画像生成AIによるポルノが重大な問題ではなく、AI規制法の根拠にならないと考える理由

世の中における問題の騒がれ方と実際の有害性が必ずしも比例しないことがあります。

例えば、ワクチンの副反応とか、国の借金問題は、考慮すべき問題ではありますが、マスコミや世間があまりにも重大な問題扱いしています。
そのせいで、必要以上にワクチンを忌避したり、国の財政拡大を抑えてしまう弊害が起きました。

全体的に見れば、ワクチン接種による重症化回避効果は、副反応による健康被害を上回るメリットがあり、財政拡大による景気回復と税の増収効果は、緊縮財政による不景気と税の減収を上回るメリットがあります。

このように何かについてのメリットを無視して、その何かのもたらす問題の一部だけを取り上げて大騒ぎするのは、時として別の問題を引き起こします

最近になって、画像生成AIによる実在の人物にそっくりなポルノ画像の生成が問題にされています。
特に女児のポルノ画像が大きな問題として話題になっています。
AIに反対する人の多くが、画像生成AIによる女児のポルノ画像を取り上げて、AI規制の根拠にしています。

ですが、私はこの問題を根拠にしてAIを規制する新たな法を作る必要はなく、また人権問題として解決の緊急性は高くないのではないかと考えています。
このような重大ではない問題を理由にAIが規制されることで、AIによってもたらされる将来の利益を失うことを私は懸念します

以下では、この問題がAI規制法の理由にならないと考える理由を書きたいと思います

CGポルノは既に対策済みの問題


本記事での私の主張は、画像生成AIによるポルノには問題がないということではありません。
実物の人物に似たポルノCGの問題は重大な人権違反であり、無視していいものではありません。

ですが、実在の人物に似たポルノ画像が作られる問題は、画像生成AI以前に発生した問題であり、画像生成AI以前に解決方法が提示された問題でもあります。

2016年03月15日、実在する児童に似たポルノCGを作成したグラフィックデザイナーの男性、児童ポルノ法違反(製造・提供)で懲役1年、罰金30万円、執行猶予3年の有罪判決を下し
「実在する児童を描いたCGは児童ポルノに当たる」という判断でした。

新しくAI規制法を作るまでもなく、既に現在ある法律で問題のあるCGを取り締まることができています。
よって、この件は既に対策済みの問題であり、生成AIによるポルノについても同様の対策を淡々と取っていけばいいだけのことです。

つまり、「実在の人物に似たポルノ画像は自動生成AIによってもたらされた深刻な問題である」という認識が誤りであるというのが私の主張です。

悪質なポルノCGは現行の法律で処罰できるのです。

唯一の問題は物量の多さ


実在の人物に似たポルノ画像は古い問題ですが、画像生成AIが以前までと異なるのは、その物量の多さです。
人の手では考えられない速度で画像を量産できます。

問題のあるポルノ画像を既存の法律で淡々と対処すればいいとは言ったものの、捜査対象の画像が大量にあれば捜査の手が回らない恐れがあります。

この問題は、以下の記事でも指摘されています。

生成AIによってポルノ画像が激増すれば、実際の児童を対象にした犯罪を摘発するリソースもパンクする。
生成AIが生み出す児童ポルノの問題に対処するには、EUが検討している「AI規制法」のような規制が不可欠のようだ。

英国版FBIが警鐘、生成AIによって摘発が困難になる児童ポルノの深い闇 【生成AI事件簿】児童ポルノ画像の爆発的増加によって法執行が困難に(1/6) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

ですが、この記事では、「だからAI規制すべし」という主張につなげています。
それが私の主張とは異なる点です。

この記事の主張については2点の検討すべき論点があります。
この問題に対処する方法はAI規制だけなのか? そしてAI規制法で、本当にこの問題を解決できるのか?という論点です。

現在、ネットに大量にある投稿の中から誹謗中傷を検出するのにAIが活用されています。
現時点では精度が悪く、誹謗中傷ではない投稿まで制限する弊害が発生していますが、今後のAIの発展により精度は改善されていくことでしょう。
同様のことが大量のポルノ画像の検出と製造元の特定にも応用できると考えます。

