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スティーブン・ハッサンが拉致監禁をやめるよう日本基督教団に手紙を書いていた

「拉致監禁をなくす会」の公式サイトは、スティーブン・ハッサンが2000年3月29日に日本基督教団総会議長・小島誠志牧師に書いた手紙を公開しています。

当時、統一教会の信者が、日本基督教団戸塚教会の黒鳥栄牧師や太田八幡教会の清水与志雄牧師に対して訴訟を起こしていました。1999年4月13日には、統一教会原理問題全国連絡会議が「不当な裁判に対して徹底的に闘う」との声明を出していました。日本基督教団総会議長の小島誠志牧師も「『黒鳥・清水両牧師裁判』を支援する」という、まさに教団ぐるみの談話を発表していました(室生忠『日本宗教の闇/強制棄教との戦いの軌跡』アートヴィレッジ、2017年、p.84)。

ルポライターの米本和広氏は自身の著書『我らの不快な隣人』(情報センター出版局、2008年)の中で、清水与志雄牧師が提訴されたことを知ったハッサンが、日本基督教団の小島誠志議長に手紙を書いていたことを指摘しています(p.215)。

以下に、その手紙の全文を貼り付けておきます。

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2000年3月29日

小島 誠志

日本基督教団総会議長

東京都新宿区西早稲田2-3-13-31


小島誠志牧師様

私は、国際宗教自由連合(www.religiousfreedom.org)のダン・フェッファーマンの要請でこの手紙を書いています。私はフェッファーマン氏に対して自分がディプログラミング(拉致や強制力を用いて人を脱会させること)を信奉していないと話したのですが、彼は私の最初の本、講演、およびメディアへの登場などにより、日本の牧師たちがそれ(ディプログラミング)を行うよう奨励されているという印象を受けているようです。

私は最近、『束縛を解く:自力で考えることを奨励する』という本を書き、その中で文グループ(統一教会のこと)のようなカルト団体の人々を助ける上での私のアプローチに関して詳細に解説しています。それは「戦略的交流アプローチ」と呼ばれるもので、家族や友人たちがカルトのメンバーと効果的にコミュニケーションを取り、恐怖症を取り除いて批判的思考を促進する方法を教えることに依拠しています。

私は最近、非営利の教育・人権団体である「精神の自由研究所」を開設しました。ロバート・ワッツ・トーンバーグ牧師とラビ・モシェ・ワルドックが私たちの諮問委員会にいて、私の仕事を熱心に助けてくれています。私は世界中の著名な宗教指導者たちがこの諮問委員会に加わってくれることを希望しています。それは国連の世界人権宣言に基づいており、私たちは精神的責任を促進したいと思っています。

私は、日本の牧師たちはいかなるタイプの強制を用いたカウンセリングにも関わっていないとの印象を持っています。今朝、パスカル・ズィヴィは私に、ときどき、まれにではあるが、家族が成人した子供を意思に反して拘束し、そこへ牧師が彼らと話すために招待されることもあるかもしれないと話しました。私の意見では、たとえカルトのメンバーが文書で面会を要請したとしても、牧師は方針としてこのようなことに関わるべきではありません。もしカルトのメンバーが自分の関わっている団体に関して牧師と話したいのであれば、その個人は、教会もしくはその他の公的な場所に行って牧師に会うべきです。こうすれば、牧師を非難するいかなる根拠もなくなるでしょう。

私はこの手紙が、カルトのメンバーを助けるアプローチが強制ではなく、愛と同情と肯定的コミュニケーションであるべきだと私が考えているという、公的記録となることを望んでいます。さもなければ、拉致や非自発的監禁は不可避的にトラウマを残すでしょう。私は文集団(統一教会のこと)の元メンバーとして、人々が自力で考えるように助けるために23年間働いてきましたし、強引で違法なやり方に反対しています。私があなたに知ってほしいことは、家族が強制的に介入してくれたことを嬉しく思っており、それ以外に自分が助かる道はなかっただろうと話す人に、私が時として直面するということです。しかし彼らと話して私が必ず発見することは、その家族(および個人)は、それしか方法がないと単に信じているに過ぎないということです。実際には、よりトラウマの少ないであろう他の方法が常にあったのです。もし何か質問があれば私にお知らせください。 私はあなたが私のウェブサイトを訪問されることを奨励し、この手紙が事態を正すうえで役に立てばと思います。

敬具

スティーブン・ハッサン

会長

資料:スティーブン・ハッサン氏から日本基督教団への手紙

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