったこの曲に、どれくらい助けられたか。何度も見返したPVと同じような、ドラムを叩くポーズをするMamikoと、それに「このフレーズはベースでは?」的に笑うRachel。ふたりにだって、色々な歴史はあるんだろうけど「女の子友達」の理想形みたいなものを伝えていく。

3曲目は「Baloon」なぜか別れた彼氏の手首の匂いにこだわる歌。
続くは、Rip SlymeのFumiyaが作った「Good Game」
1月発売だけど、まだ新曲だよ!と言い張る2人。

からの「Disco(Bad dance dosen’t matter)」
そして必殺の「Easy Breezy」
アニメ「映像研には気を付けろ」の主題歌。最高の出会いでした。

そして、Rachelが伝える。
「次の曲が最後です」
 僕らは応える。
「えー!」

お約束のやり取りに嬉しそうなRachel。
「これがずっっとやりたかったのよ。もう一度、いい?次が、最後です!」
僕らはそれに付き合う。
「えー!」

でも本当に、こういうハッピーな時を待ち望んで来たんだろうな。
そうだよね。まだ、中途半端にマスクをしてしまってはいるけれど、こんな時が来るなんて夢みたいだよ。

最後は、コロナの時は声が出せなから手拍子でコール&レスポンスをやっていた「Love is Over」それを僕らは完全な形で行った。

「愛したい!」
 「愛したい!」
「恋したい!」
 「恋したい!」
「でも愛されたい!」
 「愛されたい!」
「say!」
 「Love is Over」

楽しそうな2人の姿に、僕らも幸せになりました。

【17:35-1805 999999999@LOFT bar】

新宿ロフトは、実は行ったことがなかったので行ってみる。
999999999 は、何て読むんだろう。
9兆9999万9999?やっぱ英語かな。
曲を聞いてみると、ハードコアテクノっぽい感じ。に思えた。
マッドカプセルマーケッツ的な。いいんじゃない?
10分前に行くと、やはりPAチェック的に演奏が始まっていた。

ボーカルは、千鳥の大吾をさらに迫力持たせたような感じ。
「うぉーっ」と叫んでいた。ハードコアパンク系かな。

でもMCになると、隠し切れない人の良さが発露。
「福岡出身、東京で活動中。9を9つ並べて「キュー」と発します」
的な感じ。え、9を九つならべて「キュー」なのか。
男気もあるけど、どこかファニーな感じもあって、
これはもしや我らが北九州っぽいセンスのような気もしました。
どうなんだろ。
「俺らのライブ。写真、撮影、拡散OKです」と言いながら、次の瞬間。
「何ならマネージャーの@@さんに聞いてもらっても」的なことを付け加える感じもすっごく人間的。

でもライブは、ゴリゴリ。フロアにも降りてきて精一杯暴れていました。
人と人が体をぶつけ合ってるのはいいですよね。
エモーショナルでした。

【1830-1930 石野卓球@シネシティ広場】

そして最初のシネシティ広場に戻る。石野卓球のDJが始まる時間。続々と人が集まってくる。すっかり日は落ちて、少し寒さも増してくる。時間通りに石野卓球が登場。スタジャンっぽいジャンパーにキャップをかぶる。体の厚みが、ある種の年輪を感じる。ベテランレスラーみたい。何かを呑みながら、DJを始める。

最初の10分くらいは、低音のビートの繰り返し。そこから、徐々にキャッチーなリフや、印象的なヴォーカルが加わっていく。スタジオの背には、歌舞伎町タワーのモニターがあり、そこにはVJ的なグラフィックや場内の映像が融合し、時に卓球もそれを意識したポーズを取る。
シャイな笑顔を浮かべたり、「ほら、いいだろこれ?」的な煽りをしてみたり、スペシウム光線のポーズを取ったりするけれど、自ら声を発することはない。あくまで今日はDJ。

でも、僕らは色々な動きや音楽に、勝手に石野卓球や電気グルーブの音楽や歴史や発言を重ねて楽しんでいく。1時間をかけて、徐々に徐々に盛り上げていく感じは、刺激的であり知的でもあった。

【2020-2050 おとぼけビーバー@Marble】 

Zeppで一瞬、大森靖子を目撃したのちMarbleへ。
ちょうど、前のバンドが終わる頃だったけど、店の前にはすでに行列ができていた。

会場に入ると、外国人の多さに驚く。NHKの「キャッチ!世界のトップニュース」をきっかけに聴き始めたおとぼけビーバー。関西発の女性バンドだけど、海外の人気の方が圧倒的。
歌詞はほぼ日本語だけど、そのまんまで受け入れられている痛快な存在。
ぶっちゃけた、という言葉では足りないあからさまな歌詞をパンクに乗せてぶちまける。とんでもない、としかいいようのない存在。めっちゃ楽しみ。

10分前には、やはりメンバーがやってきて準備を始める。ヴォーカルのあっこりんりんは、セットリストをそれぞれのメンバーの見やすい位置にガムテープで貼っていく。曲名は見えないけど、結構な曲数があるのがわかる。
かと思うと、地べたに座って念入りにストレッチを行なっていく。そしてPAチェックでいくつかの曲を通しで披露。その間にも客はどんどん入っていく。「奥に詰めてください。前にも進んでください。一歩、いや半歩でも」そんなアナウンスが。結果的に、途中で入場制限が入ったらしい。僕は上着をリュックに入れて準備したけれど、そもそもリュックも預けるべきだったと後悔する。

