②宇宙ホテル建設計画
先日、ISSが2030年に運用を終了することが正式発表されました。ISSは、耐用年数を大きく超え、延長を繰り返してきた歴史があります。
調べる機会があったのでnoteに残します.ISS以外の7つの宇宙居住施設について記します.
天宮号
運用中の中国の宇宙ステーション。現在、宇宙にある居住施設は、天宮号とISSの2つだけ。
試験機として打ち上げた小型の「天宮1号(2018年終了)」と「天宮2号(2019年終了)」を経て、2021年4月にコアモジュール「天和」が打ち上げられた。
複数のモジュールを合わせて天宮号と呼び、「天和」を中心に、無人補給機の「天舟」、有人宇宙船「神舟」が取り付けられている。また、実験モジュールの「門天・夢天」と宇宙望遠鏡モジュールの「巡天」も打ち上げが計画されている。
Orbital Reef
Blue Origin社とSierra Space社が共同で開発中の商用宇宙ステーション。2030年までに軌道に乗せる計画。
最高10人が居住可能で、宇宙旅行客の滞在、研究、映画撮影などに使われる。
航空機のBoeing社、航空宇宙メーカーのRedwireやGenesis Engineering Solutionアリゾナ州立大学などが関わっている。
Starlab
Nanoracks社、Voyager Space社、Lockheed Martin社が共同で開発を行っている膨張式の商用宇宙ステーション。2027の打ち上げを目指している。
4人が居住可能。科学実験室、ドッキングポート、電力推進要素(PPE)、ロボットアームを備え、一度の打ち上げで軌道に乗せることができる。旅行客を第一に考えたプロジェクトではなく、研究がメインで運用される。
未公開の宇宙ステーション
Northrop Grumman社が開発中の商用宇宙ステーション。最大4人の居住が可能で、段階的に拡張していく計画。
月周回宇宙ステーション Gatewayのモジュールとして開発中の「HALO(Habitation and Logistics Outpost)」と同様の円筒形のモジュールが使われている。
Axiom Station
Axiom Space社が開発中の商用宇宙ステーション。2つの与圧モジュールは航空宇宙メーカーThales Alenia Space社が担当し、2024年と2025年の打ち上げを目指している。2022年3月末に、Axiom Space社のミッションで4人の民間人がISSに滞在することが決定している。
NASAによる次世代宇宙探査技術パートナーシップ(NASA’s Next Space Technologies for Exploration Partnerships)の一環であるISS商用居住モジュール構築プログラムに選出されている。(Bigelow Aerospace社が価格を理由に断った)
ISSとドッキングした後、最終的に切り離され独立した商用宇宙ステーションになる。4人まで居住可能。
ROSS(Russian Orbital Service Station)
ロシアが独自に開発を予定している宇宙ステーション。2025年に建設開始、2035年の完成を予定している。
高度400kmの太陽同期軌道で周回し、地球の全表面を監視することが出来る。
BEAM(Bigelow Expandable Activity Module)
Bigelow Aerospace社の開発した膨張タイプのモジュール。2016年4月にISSに取り付け、2年間の実証実験を行った。2021年には、独立型の宇宙ステーション(B330)を打ち上げる計画があった。
しかし、ホテル王ビゲローの個人資金の提供で成り立っていたため、コロナによるホテル業の経営不振から、従業員を大規模のリストラを実施した。状況次第では再雇用することも発表している。
NASAのISS後継開発プロセス
2021年3月に商用地球低軌道開発プログラム(CLD: Commercial Low Earth Orbit Destinations)を公開。同年11月末にNASAは科学活動と商業活動を担う新たな宇宙ステーションを設計すべく、米国を拠点とする3社(Blue Origin社、Nanoracks社、Northrop Grumman社)と契約を結んだ。
NASAは、製造に必要な40%未満(最大約454億円)の資金提供を行う。
NASAは、2025年までに3社と連携して具体的な設計図を作る。次に、3社の計画から1つを選び、選ばれた企業は2~3年以内に最初のモジュールを打ち上げる。
ISSに替わるサービスをより少ないコストで使用することで、NASAは、月面有人探査を目指すアルテミス計画に注力できるようなる。
まとめ
ISS:2030年退役
天宮号:中国の宇宙ステーション 運用中
Orbital Reef:Blue Origin社・Sierra Space社、2030年まで
Starlab:Nanoracks社・Voyager Space社・Lockheed Martin社 2027年予定
未公開の宇宙ステーション:Northrop Grumman社
Axiom Station:Axiom Space社 2024~2025年
ROSS:ロシアの宇宙ステーション 2035年
BEAM:Bigelow Aerospace社 計画不明
参考
Orbital Reef
Starlab
Axiom Station
ROSS
BEAM
宙畑等、その他ニュースメディアの情報から引用。