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海でのリスクマネージメント


2020/12/19-20自然環境リテラシー学尾鷲コース第二回目

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みなさん、こんにちは

Tatsと言います。某大学にて教授をしています。また、別の機会に書いてみたいと思いますが、4年前から、自然環境リテラシー学、体験・実感型のプログラムを展開しています。自然の中で、自然を感じ、様々なアクティビティを体験し、そので学んだこと、自然の素晴らしさとともに、自然の怖さ、危険なことに対する対処の仕方など、様々ことを他の人々にに伝えていく、そんなことを目指すアウトドアでのプログラムです。

今年は、コロナ禍の影響で、正規のカリキュラムとしての実習の実施は断念しましたが、しっかりとした感染防止対策を行いながら、少人数でのプログラムを、研究活動の一環として取り組んでいます。「コロナ禍における感染防止対策を行うアウトドア活動」のプログラム開発という意味づけもあります。

今年のコースは6つあります。それぞれの5回ずつのプログラムとなっています。

①尾鷲・海と森コース
②紀北・海の川コース
③南伊勢・カヤックBASIC資格取得コース
④カヤックの旅・アドバンスコース
⑤大台町・森にとまる・水とあそぶコース
⑥多気、・サイクリングを知りつくすコース

順不同になりますが、それぞれのコースの内容を紹介していこうと思います

2020/12/19-20自然環境リテラシー学
尾鷲・海と森コース第二回目


一日目は、グループでT字レスキュー訓練。ガイドによるデモンストレーションの後、尾鷲といえど、水温もかなり下がってきたので、助けられる側はドライスーツを着た教員、ガイドのみが、水に入り、「助けて〜」と演技。参加学生はレスキューを行う。セルフレスキューもデモのみ見せる形式で実施。

夜は、座学で、リスクマネージメントの話、野田綾子さん、内山佳和先生、から、山でのリスクマネージメントの話、森田渉くんより海でのリスクマネージメントの話、尾鷲市役所の、芝山さん、千種さんからのお話などなど。

夜は各自のテントで就寝。暖房のないテントで寒さ対策も経験。今回は全員が湯たんぽを持参し、熱湯を入れて、各自のテントへ。それでも、寒くて目覚め、寒くてなかなか眠れない学生もいた様子。

二日目は、ナビゲーション講習として、地形図、海図の読み方、コンパスの使い方、目標の決め方、コースの決め方などを浜で練習した後、先輩学生の先導で、隊列を組んで、ショートツーリングに出発。この時は、出艇時間が大幅に遅れてしまった。

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出発するまでは中々動きも緩慢だったが、海に浮かんで隊列を組むころ、喝を入れると一挙に覚醒、声を出し、互いに確認し合い、動きが段々と良くなってきた。

風が吹く予報だったので、風・波の様子を確認しながら、コースを決め、割亀島(わりがめじま)を目指す

三人の先輩が互いに意見を交わしながら、大渡鹿浜(おうとうかはま)まで行き、昼食休憩。山側からやってきた尾鷲の方々とも会話をしたりしながら、出艇時間が来ると、学生たちは、我々よりも先に行動を開始。

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出艇すると、すぐ、一人が沈。先輩・ガイド・教員は手出しをせず、学生たちが協力して、レスキュー。前日のレスキュー訓練が見事に生かされた。

午後は風が吹く予報だったけど、不思議と風が凪いだ。波の様子を見ながら、割亀島をぐるりと回る。岩場を避ける、釣り人を避ける、往航する漁船を避ける、などなど、さまざまなシチュエーションが実際にあり、昨日のリスクマネージメントの座学が現場で生きた。

この頃、沈して水に濡れた一人の学生のパドリングがアンバランスとなってきた。片方の腕の動きが悪くなり、程なく、漕げなくなって、先輩学生が牽引することになった。体が濡れ、そのあと風に吹かれ、体温を奪われて、腕が動かなくなったのである。冷えがどんな影響を及ぼすか、体感することとなった。そこで、全員で浜へ戻る。冷えてしまった学生は、上陸後、すぐに熱いシャワーを浴び、着替えて、体を温めた。

ウェットスーツの貸し出しをしたが、それを選ぶかどうかは本人判断とした。沈した学生はウェットスーツを着ておらず、冷えを体感することとなった。自分が、仲間が水に濡れた場合、どう対処すればよいか、冷えがどれだけ恐ろしいか、対処の仕方を学ぶ。

だんだん学生たちの表情も変わってきた。自然の中での自分、自分の中での自然、それを少しずつ体感・実感していくと、学生たちは変化していく。自然の中で自分という存在がいかにちっぽけな存在なのか、それでも、自分の身体を使い、知恵を駆使して活動することで、自分の本来の力を知ることとなる。「単に遊んでいるだけ」という人もいるが、自然の中でこそ学べること、自然の中でしか学べないことがある。心や体の動かし方、自然の中で活動する方法を知る。そのことが本質的に、環境問題や気候変動、地球温暖化時代の生き方、研究や教育の本来的あり方を深く理解することに繋がっていくのである。この変化を大学にこもっている他の先生にも体験してほしいと思う(苦笑)。

はてさて、今年の自然環境リテラシーはまだまだ続くのである。

参考までに、今回ご一緒した自然環境インストラクター。ご興味ある方は是非コンタクトしてみてくださいね


森田渉さん/シーカヤックステーション小山ハウス
http://www.oyamahouse.dohmo.jp/

野田綾子さん/Verde大台ツーリズム
https://verde-odai.co.jp/

Tats

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