見出し画像

それでも映画上映を続ける理由

1.全国へ拡大された緊急事態宣言

 オイラは九州・宮崎市でミニシアター系の映画館2スクリーンを運営するNPO法人の代表をやっています。一昨日の4月17日から始まった緊急事態宣言の全国拡大の影響で、ほとんどの国内の映画館が三密の可能性があるということで営業の自粛が始まりました。でもオイラのとこの映画館では、スタッフの中でもいろいろ議論があったものの、今日19日の時点で上映を続けています。その経緯について、ちょいと書いてみます。

 4月16日の午後、突然発表された緊急事態宣言の全国一斉拡大。これを機に全国の映画館が続々と休業を行った。TOHOシネマズや大手シネコンを含め、地方のミニシアターも続々と休館を宣言。昨日、もしくは来週の25日からは閉館するというところが殆どである。
 そんな中、オイラが代表を務める宮崎キネマ館では、ギリギリまで上映を続けようと考えている。何考えているんだ?みんながじっとしないといけないという時になぜ劇場を開けるのか?感染者が映画館で出たらどうするんだ?風評被害もあるんじゃないかという意見も勿論スタッフの中からも出てきたが、現時点では未だに映画上映を続けている。それが美しいことなのか?自己満足じゃないのか?そんなに金が稼ぎたいのかとも言われることは想定しないし、オイラも馬鹿ではない。オイラがこだわっているのは、何故今、このような緊急事態宣言なのか?ということである。

2.法的拘束力のない自粛依頼の限界

 今回の自粛要請は2月の末に突然行われた。3月2日から全国の小中高校、支援学校を一律2週間程度休校にするということが2月の27日に発表されたのが発端だった。なぜ小中学校、高校だけ休ませて他の会社や仕事を休ませないのかというのが疑問であった。クラスターの発生を防ぐためという大義名分は分かる…日本政府が選択した、PCR検査数を増やさずに重症になる患者のみを隔離し、クラスターが発生しにくい状況を産みだし、重症患者が増加する時間軸をずらすことによって医療現場の負担を減らして医療崩壊を起こさない様にしようという作戦であったことは間違いないが、ここでロックダウンという言葉を散らせつかせながら、何も動かなかったのは経済を守るということとオリンピックの開催をあくまでも前提としていたからだと思われる。
 オイラは2月末の時点で、ちゃんと準備期間を置き2週間程度総ての経済活動も含め自粛を要請しないとこの作戦の意味はない!なんで小中高だけなんだと2月末のnoteに怒りを込めて書き込んだ。この判断は専門家委員会の意見を聞いて決定したのではなく政治家としての判断であると記者会見で首相は答えていましたけど…
 そして2週間程度の自粛要請が終了した直後にオリンピックの延期が決定、延期決定後に自粛要請が本格的に始まったのです。

3.なぜ映画上映を続けるような考えをもったのか

 それは、国の宣言によって、地方自治体の長の判断で自粛対象を決定できるという中で、宮崎県及び宮崎市は、現時点では映画館が自粛の対象となっていないからというのが大きな理由である。
宮崎市では緊急事態のレベル3に準ずるということで、10名以上の人が集まらなければいいという基準でソーシャル・ディスタンスを確実に取りながら営業を続けることは良しとしている点である。
 もちろんそれだけではいけないので宮崎キネマ館では、入場時に検温、マスクの着用、並びに氏名と連絡先を書いて頂いた方しか入れないようにしており、それを了承いただいた方しか入場させない様にし、入退室の消毒もお願いをしている。1作品につき9名までしか入らない様にして、それよりか多い場合は断る場合もありますという体制で臨んでいる。これだけでは充分だとは言い切れないが可能な限りの防疫体制でお願いしている。
 この2つが大きな理由であるが、感染者が1週間で倍以上になるような状況であれば、即上映は中止すると決めている。
 そしてもう一つの理由として「国が言うことが必ずしも正しいことなのか?」という点も挙げておきたい。過ぎたことであり、揚げ足を取るような事を言うと言われるかもしれないが、いま宮崎の状況で、東京や大阪と同じレベルの自粛が必要なのかという判断には疑問がある。もちろん、これ以上感染者は増えて欲しくないし、願わくば減少することが望ましい。2週間で感染者数を減らして、5月6日までは様子を見るために緊急事態宣言を設定したという説明であったが、とても5月の6日で終わるとは思えない。
政府の言う事がこの2ヶ月以上にわたって、ちゃんとした対応が取れていたかどうか1人ひとりが検証することを忘れてはいけない。売り上げをあげることが目的ではないし、意地でやってるわけでもない、ここは日常の仕事を非日常の中でもどこまでも淡々とやっていけるとこまでやってみたいと考えたからである。もちろん今の状況より悪くなれば直ぐにでも止める。でも本当に5月6日で終わるのか?その後どうなるのか誰にも分らない。
 普通の生活を誰にも迷惑をかけないように、行うしかないというのが今回の上映を続けている理由である。

4.映画業界だけではない

 ミニシアターエイドという全国のミニシアターを応援しようというミニシアターエイド基金クラウドファウンディングが4月13日(月)より始まり3日をかけずして1億円の目標を達成。19日(日)時点で1億4500万円以上も集まっている。もちろん、宮崎キネマ館もその賛同シアターのひとつです。
 お金が集まって良かったねと言っても何かしっくりこないんです。自分が関わっている業界だけが救済できても何かそれは違うような気がします。
本来であれば映画を軸にもっと何かできないかな?とあれこれ考えてはいるんです。ドライブイン・シアターやってみたら?とかいろいろ話はありますが今回のことは、あまりにも複雑すぎて解決策がなかなか見いだせない。そんななかでただひとつオイラが言いたいのは、国の施策についていくことが正しいことなのか、本当にどうしたらいいのかを考え直してみたいという事です。矛盾をかかえたまま、みんな生きているんですが、日々の生活もホントに矛盾だらけですねぇ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?