串間の妙好人 内田丹治さん
当寺院の門徒さんで、明治時代に内田丹治さんという方がおられました。この方は大変篤くお念仏をいただいておられた妙好人と呼ばせていただきたい方でありまして、昭和60年にこの方の遠縁のお家のお仏壇より、丹治さんの書き残した讃仰の歌が見つかりました。
明治期のご門徒中の、生活とお念仏が一つとなった生活の姿がにじみでているありがたいお歌でございますので、是非御味わいいただければと思います。
・娑婆の仕事はみな置き土産 信をえたのが大仕事
・姿形は貧乏すれど 胸に六字の小判を持つぞ
・万貫持ちの長者でも 信のないのは貧乏まさり
・金がなくても足る事知れよ 信のほかにはなに不足
・弥陀の光が月日となりて 照らし下さる米と粟
・身の入れもの五尺のからだ だれが下さるこのからだ
・着るもあなたの仕着せと思え 喰うもあなたのお養い こんなお慈悲としらなんだ
・タンス長持みな仕立どり こんなおじひとしらなんだ
・六時となえりゃ神々さまえ 常に日参するものを こんなおじひとしらなんだ
・神や仏に信仰すれど 親に不幸がわしゃおかし
・親をすすめて信心えさせ 一の孝行未来まで
・信がなければ親子も他人 ともに一味はみな親子
・嫁もしうとも信心えたりや 体が二つで信一つ
・信をえた身はみなきょうだいよ 本が一人の親じゃもの
・人は笑おうと不びんに思え こちも昔は鬼なかま
・なんの地獄に合鍵あらうか 胸に決定の鍵おろし
・人をそしりた舌三寸も 今は六字に転じかえ
・男子おとこと自慢をすれど 信のないのはみな女人
・信をえたれば女人も男 おとこどころか大仏
・一人になりても苦しと思うな 今の夫はアミダさま
・久遠劫来まことの親と 思い知りたは今しばし
・信をえたとてえた顔するな 本のイロハに立ちもどれ
・彼岸ばかりが彼岸じゃないぞ 常によろこぶ常彼岸
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