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家族

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いつもたいへんなときに支えてくれる家族という存在について書いています。子育てで悩んだことや、つまの心の病気とのかかわりなど、「自分とこだけじゃないんだ」と思いつつ読んでいただけれ…
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#やさしさ

母の入院で教えられた思いやり

母が急に意識をなくして病院に運ばれてから亡くなるまで、毎日病院に行きました。 もう9年前になります。 夜になって、病院の玄関から待合室を通り、病室に向かいました。 意識がないまま苦しみつづけている母のことを考えながら歩いた廊下は、かつて私が救急隊員として何百回も病人やけが人をストレッチャーに乗せて搬送した、見慣れた場所でした。 夜なのに、診察室の前の長イスには数人の人が座っていました。 薄暗い照明の下で、その人たちの表情は見えませんでした。 その時ふいに、不安そう

母が教えてくれた やさしさの意味

昨日は、97歳になった父の血液検査の結果を聞くために、兄と待ち合わせて病院に行きました。 「肺に影がある」 と、CTの映像を見つめながら医師がいった言葉を兄から聞いて、 ついに来たか! そう思いました。 97歳まで生きられたなら万々歳ではないか。 それでも、本人の望みどおり100歳まで生きてくれたら、というのが子どもとしての願いです。 ずいぶん待たされたあと、ようやく医師の説明を聞きながら、9年前に母が倒れたときのことを思い出しました。 当時から聴力が落ちていた兄と