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【フィンランド 幸福度指数2年連続1位の社会福祉】

#フィンランド
#幸福度指数1位
#ラヒホイタヤ

本日富山大学で、フィンランドの社会福祉について特別講演。
演者は、ラヒホイタヤのテーリカンガス里佳さん。
 ・・・一言でいう感想は、日本はいったい、超高齢社会はなにを目標に向かっていけばいいんだろうって思った。
 
漠然と、自分は日本もフィンランドのように徴収税額を増やし、社会保障費(医療費、介護費)をまかなうことができればいいのかなって思っていたが、意外とそうではないようだ。
国連が発表した世界幸福度ランキングで2年連続1位となったフィンランド。ちなみに、日本は58位。幸福度ランキングを信じて、フィンランドに来ても失望する人もいるだろう。生活に満足はしていても、感情的には満足していないというのが実情で、感情的な部分であればパラグアイの方が満足度が高いだろうとのこと。(生の声が聞けた~)
 
フィンランドは、日本から飛行機で10時間ほどかかり、8000㎞離れているところに位置している。森と湖、ムーミンが有名な社会福祉国家。日本のように、石油や天然資源がないため「教育」に力を注いでおり、国際学力調査(PISA)において長年上位を保っている。
 
ライフスタイルにおいては、
・男女平等の考えが強い
・夫婦共働きが基本、、、そうでないと生活が成り立たない
・子どもは生後10か月から入園可能
・夏に4週間のバカンスあり❕
・学校を卒業したらまず家を買う。家が大好きで誇りを持っており、買ってから仕事に就く人もいる。
 
フィンランド人は、
・他人から干渉されない。自分は自分。他人は他人。
・「型」にはまった人生のレールがなく、勉強したいときにでき職業の再選択も可能。
日本のように、高校→就職、高校→大学→就職といったレールがないようだ。
 
SISU=フィンランド魂
他民族よりタフで執拗な意思を持ち、忍耐力がある思っている。第二次世界大戦中、ロシアに再征服されなかったこと、戦争後の賠償を予定の半分の期間で支払ったことなど、SISU魂が強い。自宅が大好きだから、簡単に介護施設に行きたがらない。
 
税金と社会保障
・もし、男性が手取り30万円/月×12か月×40年=1億4400万円(生涯年収)だとすると、7900万円ほど一生涯で税金が引かれていく。(税金:17万円/月)
・税金の詳しい内訳は省くが、全ての子供は教育を受けることができるようになっている。
・「もっと良い社会」になるならと、喜んで税金を払う。。。(日本にそんな風土はないなって思った)
・個人の貯金はないが、いざという時はサポートを受けることができ、それを恥と思う文化ではなく、また社会もサポートを受ける人に対して悪感情が少ない。。。(ここも、日本にはそんな風土はないな。というか、介護サービスを受けていることを隠したがっている印象)
・年金は65歳から。基本:6171€。さらに、15363€、32485€がある。
 
フィンランドの高齢者サービスの歴史
・1800年代:「救貧院」というキリスト協会が建てた建物に、障がい者、孤児、高齢者、精神病患者、病気の方を住まわせていた
・1920年代:協会に代わり地方自治体が運営するようになり、考え方もより社会的になった
・1960-70年代:高齢者に自分の部屋と彼らの独自の必要を考慮する老人ホームが建設されるようになった
・1980年代:訪問介護とサービス付き介護施設が建設されるようになる

自宅介護
・施設高齢者介護は高額で税金投入金額も多いので施設介護を減らし、なるべく高齢者が最後まで自宅に住むことができるような方向にすすめている
・高齢者が長く自宅に住めるように、階段やバス・トイレに手すりをつけたりなどの援助も自治体がする。

サービス付き介護施設入所の基準
・訪問介護が1日に3回以上
・InterRAI とMMSE
・自分で身の回り、特に衛生面の世話ができない
・何人もの専門家、医師、看護師などが総合的に判断する。。。(実情は自治体に所属する当人と会ったこともない専門家5-6人が決めている)
・身に危険が及ぶようになる(徘徊など)
 