記事では、捜査のリソース不足をAI規制の根拠にしていますが、まさにリソース不足を解決するのがAIの利点です。
AI規制ではなく、むしろAIの活用を推進することが必要になると思われます。

そして、もう1つの論点ですが、AI規制法でAIを悪用する人間の行動を制限できるのでしょうか?
まるで酒の問題は禁酒法を制定すれば解決するという主張のようだと思いました。
児童ポルノを販売する人々は、AI規制法があれば、闇に潜って密造ポルノを作るだけです。
割りを食うのは法を守るまともにAI利用をしている善良な人だけで、尊法意識のない悪人だけが自由自在にAIを利用することになる可能性が高いと考えます。

この記事の主張とは逆に、AIをより積極的に活用することでリソース不足を補い、問題のあるポルノ画像は「既にある法律」を用いて摘発すべきであり、弊害の大きいAI規制法をわざわざ新しく作る必要性は薄いと私は考えます。

また、以下にあげる2つの理由により、人権問題として解決の緊急性は高くないと私は考えています。

不快でも無害なロリコンへの餌としての画像生成AI


画像生成AIによるポルノへの嫌悪感には2種類あり、この2つを混同している人が見られます。

リアルに見える架空の児童ポルノへの嫌悪感と実在の人物に似たポルノへの嫌悪感です。
「実在の人物に似たポルノは良くないから、架空の児童ポルノを規制すべき」という主張は、この2つを混同した典型例と言えます。
どちらの嫌悪感も理解できますが、法で規制すべきなのは後者のみであると私は考えます。

その理由は、変態が被害者のいない架空の存在で性欲を解消してくれるならば、それが一番助かるからです。

ロリコンへの嫌悪感を持つ人は、彼らは手当たり次第に子供を食い物にしようとする邪悪な人間としか思っていないでしょうが、彼らは変態性癖を持っていること以外は普通の感性の持ち主です。

その欲望を実在の人間を相手にすれば犯罪になるというだけで、本人は犯罪行為をしたいと思っているわけではなく、私達と同じように良識ある人間として生きることを望んでいます。

彼らも、合法的な性欲の解消手段があるならば、そちらを優先的に採用することでしょう。
実在の人物がモデルではないリアルな画像で性欲を解消してくれるならば、世間に迷惑をかけない特殊性癖として黙認すればいいことです。

何も「彼らの性欲は自然なものだから、彼らの人権を認めて、正々堂々と日の当たる場所で児童ポルノを楽しむのを認めよう」などと言っているわけではありません。

今まで通り彼らへ嫌悪感を抱き、蔑み、日陰者として追いやるのは好きにすればいいけれど、彼らがひっそりと架空の存在で満足していてくれるならば、不快だけど無害な連中として無視すればいいと言っているだけです。
そのために、画像生成AIによるポルノを餌として彼らへ与えておけばいいのです。
それを下手に規制して、餌不足で飢えた彼らによって、実在の児童に手を出される方が問題です。

画像生成AIによるポルノで一番困るのは誰か?


この世には児童買春させられている女児や男児が大量にいます。
彼らは大人の陰茎が挿入できるようにナイフで陰部を切り裂かれ、身体の痛みや精神的苦痛が麻痺するように麻薬漬けにされて、成長して商品価値がなくなれば廃棄されて野垂れ死にします。
そんな吐き気を催す邪悪な商売が横行しています

この大問題を前にすれば、画像生成による児童ポルノの規制に労力を注ぐ前に、そのような児童買春を規制する方がよほど優先度の高い問題だと思えます

そして、この大問題に付随した商売に、女児や男児のポルノ写真の販売問題があります。
彼らは商品の児童の写真や動画を販売する副業もしています。
大量に安価なポルノ画像をバラ撒かれて一番困るのはこれらの邪悪な業者です。

画像生成AIによるイラストがイラストレーターの仕事を奪いかねないように、画像生成AIによるポルノはそのようなポルノ写真業者の商売敵になります。

実在の児童に被害の出ないポルノが出回ることで、麻薬漬けにされた児童のポルノ写真の販売者が困るのならばいい気味です。
画像生成AIで生成した児童ポルノ画像を販売する奴も、児童のポルノ写真を販売する奴もクソ野郎であることは確かですが、クソ野郎同士で潰しあってくれるならば、私達は傍観していればいいと思います