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大谷翔平のこと

大谷翔平のこと。真実がどこにあるのかはわからないけれど、スポーツ好きとして気になることはある。

記者会見。多くの人が指摘したように、水原氏を語る言葉は「あの人」から「彼」になり、「一平さん」で落ち着いた。

真実がどこにあるかはわからない。
伝わってきたことは、大谷が会見で語った経緯は、綿密に打ち合わせされたもので、大谷翔平は「そう語らなければ」危機に陥る状況だったのだろう、ということ。どういう危機か、それはきっと野球ができなくなる危機だ。

押さえつけていたものは水原氏への思いであり、天秤にかけて選んだものは自らの野球人生だったのだろう。

疑問は昔からあった。
野球に不必要なものを極限まで削ぎ落として歩んできた大谷翔平の野球人生。生まれ持った資質と才能を一心不乱に高め続ける日々。全てを野球に必要なものと、そうでないものに峻別し、後者を極限まで排する生き方。

どうしてそこまでできるのか。あまりに完全すぎるが故の異質さ。彼と比べれば、イチローなんか可愛すぎるくらいに人間的に見える。

そんな大谷翔平にとっての水原氏とはどんな存在なのか。それが前から気になっていた。水原氏は、僕らには見えない大谷翔平の凹みのようなものにハマったピースのようにも思えた。それはどんな凹みなのだろうか。大谷はなぜそれほどまでに、彼を必要としたのだろう。

今、わかること。
それはもう永遠に語られないだろうということ。
大谷翔平は、水原氏のことを恐らく2度と語らないだろうし、問うことを許さないだろう。大谷翔平という謎を紐解く鍵は失われた。

水原氏が一度語って、すぐに撤回したストーリー。
彼が賭博から足を洗うことを誓わせて、大谷が借金を肩代わりしたという経緯。最初にそれを目にした時、それはとても腑に落ちるストーリーだった。大谷が取りそうな行動。2人の関係にふさわしい物語。

それは今や認めることのできない真実だったのかもしれないし、賭博で間違えた水原氏の創作だったのかもしれない。どちらにしても悲しい。
それはかつて2人の間にあって今は失われた、2人の深い関係を雄弁に語っているから。

大谷翔平はあの会見で、水原氏のことを一度も責めなかった。

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