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「終わったバンド」について考える。

「〇〇ってバンド、もう終わったよなー」とか「〇〇も落ちたなぁ」とか、他人が言っているのを聞いたことがある。

なんか、音楽活動を続けるバンドに対してその辛さを知らない素人が、テレビに出てるか出てないか、バズったかバズってないか、などという浅はかな基準をもとにバンドの隆盛を語っているのが悔しい。(全く持って私自身も素人だが)そこで、いわゆる「終わったバンド(アーティスト)」に希望を観測したくて、このnoteを記そうと思う。

そもそも、彼らの言う「終わっていないバンド」とは何なのか。自分が考えるに、ファンとバンド以外の第三者の目から見て人気だとわかるバンドだと思う。要はテレビとか、聞こうと思ってなくても耳に入るし、話題になるアーティスト。

そういったアーティストが「終わった」と認識されるのは、おそらく聞こうと思ってなくても耳に入らなくなった瞬間。もっというと、「終わってない」時の影響力が大きいアーティストほど、「終わった実感」というものは大きい。

この「終わったアーティスト」に対する希望的観測は、終わった原因にあるのではないか、と思うんだよね。

<アーティストが終わるまで>
リリース▶︎SNSやタイアップでバズる▶︎テレビに呼ばれる▶︎テレビに呼ばれなくなる▶︎終わる

上記における、3つ目の「▶︎」について紐解いていきたい。

主に3つあると思う。
①活動が落ち着いた
②曲がウケなくなった
③方向転換した

まず、活動が落ち着いたケース、これはしゃーない案件だよね。

話はここからだよ、②の「曲がウケなくなった」、これには色々原因はある。大まかには、能力と客層。能力、の部分に関しては、自分が素人だからあーだこうだ言えないけど、能力が足りなくていい曲が作れないということ。自分が言いたいのは「客層」に関して。

ウケていた客層にウケなくなっている、ということだ。一つ考えたのが、客が歳をとるにつれてその客にとって共感できないものになってしまう現象。例を選ばずにいうと、元カレだの元カノだの、フラれたのだの付き合ったのだの、セフレだの浮気だのについて歌うバンドにいつまで付き合ってられるかという問題。マジでそう。

この問題について、ラブ(?)ソングで生計を立てている若いバンドマンはどういう戦略を立てているのだろうか、気になるところだ。ただこの質問を投げかけたところで、「ただ、起きていることを歌詞にしているだけっす」みたいなことを返されたら流石に、冷笑だ。

だから、幅広く「好きか嫌いか」という番人ウケする尺度での恋愛をテーマにするバンドがなんだかんだ強いということなのでは?と思いますね。

「青春第一主義」的な青ーいバンドもその一例だと思うな。知らなくてもいい現実や社会に対する視野が若干広がったタイミングでいつか気づく時が来るのではないだろうか、「大人になった今、私はこの曲を聴くべき時ではないのでは?」と。けどそれを自覚したくないと感じた瞬間に、現れるのが「エモ」なんすよね〜。「エモい」ならなんでもOKです!的な感覚、甘いよな、甘いよ。

まぁ、こうした「終わっていないバンド」だった時の客層が、ライフステージの変化に伴い曲を必要としなくなる現象は大いに「曲がウケなくなった」事態を招いていると言ってもいいのではないだろうか。

(こうして考えると、「幅広い恋愛を歌う奴ら」か「なんとなくエモい奴ら」が終わらずになんだかんだ残り続けるということなのか?)

では、③について。希望があるとすればこの「方向転換」にあるのではないかと思う。メディアウケしなくなる理由に、音楽性の方向転換、というかメディアウケしない音楽を作るようになった、現象。「メディアウケ」=「生活者ウケ」ということだから、要は大衆に受け入れられなくなってしまったという由々しき事態な訳だけど、できるだけポジティブな解釈を心がけるとするならば、ある意味それは進歩なのかもしれない。

みんなは、メディアウケしなくなったアーティストについてどう思う?かわいそうだと思う?

メディアの引力って強烈だから、そっちに向かって走り続けてしまう無自覚な恐れがある気がしていて、メディアウケするアーティストも同じようにそういう状況に陥っている気がする。

ではそういう人たちが方向転換する時、それはおそらくそういう引力を自覚する時だと思うんだよね。マスメディアに出てる人たちはどことなくポップな存在として扱われがちで、「もともとトガっていた」人たちからしたら、居心地が決して良いわけじゃないのかも。だからこうした実態を自覚して、自分たちにはもっと表現するべきことがある、と腹を括って方向転換をするケースがあるのではないかと思う。

このケースは決してネガティブなことではなく、かなり前向きな「終わり」なのではないか、と思います。

そんなことを、他人の口から聞いた話から感じましたね...

昔、「ゆらゆら帝国」というバンドは、「空洞です」という楽曲を制作したその先に目指すべきモノを見つけられなくなった、つまり、「全てが完成した」ために解散したという。

美しい

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