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カジュアルゲームの逆襲

メリークリスマス!いよいよ2023年も残すところ1週間を切りましたね。今日も関東はとても冷え込む朝となりましたが、皆様いかがおすごしでしょうか。タツマキゲームズです!

さて、唐突な思いつきで始めたアドベントカレンダーもいよいよ本日が最終回となりました!毎回多くの方に見られていただいてとても嬉しい気持ちになれるとともに、来年はより多くのゲーム開発者が日本からも増えるといいなと願うばかりです。

最終回となる今回は、これまでのようなテスト結果の振り返りではなく、タツマキゲームズとして今年感じたことや来年に向けた考察、展望などについて考えを吐き出してみたいと思います。少し長めの文章になるかと思いますが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!

2024年はどんな年になる?

タツマキの向かう先

2021年10月の設立から、今年で丸2年とちょっとが経つタツマキゲームズですが、これまでは主にハイパーカジュアルゲームを軸として基盤をつくってきました。社内メンバーや多くのデベロッパーさんたちに支えていただき、去年から今年にかけて数本のタイトルをスケールさせることができ、これまで培ってきたハイカジの再現性を確認できたかなと感じています。
来年も引き続きハイパーカジュアルゲームは続けていくのですが、3年の節目として、ハイカジのノウハウをベースに少しずつ新たなベクトルのゲームづくりにも挑戦していこうと考えています。

そのうちの1つとなるのが、いま日本のゲーム業界でもトレンドワードとなっている「ハイブリッドカジュアルゲーム」です。

日本のゲーム業界はどうなる?

ここで、少し日本のゲーム業界について独自に考察してみたいと思います。この記事を読んでいただいている方ならある程度ご存知かとは思いますが、もうすでに、いわゆる日本的なキャラクターや日本的な課金システムで、日本国内をターゲットにしたスマホゲームを新しくつくることは、数千人の軍勢に単騎でつっこんでいくぐらい無謀な挑戦になっています(一騎当千できる豪傑ですら生き残れるか怪しい…)
数年かけて丹精込めてつくったゲームが、半年足らずでサービス終了してしまうことも珍しくなくなってきました。これはビジネス的にはもちろんですが、クリエイターからしても、自身のクリエイター人生の数十%を注ぎ込んだ結果なわけで、だれも幸せになれないのではないかと思います。
こうなった以上は無謀に単騎突撃を繰り返すわけにはいかないですから、必然的に国内の、特にスマホゲームで一時代を築いた会社は戦い方や戦場を変えなければなりません。大型開発・国内マーケット・ガチャ課金の戦場が難しいとなると、必然的に次の目先は中規模開発・グローバル・広告収益とアイテム課金という3本柱になるのではないでしょうか。そして、それで成功しているジャンルこそが「ハイブリッドカジュアルゲーム」なのです。
すでにいくつか発表されている会社さんもありますが、来年以降はますますこのシフトが顕著になっていくのではないかと考えています。

良いハイブリッドカジュアルをつくるには

業界の方であれば一度は聞いたことのあるハイブリッドカジュアルゲーム。昨今ではHabby社の「アーチャー伝説」や「ダダサバイバー」の大ヒットが記憶に新しいのではないでしょうか。このようなハイブリッドカジュアルはどのようにしてつくればよいのか?情報やノウハウはほとんど手に入らないのが実情ですが、今年1年を通して弊社なりにぼんやりと見えてきたポイントが3つあります。

1. マネタイズ手法

言わずもがなですが、ハイブリッドカジュアル最大の特徴は、その名の通り「アプリ内課金(IAP)」と「広告収益(IAA)」の2つのマネタイズ手法をハイブリッドしていることにあります。最近では、既存のガチャ課金メインのタイトルにアプリ内広告を導入してマネタイズする事例も増えてきていますが、ほとんどのパブリッシャーはIAPもしくはIAAどちらか片方の知識や経験に偏っているのではないかと思います。弊社もハイパーカジュアルゲームがメインなので、IAPの知識はまだまだ足りていないと感じます。
ハイブリッドカジュアルをつくるうえでは「最初から両方のマネタイズ手法を両立させる前提で設計する」ということが非常に大事で、これはおそらく既存IAPタイトルにIAAを導入するよりもさらに深い知識が必要なのではないかと感じています。
IAPとIAA、この両方に精通しているメンバーを有したチームアップをすることは必要不可欠ではないでしょうか。

