感想:ウマ娘 劇場版:競馬もウマ娘も知らずに見たので何をしているか分からず。でも雰囲気は楽しめた

先日にウマ娘 劇場版を見ました。
ですが劇中で何をしているのか分からないところだらけで、私は終始 頭に疑問符を浮かべていました。

それならば映画を楽しめなかったかと言えば そんなことはなく、私は映画に夢中になり あっという間に時間が過ぎました。
「ライバルに勝つために訓練する」「強い相手とレースする」という物語の主軸は普遍的な王道展開なので、話の詳細が分からなくても楽しめます。
私はジャングルポケットに感情移入して、手に汗を握りながら彼女のレースを見守り、彼女の勝利や敗北に一喜一憂していました。

つまり、私は話の内容が分からないまま、レースの熱狂やライバルとの関係性といった雰囲気を楽しんでいたわけです

競馬もウマ娘も知らずにウマ娘 劇場版を見る愚を犯す

私が話の内容をよく理解できなかったのは、製作陣の責任ではないと考えています。

私は競馬を全く知りません。せいぜい昔にオグリキャップという強い馬がいたとか、武豊騎手の名前だけを知っている程度です

私はウマ娘のことを全く知りません。アニメは見ておらず、ゲームもしていません。たまにツイッターに流れるファンアートを見ている程度です

ウマ娘製作陣の想定する観客は、競馬ファンもしくはウマ娘のアニメやゲームのファンだと思います。
ですから想定外の観客である私が映画の内容を理解できなくても、それは当然のことです。
何も知らずに見た私がバカなことをしただけです

事前に劇中に登場する馬の代表的なレースぐらいは調べておくべきでした。
ツイッターで「何も知らなくても楽しめる」と誰かが呟いていたので、本当に何も調べずに見に行きました。
実際に私は楽しめたので、その言葉に嘘はありませんでしたが、予備知識がないと十分に楽しめないタイプの作品でもありました

本記事は私がウマ娘 劇場版の何が分からなかったかをメモしたものです。
ですが誤解のないように強調しますが、「私が分からなかったから、この映画はダメな作品だった」と批判しているわけではありません。

レースで勝てる理由が分からなかった

まず、ダービーや最後のレースでジャングルポケットが勝てた理由が分かりませんでした。

どちらのレースでも「ウオオオオオ」と叫ぶと周囲が光り輝き、急にスピードアップして勝つ。私の目にはそう見えました。
訓練の成果が出たとか、特別な走法を身につけたとか、戦略が効果を発揮したとか、そういう納得できる勝因がなく、叫んで気合いを入れたら勝てたみたいに感じてしまいました。

おそらく私に競馬の知識があれば、「直線コースに入った時に得意の■■脚を活かして加速し、■■戦法を見事に使いこなして勝利した」とか「あの有名な■■記念の名レースを忠実に再現している」などと分かったのでしょうが、何の知識もない私には特に理由もなく速度が上がって勝ったように思えてしまうわけです。

伏線が分からなかった

作中で思わせぶりに出てきたキャラや小道具が何なのか私には分かりませんでした

カフェの追いつきたい友人は誰なのか分からず、最後まで出てこなかったので、何の為にあれほど何度も思わせぶりなことを言っていたのかと思いました

ジャングルポケットがいつも持っているペンダントがあって、それと同じものがタキオンの部屋の窓にも飾ってあり、これは2人を繋ぐ何かの小道具だと思っていましたが、そんなことはありませんでした

競馬を知っていればカフェのライバルが誰かが分かり、ゲームを知っていればペンダントの意味が分かるのかもしれませんが、私には意味深に出てきた何の意味も無い伏線にしか見えませんでした

ラスボスが何者か分からなかった

私は本作の最後のレースではタキオンとの勝負をするのだと思い込んでいました。因縁のライバルがラスボスになる展開を予想していたわけです。

タキオンは引退したと言ってもレースへの執着心を見せていましたし、ジャングルポケットはタキオンの幻影に苦しみ再戦を熱望していました。
「ジャングルポケットに感化されたタキオンが復帰して、ジャングルポケットと最後の勝負をする」というのが最も盛り上がる王道展開なので、当然、そうなるのだと私は期待していました。

ですが実際に最後のレースでラスボスとしてジャングルポケットと勝負したのはテイエムオペラオーでした。
私はこのキャラクターが何者かよく分からず、大して思い入れも因縁もない相手との勝負にあまり関心が持てませんでした。

劇中では圧倒的覇王と言われていましたが、最初に登場したレースではギリギリの勝負で辛勝していたので、そんなに強い相手という印象もありませんでした。
そして初登場時のレース以降は1度も出番がなく、ジャングルポケットとの絡みも因縁も何もなし。
そして最後にだけ再登場されても、私には「そこそこ強いだけの、主人公と初対面の相手」にしか見えませんでした

おそらく私に競馬の知識があれば、「あの名馬との勝負するのは凄い。まさに最後の戦いにふさわしい相手だ」と納得できたのでしょう

最後に歌い出したのが分からなかった

最後に4人のウマ娘が唐突に歌い出したのが分かりませんでした。
もちろん私は、ウマ娘というゲームをしていなくても、優勝したウマ娘がステージで歌うことぐらいは知っています。

私が分からなかったのは、あの4人が歌っていたのは、劇中で本当に起きた出来事なのか、それとも劇中とは関係ないイメージ映像なのかということです

例えば、アニメのエンディングで敵と味方が仲良くしていて、死んだキャラまでが出てきたとしても、それは単なるイメージ映像で作中とは無関係な出来事と分かります

ですが、あのウマ娘のステージは、そのどちらなのか分からず混乱しました。
もし劇中で本当に行われたステージならば、あの4人は同じレースに出て競った結果、誰かが優勝したということになります。
ならば、そんな重要なレースを描かなかったのが不自然に思えます。

私は最後に歌い出したのが劇中の事実なのか、単なるファンサービスのイメージ映像なのかが気になって仕方ありませんでした

ファンにとっては素晴らしい作品

鑑賞中に何よりも私が驚いたのは、劇場で号泣している観客がいたことでした。

私には泣く理由が分からなかったので、競馬ファンにだけ分かる特別な何かがあったのでしょう

私はそれを見て、他人様の大事にしている領域に安易に踏み込んでしまったのだと思いました

競馬ファンやウマ娘ファンには分かるように作られた作品は、私のような部外者には分からなくても何の問題もないのです。
ファン向けの映画とはそういうものです