山下達郎と角松敏生

はじめに誤解を解いておきたい。
というのも、筆者はふたりともファンなのである。
この事を忘れずに読んで頂きたい!

なんて難しい題材を選択してしまったのだろうと少し後悔(笑)。
似ていると言えば似てるし。

結論を言ってしまえば「似て非なる物」なのである。
ちょっとその辺を詳しく、また、偏屈に書いてみようか?

師弟関係

結論から言えば全くそういう事はないと断言。何故、そういう事が言われるのか、筆者には謎である。
角松氏が達郎さんのことを師と仰ぐと言ってるのも一因か…
角松氏のライブに行くとオープニングでわかる。
「ようこそ、角松敏生です!最後までごゆっくり…」達郎さんと全く同じMC。
毎度の事とは言えど、ヤリ過ぎ感は否めない。まぁ、音楽の事ではないからね。
達郎さんは孤高のイメージがあって、徒党を組まない。そんなイメージがあるけれど、実はそうでもない。今回、木村拓哉さんのアルバムに楽曲提供したが、なんと達郎さん直々に、あのクロマニヨンズのマーシーさんに作詞依頼。どんなつながりがあるのか?
ライブのコーラスにもSing Like Talking の佐藤竹善氏を起用したり、結構色んな人と交流があるんです。
何故、こんな事を言うのかといえば、認めた人とは交流が続けている。才能があったり、同じ考え方だったり、人格的に素晴らしい人だったり。
角松氏と同じ時期にデビューした「村田和人」さんは師弟関係だと思います。もちろん、同じレーベルでのデビューなので当たり前と言えば当たり前なのだが、それでも、せっかく出来上がった曲もボツにして達郎さんがプロデュースしたり、演奏で参加したり、作曲法を教えたり。これこそ師弟関係。


本音…角松氏は山下達郎になりたかったのではないかと思います。
達郎さんゆかりのミュージシャンを起用したり、ファンクぽい音楽に移行した時に、急に?マッスルショールズだとか、ルーサーヴァンドロスとか言い始めたとか…(角松氏のルーツ・ミュージックは、邦楽のロックだったはず。はっぴいえんどとか、いわゆる邦楽ロックを聴いていた。もちろん、その中には達郎さんのSUGAR BABEも含まれている。それで、わざわざ海外のミュージシャン、ルーサーとかをルーツ・ミュージックと言い始めた?)

大体、1度たりとも共演してませんから!残念!
教える事もあるわけが無い!

約30余年前の対談がYouTube で聴けます。初対面とは言え、あまりにチグハグな対談。達郎さんは角松氏をフォロワーのひとりでしか見てなかった気が致します。
そして、達郎さんは流行りものとしての音楽、当時のシティポップと言われ始めて、辟易してた。もちろんいわゆる「フォロワー」に対しても…
そこで、フォロワーと同じ様に見られるのがイヤで、名盤「For You」後、夏だ、海だ、達郎だ!からの脱却したのではと
何かそれを象徴してた対談の様な気がした。


■【角松敏生 ✕ 山下達郎】ボーグズバー (VOGUE'S BAR)『アルチザン』『Pocket Music '91 Remix』発売前後エピソードトーク" を YouTube で見る

この後、会うことがあったのか?なさそーだな。

作曲法の違い

達郎さんは作曲する際、約7割が曲先という。多分、アップテンポの曲はほとんど曲先。それもリズムパターンから入ってるに違いない。達郎さんはライブを意識してるから、ステージでの演奏がどの様になるか想像。曲のアウトラインが先にあって、同時にすべてアレンジも頭にあるはず。リズムバターンを作って、それからメロディ。
最後に歌詞を付けていく。そんな順序だと思われます。

一方、角松氏はメロディが先の様に思われて仕方ない。いわゆるシンガーソングライターの手法。ほとんど出来てから、最後にアレンジ、リズムパターン。邦楽に洋楽のサウンドを後から乗せていく。

先日、邦楽ロック論争に洋楽に日本語を乗せると言うことを書いたが、
達郎さんは洋楽を作り、歌ってる。
角松氏は邦楽を洋楽っぽく作って、邦楽で歌う。
この違いは天と地と同様の違いがある。
だから、昔、達郎さんの曲は「歌詞が入ってこない」とよく言われていた。歌詞が抽象的な物が多かったこともあるが。譜割り。歌唱法、もちろん、作曲もすべてが洋楽、
また、言葉も音(サウンド)として捉え、一番「響き」が合う言葉を選択しているように思う。しかも、奇をてらった言葉を使うこともないので、普遍的、エバーグリーンな楽曲を作り続けている。
それ故にリズム、メロディ等、サウンド面が先に耳に入る為だ。
角松氏は歌詞がストーリー性が高く(男女間の恋愛とか多いよね。)、しかも譜割りが邦楽…と言うより歌謡曲なので、耳がストーリーを追ってしまい、結局、歌詞がサウンドよりも優先され、ネットでの話題も歌詞の内容が多くなる訳だ。また、角松氏のサウンドはかなりエコーがかかり、ディレイも多用。キラキラ音が多くなり、耳障りが良くなっている様な…

■角松氏と達郎さんが同じ楽曲をカヴァーしている物があります。
表現法が違うと言えばそれまでだが、それだけではない。違いがわかるだろうか?