サービス付き介護施設入所までの問題点
・「孤独」、「さみしい」が理由では入所できない
・「施設暮らしの方が安全で、施設に移りたい」と思っても、簡単には公立の施設に入れない
・提案された施設が気に入らず断ると半年は順番が回ってこない
・私立は費用がかかりすぎる(50-60万円/月)、払える人はほとんどいない
・自己決定権が認められているとはいえ、入所したい本人、させたい家族、それにNoという自治体のバトルになってしまっている
 
サービス付き高齢者住宅
・基本料金:5460€/月(67万円/月)
・緊急ブザー、洗濯、24時間見守り付き
・ほかの支出は自腹。(食事、部屋の掃除、薬)
・24時間介護だが訪問介護扱い。外見は施設のようだが、訪問介護として介護者がいる。介護必要のレベルにより利用料金は異なる。
・ほかに介護を必要としない家族がいる場合でも入居可能
 
ターミナルケア
・自宅で最期を迎えたいと思っても、実現できる人はわずか。最後は病院で迎える人が多い。
・ターミナルケアが始まると、介護用品は無料
・痛みがある場合は緩和し、他の症状にも対応するが、緩和薬以外の使用は中止となる
・患者本人と家族の生活の質が落ちないように助ける
 
ゼロ決定
・施設介護の場合、極端に年金が少ない場合は「ゼロ決定」とし、お小遣いとして残す以外のすべての年金を支払いに回し、足りない部分は自治体で捻出。お小遣いの金額は自治体によって異なる。
 
介護、日本との違い
・北欧諸国は、あまり寝たきりの方はあまりいない
・寝たきりにさせないので、褥瘡になる人があまりいない
・自分でできることは自分でする
・「自己決定の尊重」方針のため、「意味のない長生きが人生の目的としない」ため、高齢者の延命のためだけの胃瘻や点滴はない
 
高齢者が抱える問題~孤独~
・フィンランドには孤独死という言葉はないが、火と井出誰にも看取られずに亡くなる人も多い
・高齢者の鬱の治療は社会保障制度で支払われないため、そのままになってしまう。
・狩りが盛んなため、銃を持っている男性が多く、男性は銃自殺をすることが多い
 
高齢者介護の問題
・ある医師の調査によると、介護施設でも以下のような虐待は毎日起こっている。
暴力、ベッドや椅子へのくくりつけの身体的虐待、人間尊厳の欠如などの精神的感情的虐待、霊的虐待(信仰の停)、性的虐待、お金や物などの盗難
・人件費が高い
・人材不足・・・訪問介護はハードルが高い、他人の家に入るのが億劫
・テクノロジーでどうにかしてくても、高齢者には受け入れがたい
・施設介護を減らし自宅でというが、自宅でも限界に近い。
 
ラヒホイタヤとは、社会・保健医療共通基礎資格で、フィンランドの国家資格。
どんな仕事をするのかというと、子どもから高齢者まで幅広く日常生活ケアを行う仕事で、働くときに小児・高齢者・障がい者を対象にするのか選べるんだとか。テーリカンガスさんは高齢者介護をしていて、業務内容は、傷の手当・シャワーや排泄補助・薬の管理・接種・配膳。看護師の仕事は、予防接種・血液検査とのこと。医師と連携したり、お出かけに付き添ったりなど他にも業務内容はあるそう。
 
日本でも一時期言われていた、看護師・介護士・保育士の資格統合はここからきていたのかなって思った。
 
 
フィンランドでは税金を多く徴収して、医療費・介護費用を支払えても、現在の日本と同じような問題が起きている。なぜこのようなことが起きているのか質問してみると、税金が多く手元に残るお金が少ないため、娯楽などできずストレスを抱えて矛先が高齢者にいってしまっている印象とのこと。現在の日本でも同じような問題が起きている気がする。
どのように解決していけばいいのか、ずっと考え続ける課題なのかなって思った。

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