法然上人のおなまえって
旧暦の4月7日は親鸞聖人の師であります、法然上人の誕生日です。
法然上人について、よくご質問される事があります。
それは、お名前についてです。
「法然上人と源空聖人と名前が出てきますがどう違うのですか?」という質問です。
「法然」というお名前は、坊号と言われるものであります。
坊号とは、お得度を受けた後につけられる本名とは別の名前になります。
「源空」というお名前が本名であります。
では、なぜ、親鸞聖人の御書物に「法然」「源空」と二つの呼び方で出てくるのか。
これは、日本の本名を呼ぶことを避ける諱(いみな)の文化の影響が考えられるようです。
現代にはあまりない感覚ですが、明治時代頃までの日本には、高貴な人や死者のことを本名で呼ぶことを避ける文化がありました。
古代の日本では、本名=諱を呼ぶのは親や主君のみに許されることであり、それ以外の者が諱で呼びかけるのは極めて無礼であるとされていました。
本名=諱を避けるということから、個人の名前は通称で呼ばれるようになり、官職名や居住していた邸宅の所在地名やゆかりのある建物の名前などに基づいた呼び名でよばれました。
ですので、親鸞聖人も坊号と諱を使い分けておられます。
諱である「源空」というお名前は、御本典やご和讃において、法然上人を讃嘆される際に使われておるようです。
逆に、「法然」というお名前は、御消息など、日常のお手紙で使われております。
現代人には、わかりづらい感覚ですが、大変思いを込めてご和讃をうたわれたことが伺えるように思いますね。
ちなみに、写真は当山正國寺に御安置されている七高僧の御影ですが、ここにある「圓光」というお名前は1697年に東山天皇より下諡宣下されたお名前であります。
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