一つ前の戦いをしていないか?

「一つ前の戦いをしていないか?」
最近、この問いを、自分自身及びご支援先にも投げかけている。

よく戦争学で使われるこの言葉、
つまり作戦を立案する参謀本部のエリート達が、過去の戦争のケースを
調べぬいて、特に勝った戦争のケースを参考にして、次の戦いにそれを
当てはめようとする。
つまり、一つ前の戦いの成功体験をベースに、今の戦いに挑もうとする。

かつての大日本帝国の時代に、日露戦争の成功体験が強すぎて、太平洋戦争
の際に巨大戦艦ばかり作って、結果として制空権取られて、ボコボコにされてしまうみたいのが典型的な、一つ前の戦いをした結果の一つだと思う。
パラダイムが変っているのに、その変化に追いつかず、過去のやり方にこだわってしまう。

実は、ビジネスの世界でも同じことがよくあるのではないか。
人は往々にして、過去の成功体験に基づいて、現在を判断し、未来を予測したりするが、刻々と変化する中で、かつての成功のパターンがどこまで通用するのか。

私も投資家として、たくさんのケースを見ている中で、“成功のパターン”や“負けないパターン”などいくつかのパターンを持っている。そしてついつい、そのパターンを現在のご支援先にも適用できるのではないかと思ってしまう。
でも、それは違う。
持っている戦力や外部環境が異なる中で、何かしらのパターンを当てはめたところで、必ずしもうまくいくとは限らない。
むしろ、パターンを適用し過ぎて、思考停止になってしまうことが一番怖い。かつての日本軍のように。

ゆえに、自戒も込めて、戦略を決める際に、
「一つ前の戦いをしていないか?」と問うのである。

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