2. ゲーム体験

2つ目にハイブリッドすべきなのは「ゲーム体験」です。ハイブリッドカジュアルは、ハイパーカジュアルゲームがもつ「誰でもすぐ理解でき、シンプルな操作でゲームが楽しめる」というプレイの敷居の低さと、コアなゲームがもつ「何度も繰り返し遊びたくなるやりこみ要素や奥深さ」のような深みややりごたえとを併せ持ったゲームである必要があります。
これも口で言うのは容易いですが、実際に満たしたゲームをつくりあげるのは至難の業です。さらにハイブリッドカジュアルはハイパーカジュアル同様、広告配信からの流入がプレイヤー獲得のメインになるため「分かりやすく、広告映えするかどうか」も意識したゲームデザインをしなければなりません。
カジュアルすぎず、コアすぎず。かつ広告映えもするゲームコンセプトをつくりあげるには、それぞれ得意な知識と成功体験を持つメンバーが必要になりそうですよね。

3. 開発のプロセス

最後は開発のプロセスです。ハイブリッドカジュアルの話しでここに言及されることはあまりないと思うのですが、弊社ではこれこそが「ハイブリッド」の真髄になるのではないかと考えています。
もともと、ハイパーカジュアルゲームの開発では「最初にミニマムなものをつくってテストし、結果が良かったものだけを本開発する」という、超マーケットイン(市場主義)なつくり方をしています。
一方でコアなゲームは、クリエイター(ディレクター)の「このゲームは絶対に面白くなるはずだ」という感性の部分からコンセプトがスタートするはずです。もちろん途中でβテストなどを行なって、プレイヤーの意見を元に調整は入れますが、最初のコンセプトから市場の反応を見て変えるということはしないはずです。
ハイブリッドカジュアルでは、この両極端とも言える開発プロセス自体を融合してハイブリッドにすることが最も重要ではないかと思います。開発チーム自身が「これは絶対に面白い!」という感性ドリブンな部分と、それが「本当に市場にウケるのか」というデータドリブンな部分とをうまく融合しながら開発していく必要があると考えています。具体的にどのタイミングで何回くらいのテストをして、というフレームワークはまだ見えていませんが、この2つの考えがうまく製品を引っ張りあって、その結果いいところに着地したときに、初めてヒットするハイブリッドカジュアルができるはずです。

と、ここまで大きく3つのポイントを書き上げてみましたが、つまるところ最も大事になると考えているのは「チーム」です。
ハイブリッドカジュアルは開発期間もちょうど両者の中間くらい、1年〜1年半くらいが多いのですが、ハイパーカジュアルゲーム同様に「ダメそうだったら開発をキッパリ止めて次に行く」というスタイルは残っています(テスト版の開発期間もハイパーカジュアルよりは長いですが)
そうなってくると、前回の記事でも書いたように失敗を離散的にするのではなく、それをしっかりと次に繋げることが非常に重要になってきます。つまり、できるだけ同じチームで成功まで開発し続けたほうが良いはずです。
また、ハイブリッドカジュアルゲームの開発においては「ハイパーカジュアル」と「コアゲーム」の両方の深い知識と経験が必要になりますが、そのどちらも持ち合わせた人を集めるのは中々難しいと思います。
そこで私たちとしては「それぞれに特化した2つのチームをベースに、混成チームをつくる」のが今のところ一番良いチームアップのやり方だと考えています。どういうメンバーをどのポジションに置くのか、という細かいポイントはあるものの基本的にはこのやり方で、うまくそれぞれの得意分野と知見で引き合いながら開発するのが、世界で戦えるハイブリッドカジュアルをつくるための現状の最善手なのではないでしょうか。

兎にも角にも、ヒットするハイブリッドカジュアルをつくるためには、それがつくれるチームをまずは作ることが最重要課題だと考えています。

カジュアルゲームの逆襲

ここまでつらつらと書いてしまいましたが、タツマキゲームズとしては来年、日本のゲーム業界でカジュアルゲームがどんどん台頭してくるのではないかと予測しています。
グローバルで戦うことを余儀なくされた現状と、大きなリスクを背負った開発が厳しくなってきた以上カジュアルゲームにシフトするのは必然で、それがつくれる会社やチーム、メンバーの需要も高まってくるはずです。これまで特に大きなゲーム会社ではあまり意識されてこなかった、カジュアルゲームへの目の向け方も変わってくる(変えざるを得ない)のではないでしょうか。

果たして来年以降、日本発のハイブリッドカジュアルゲームでグローバル覇権を取れるタイトルは出てくるのか、そしてどのチームがそれをつくるのか!タツマキゲームズもそのレースに乗り、そして先頭でゴールできるよう、日夜試行錯誤をつづけています。

もし内容に共感でき、一緒につくってみるのも面白そうだ!と思っていただける方がいたら、メンバー絶賛募集中ですのでぜひご連絡ください!

また、先述のように「コアで面白いゲームをつくるのなら任せろ!」というチームの方とのコラボレーションもぜひ挑戦してみたいなと思っています。企業間コラボもご興味がございましたら、弊社HPなどからお気軽にご連絡ください!

それでは、長文にお付き合いくださりありがとうございました!!
来年も、めちゃくちゃに面白い1年にしましょう!良いお年を〜!


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