見出し画像

ドローンでコンパスを使用せずに飛行させるには

現在、多くのドローンはコンパスを搭載していると思います。
自律制御を行うドローンで使用される主要なセンサーとして以下が挙げられます。

・IMU(加速度、角速度)
・コンパス(方位)
・GNSS(位置情報)
・気圧計(高度)

製品によっては、ビジョンセンサーや距離計などの追加のセンサーを備えていたり、屋内飛行が中心であれば GNSS アンテナは付けていないといった一部のセンサーを取り外す場合もあります。

上記の中でコンパスは方位を示すため、自律飛行には欠かせない存在です。
しかしながら、鉄、磁石、送電線など電流の周りでは磁界の影響により方位に誤差が生まれます。

コンパス無しで運用できる機体を作りたい場合、どのようにすれば方位を取得できるでしょうか。
絶対的な方位を取得したい場合には、以下のようにGNSS をうまく活用することが挙げられます。

1. IMU と GNSS を組み合わせる
 移動時に向きを算出する
2. 2つの GNSS アンテナを使用する
 一定距離を離して配置した2つの GNSS 情報の差異から算出する

1 の方法のメリットは既存の構成で利用しやすいことですが、デメリットは移動するまでは方位が算出できないことです。

2 の方法のメリットは移動しなくても方位を算出できることですが、デメリットは追加でGNSS を用意しないといけないことです。

そして、共に GNSS の精度に依存します。

2に関しては、デュアルアンテナが内蔵されていて算出した方位を取得できるデバイス(Trimble MB-Two RTK GPS receiver や VectorNav VN-300)もありますし、GNSS モジュールの設定で方位を取得する方法(ZED-F9P)もあります。

また、相対的な方位のみでよい場合には、IMU のみである程度算出できますし、SLAM を利用する方法もあります。
屋内などの GNSS が使えない場所では、相対的な方位を使用して自律飛行を実現させるのがよいでしょう。

ArduPilot を利用して、コンパスを使用しない飛行をしたい方は以下のドキュメントを参考にしてください。

GNSS の精度が上がるほど、方位の精度も求められます。
コンパスを使用する場合には環境によって十分な精度を得ることは難しくなります。
ただ、GNSS の精度が上がった分、方位も GNSS を頼って算出しちゃおうというのは理にかなっていそうです。
コンパスは磁気の干渉を考慮して設計や運用を考えないといけないため、検討項目が多くなり大変です。 

これからはコンパスレス運用が主流になるかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?