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終点のあの子

2005年5月25日生まれって学年いくつ下だって指折り数えてゆび 右指すべて折れて左指で支えていた食べかけのバナナ 皮 へし折れて机の上へ置きかけて皮、すべり落ちてフローリング床に 
皮 左指でもちあげてもういちど
机の上の手塚治虫聖書物語
の上の使いきった小さなジャポニカ学習帳 世界堂で買った日記
の頭上でバナナの皮
をきちんと宙に浮かせ
そして着地させる
床に落ちたとき皮にまとわりついて引っぱり揚げられたかみの毛

ごくごく僅かなしかし見ることのできるホコリをも着地した/寄せられた/まとわりついた/歪んで降りた/見たくなくてガラス戸のロックを外す 

恥ずかしいから最近もう会わないんだね
恥ずかしいって思ってたこと恥ずかしいことだなんて本当は全然思ってなかったんだ国語の音読 音読じゃないかあれは発表か ちがう、セリフ読みか 一度だけ彼女は本気を出していた 発声はこうやってするんですよ、って
同じグループなのに始業式の日から一年経ってクラスも離れて卒業するまで私のことずっと苗字にさん付け なにを信じていたのか少し恋に盲目気味で美意識がませていると言えるほど高くてスマホ中毒であの頃の、可能性の抽斗をたくさんたくさんこじ開けてあらゆる結果を描いてみても彼女と向かい合って話すようなことは
仲良くなることは無かったのだろうと思う はじめの日にリボン、ちゃんと結べてますかねって微笑みかけられたときから同じだ  
就職と受験、仲を別つこの二つのこと、恋愛と結婚もそうか いろいろあるが こうしたいからこうするのって一人になり始めた人を嘲笑うまとまり
嘲笑うむなしくなるまとまり
人と人が恥ずかしくて会わなくなる大きな素たち
でも初めから、会ったその日から、きっかけとかじゃない、恥ずかしくなったからとかじゃない、合わないのに私たちはさ、無理に合わせてたんだって気がつかせる何か、わたしより先に気がついてた?

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