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スポーツと高校数学って関係あるの?

先日所属する研究室の企画でスポーツバイオメカニクスでどのように高校数学が活用されているかをお話ししました。感想をまとめておこうと思い、久しぶりに記事を書くことにしました。

スポーツバイオメカニクスとは?

スポーツバイオメカニクスはスポーツの技の原理原則を力学的に解明することを目標としている分野だと私は解釈しています。

スポーツバイオメカニクスでは、大まかな分析の流れは以下のようなものだと考えています。
1.スポーツの動作を計測
2.得られたデータを定量化
3.定量化した変数を力学モデルを用いて分析・解釈
ここでは、データの定量化とは「単位のある物理量で表現する」ということを示すこととします。

どこで高校数学が出てくるの?

スポーツバイオメカニクスの分析の中では、データを定量化する際に高校数学で学ぶベクトル微分積分三角関数などが活躍します。

例えばカメラで運動を計測したのであれば、関節位置座標を得ることができます。位置座標はベクトルで表記されますし、加重平均を用いて全身の関節位置座標から身体重心位置を算出することが可能です。映像から時系列のデータが得られていれば、身体重心位置を微分することで身体重心速度、身体重心速度を微分することで身体重心加速度を得られます。

サイエンスでスポーツの動作を考える

スポーツバイオメカニクスでは運動を力学的に解釈します。
運動方程式を用いれば、物体の質量と加速度の積で物体に作用する外力を算出できます。つまり、カメラで得られたデータから身体重心加速度を算出することができれば、ヒトに作用する外力を算出することも可能です。

カメラで計測された位置は目に見える運動の結果です。それ自体を定量化することにも意味はあります。一方で、運動の原因である力は目に見えません。この目に見えない力こそが運動の本質に迫る上で重要であり、運動の原理原則を解明する助けになると私は考えています。

質点や振り子といった高校物理でも扱うようなモデルで表現できる運動の場合は、高校レベルの知識でも十分にスポーツの動作をサイエンスの視点で考えることが可能だと私は考えています。

企画を通して感じたこと

今回の企画で話す内容を考える中で、高校数学・高校物理だけでも表現できる運動が多くあるんだなと再認識しました。
私の研究分野では、スポーツと高校数学・高校物理という一見すると関係性の薄そうな両者が密接に関わり合っています。高校生アスリートやスポーツが好きな高校生だけでなく、数学や物理が好きという高校生にも、サイエンスの視点でスポーツを考える面白さを伝えていきたいと改めて感じました。

たまには自分の考えていることを文字に起こして表現していこうかなと思います。
(そんなことを思いつつ、次に記事を書くのはいつになるやら…)

では今回はこのくらいで。

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