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#54字の怪談


① コレラ病没者供養塔に向かう坂を下っていたら、向かい側から襤褸を身にまとった人が歩いてきたが、一緒歩いていた仲間は誰一人として気が付かず、そのまますれ違った。振り向く勇気は自分にはなかった。

② 雪の日だった。前を行く男の人は肩を揺らして歩いていた。昼間から酔っている?と思った。その人が右に大きく傾いた。そのままズブズブと道脇に消えていく。排水路に落ちたのか?慌てて駆け出したが、そこには誰もいないだけでなく、自分たちの足跡以外は何もなかった。

③ 事務所の近くの交差点。真夜中に通ると、男の人が自転車で交差点を斜めに渡っていく。不思議なことに車のライトに照らされていても、その人はモノクロなのだ。そして、ライトから外れた途端、その人の姿はどこにも見えなくなる。何度か遭遇するうちに「あぁ。この人か」と思うようになった。


実話だったりする。
54字って難しい。

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