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集中治療室で働く看護師のストレスと不安に対するマイクロラーニング方式に基づくmHealthアプリケーションを用いたレジリエンストレーニングの効果:ランダム化比較試験

The effect of resilience training with mHealth application based on micro-learning method on the stress and anxiety of nurses working in intensive care units: a randomized controlled trial

Maryam Abbasalizadeh, Zahra Farsi , Seyedeh Azam Sajadi, Afsaneh Atashi and Andrew Fournier
Journal of Clinical Psychology(2023)

背景
ICUで働く看護師は高いストレスと不安を経験することが知られており、これに対処するための効果的な介入が求められている。mHealthアプリケーションは、教育と健康管理のツールとしての可能性を秘めており、特に繁忙な職場で容易にアクセスできる形式であるマイクロラーニングが有効であると考えられる。

目的
ICUで働く看護師のストレスと不安を軽減するための介入として、マイクロラーニング方式に基づくmHealthアプリケーションを用いたレジリエンストレーニングの効果を評価することである。

方法
本研究はランダム化比較試験として設計され、ICUで働く看護師をランダムに二つのグループに割り当てた。対象となるのは、都市部に位置する2つの大規模病院のICUである。ひとつはレジリエンストレーニングを受ける実験群、もうひとつは通常の業務を続けるコントロール群である。レジリエンストレーニングは、特定のmHealthアプリを通じて提供され、参加者は週に3回、各セッション10分間のトレーニングを4週間にわたって受けた。データは研究開始前、終了時、および終了後1か月に測定される心理的評価を行いました。使用された主な評価ツールには、ストレスと不安を測定するための標準化された尺度(例えば、不安状態特性質問票-STAI)が含まれる。統計分析は、t-テストとカイ二乗検定が使用され、有意差の閾値はp<0.05と設定されました。


アプリのインターフェイス
アプリのインターフェイス

結果
研究開始前の介入群とコントロール群のストレスと不安のスコアには有意な差はなかった(P > 0.05)。介入後、介入群はストレススコアが平均10.77±3.33から平均9.00±1.66に(P = 0.001)、不安スコアは平均9.43±3.35から平均7.93±0.98に有意に減少した(P < 0.001)。対照的に、コントロール群はストレスレベルが平均10.10±2.19から平均10.73±2.15に若干増加し(P = 0.002)、不安レベルは平均9.10±1.63から平均10.23±1.65に増加した(P < 0.0001)。

結論
介入を受けた看護師は、ストレスと不安の両方の指標で、介入前と比較して有意に改善された。これは、マイクロラーニングというアプローチが忙しい職場環境においても効果的に取り入れられることを示唆した。また、介入効果は研究のフォローアップ期間を通じて持続し、長期的な利益をもたらす可能性を示唆した。この結果は、ICU看護師にとってストレス管理の重要性を強調し、労働環境の改善と職員の福祉向上に向けた実用的な介入を促進する基礎となりうる。将来的には、この研究を基に、他の高ストレス職場で働く人々に対しても同様のアプローチを適用することで、広範な職場におけるストレスと不安の問題に対処できる可能性がある。

学び
マイクロラーニングは、医療現場で働く従業員の学習と相性が良いと感じる。学習内容も、看護というよりは看護師として働く「自分」にフォーカスした内容であり興味深い。意外と、このような学習内容は選択されていないのではないか。


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