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わたし、サボテン。サボテンのディスキディア……、あれ、なんだっけ、まあいいっか。
わたしのことをご主人様はグリちゃんと呼ぶ。きっとわたしがきれいな緑色だからなんだろう。
わたしはどっかの農園で株分けされた。
ねえねえ、知ってる? わたしたちサボテンはね、株分けされると意識が芽生えるの。そして新しいご主人様が来るのを待つの。
わたしは通信販売でご主人様のところに来た。わたしはサボテン、お水はいらない。でも暗いところは好きじゃない。だって怖いし光合成できないんだもの。
わたしたちディスキディアの村の人たちは、蔓を伸ばして下に伸びる。
だけど、ご主人様の気持ちは違うみたい。
わたしたち、サボテンはご主人様の気持ちがわかる。ご主人様の気持ちが矢印になって目に見える。
わたしは下に伸びたいんだけど、ご主人様の気持ちは違うみたい。ご主人様の矢印はいつも上を向いている。
上へ、上へ。
応援してくれるのはわかるんだけど、だけどわたしは下に伸びたいんだけどな。
わたしはいつも部屋の中にいる。その方が暖かいし、光は入るってご主人様は言ってた。
毎日霧吹き。そして葉っぱをきれいに拭いてもらう。とってもさっぱり、気持ちいい。
そして土が乾いたら少しだけお水をもらう。たくさんはいらないの。たくさんもらうと根っこが腐っちゃう。
ある日、ご主人様はわたしを外に出してくれた。物干し竿に引っ掛けて、わたしの鉢を下げてくれた。
外の空気は気持ちいい。風もそよそよ、葉っぱがそよぐ。
だけどそのうち雨が降り出して、風もとっても強くなった。強い風に葉っぱがざわめく。
ダメダメ、こんなに吹かれたら葉っぱがなくなっちゃう!
葉っぱがなくなったら光合成ができなくなっちゃう!
でも大丈夫、すぐにご主人様はわたしを中に取り込んでくれた。
ご主人様の矢印はわたしの方を向いている。とっても心配してくれている。
大丈夫、蔦は千切れなかったから。名札も飛んでっちゃったし、葉っぱも少しどっかにいっちゃったけどわたしは平気。
わたしは暖かいお部屋で霧吹きしてもらうとゆっくりと蔦をくつろげた。
今は安心、大丈夫。
ご主人様の矢印がまた上を向いている。
わたしは下に行きたいんだけどな。
でもいいの。上に行っても下に行っても、どっちにしてもご主人様はわたしを見てくれる。
ご主人様が見てくれればわたしもがんばれる。
見てて、ご主人様、わたし世界一立派なディスキディアになるから。
見ればわたしの矢印も上を向いていた。
そうか、矢印は意志の向き。
うん、明日もがんばろう。頑張って光合成するぞ。
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