元歌は元はっぴいえんどの鈴木茂さん。

山下達郎"砂の女" を YouTube で見る

●"砂の女  / SHIGERU SUZUKI - Covered by 角松敏生" を YouTube で見る

■角松氏がリズムパターンを使用したと言われている楽曲。元歌、パクリとさえも言われている。筆者はパクリとは言いませんが…

●"Luther Vandross - She's A Super Lady" を YouTube で見る

●"toshiki kadomatsu - lucky lady feel so good" を YouTube で見る


リズムパターンを自分の楽曲に取り入れたのだと解釈。しかしながら、取り入れ方が安易過ぎて、ただ、借りてきた感がしてしまいます。どうせ使うなら、譜割りがとか、拍とか工夫するべきだと思います。そのまま使ったから、ただ流行り物として、また、洋楽風としてしか思われない。とにかく残念!

容認できない事

リテイク…再録音の事。
角松氏はそれはそれは沢山リテイクをしています。インタビュー等を読めば、当時、ヴォーカルにコンプレックスがあったそうな。
しかしながら、一流のアーティストは絶対にしない事。特にポップス系。何故なら、この種の音楽は時代が産んだ物だから。その時代にしか生まれなかった音楽だからだ。大事なのは時代感。勢いだとか、制限がある中もがいて作った事。それで支持を得たはず。その当時の自分、そしてファンさえも否定する事になる。全く自分勝手だとしか言いようがない。
角松氏のアルバム「After 5 Crash」筆者が大好きなアルバムだ!リゾートから街、それも夜の街にテーマを変えて、その後の角松氏を示した名盤である。
収録曲に「Airport Lady」がある。あのスピード感。角松氏に言わせれば「いきり立ってる」それが良かった。数年後、テンポを遅くしたリテイク。
最低な曲に様変わり。ライブで別アレンジなら理解もする。改めて発表。全くもって理解不能。これ以外にも多々あり。発表時の物が1番良いに決まってるのになぁ〜。

インタビュー

デビュー当時より歯に衣着せぬ発言は多かったのだが、最近の発言には疑問を抱く。こだわりは構わないし、敬愛する達郎さんも中々の事を発言してた。なんせデビューのステージで、今年のワースト10のアルバムを発表して、「レオン・ラッセルのアルバムは最低だ」なんて事を平気で言ってたし…さすがに今はしないけど…
「オレについてこい」…すごい曲作ったら、聴きますけど…
「もうロスタイム」…なんて失礼な発言。あなたよりキャリアが長くスゲー闘ってるアーティストはゴマンといますよ!
「聴く人を教育」なんて上目線。
そういうのは「硬派」とは言わないんですよ。
ずっと流行り音を使ってたじゃん。
ステージでレコードのスクラッチをした時、苦笑い、失笑したもんな。
大好きな「After 5 Crash」のあいらびゅ音頭でひっくり返ったし…
(音頭で和楽器と融合することは、大滝詠一さんがすでにやってて、和楽器は楽譜が無く、音階も違い、洋楽器とは簡単には上手く合わない。大滝さんは別取りで録音)これも企画のパクリ。オマージュって言うんだろうか?
別名…長万部。これも大滝さんから…Let's Ondo Againでのオシャマンベ・キャッツからでしょ。なんで由利徹さんが好きなんて言うんだろ。
さらに、カセットテープのみの発売だった「阿鼻叫喚」…YMO…ナンバーワンバンド?
さらにさらに…いくらでもありますよ。聴く側はそんなにバカではありません。

だったら、聴かなきゃいいじゃん。ごもっとも!本当にそう思います。
ただ、ただ残念なのです。耳が肥えて来て、昔は気づかなかった事がはっきりしてしまった自分にも嫌気がさします。
しかしながら、角松氏の作品は決して最先端ではなかったのです。しかも、今では古臭さを感じてしまうアレンジが多く感じ取れてしまいます。
彼は本当に器用。それがアダになってしまってる気が致します。
流行りの音、デジタル音、ニューヨークファンク等、あまりに傾倒してしまった事が。それが普遍性から遠ざかってしまったのでは。
それが何より残念なのです…

これはアクマでも個人的見解です。
気分を悪くした方もおられるでしょう。ごめんなさい。
素人風情が何を生意気にと思われる方も…
その素人風情が気づくほどの物なのです。
ガッカリさせ過ぎですよね…

そして、最後まで読んでくださった方…ありがとうございました!




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