時間通りにライブが始まる。とてもセットリストを記す余裕は1ミリもなかったので記憶力頼み。
1曲目は「ヤキトリ」

I’m sorry one day
Your post box
Throw into YAKITORI
It’s me

中学生のような明瞭な発音と、それくらいの学力でわかる英文。
でも内容はとんでもない。歌詞の基本は女性のpopでmadな恨み節。
英語もあるけれど、日本語の一語一語をパンクに乗せる感じは、ある種の発明。外人はきっと日本語の意味も知らずに、音楽でノっている。

そこから立て続けに2分程度の楽曲を連打。ネットには「開始10分で客が疲れていた笑」と書かれていたけれど、激しく揉み合う会場の最前列は、なかなかの感じでした。久しぶりに観客の上をローリングする人を支えたりもして懐かしい!僕は背が高いから、祭りの神輿とかでも結構重さを支える役割を担うことが多い。それなりに持ち堪えられたのは、ちょっとよかった。

最初の10分で客を圧倒したおとぼけビーバー。メンバー4人はチャイナドレスをポップにしたような衣装で、ガシガシとハードなビートを叩きつけていく。そして攻撃の第2陣は中盤で繰り出される名曲「ジジイis waiting for my reaction」まずはPVをどうぞ笑。

はい。SNSで彼女に絡む、訳知り顔のジジイをストレートにディスるナンバーです。なにか音楽業界では、ジジイをいじるのがトレンドなんでしょうか?曲の前には親切にひとりひとり指さして「ジジイ、ジジイ、あんたは若いな、お前はジジイ」と宣告するボーカル。

その後のMCでも、ドラムのメンバーの誕生日に「@@さん、ハピバ!」と声をかける客に沈黙で応じ、

「勝手にコミュニケーション取ろうとするなジジイ」
「ハピバとか略すのがキモい。誕生日おめでとうございます、だろ?」と吊し上げる。

「もっとたくさんやれ!」と煽る客にも、ああ?って顔で、「何で命令形?」と返す。お前らは黙って私たちの歌を聴いていればいいんだよ。敵意というか安易に馴れ合うことを拒否する姿勢は、尖ってた頃の中川敬を超えている。客の中に「これは言葉に気を付けわなければ」的なムードが流れる。
かと思うと「あなたとの恋 歌にしてJASRAC」の前に「著作権って知ってる?」との何気ない問いかけに、誰も答えないと「あ?聞いてるんだけど?」と凄まれて、僕も含めて数名が「知ってます!」と応える会場。恐怖と笑いと興奮が入り混じる独特の空間でした。

翌日も同じ会場でライブがあるようで「何で縁もゆかりもない場所で2日連続でやらなあかんねん」など毒を吐きまくりだった彼女たち。唯一、親愛の情らしきものを示したのは、こんなMCでした。

「お前らZepp(の会場)とか行った?行ってなさそうだな、お前ら。なんかアンダーグラウンドって感じだもんな」

これを愛情と感じるくらいには、飼い慣らされていました笑。

その後も、激しく短いナンバーは続きます。激しいパンクナンバーに突如の転調や繰り返しもあり、ボーカルはそのビートの変化に、コミカルな体の動きを完全に同期させてみせる。変な話だけど、めっちゃ練習していることがわかる。気合いとユーモアと怒りと練習。

さらに印象的なドラムのビートで始まる「ハートに火をつけたならばちゃんと消して帰って」そのビートに合わせて、ボーカルはガニ股で大きく足で地面を踏みつける。その格好良さ!

それはつまり、女性がイライラを示す普通なら小刻みに行う足踏み。それと同じ感情を、地面を踏み抜くかごとくの勢いでガシガシと行う。
ちょっとお笑い担当っぽい感じに見えたギタリストも、トム・モレロのように高い位置でギターを構えて弾きまくる姿はめちゃめちゃ格好いい。

ライブは終盤に差しかかる。「もう少しで終わります。と言ってもあと5曲か」的なことを宣言してニヤリと笑うボーカル。負けるわけにはいかないと僕らは決心の覚悟を固める。

「サラダ取り分けませんことよ」
「孤独死こわい」
「一級品の間男」
あたりを確か披露して、ライブのクライマックスは

「リーブミーアローンやっぱさっきのなしでステイウィズミー」

「ひとりにして!と言ったそばから、そばにいて〜」
複雑で、ちょっと弱い心の動き。でもそれをとてつもない熱量で叩きつける。

リフは「今度こそ生まれ変わりますから」の繰り返し。
そんなわけあるか!と笑いながら思う。口に出したら怒られるけど。

そんなこんなでライブは終了。体はびしょびしょ。本当はギターウルフにも行きたかったけど、体力は残っていませんでした笑。僕はChelmicoのタオルで体を拭いて、家路に着いたのでした。

(その後、修正や思い出したことあったら、アップデートします!)


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