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2010年11月7日 午前3時 全文掲載

昨日、師匠から入門を許して頂いた!
しかも高座の上で(笑)
とにかく一生懸命に落語道を突き進もうと思う。
これで自分が不甲斐ない噺家になってしまえば、
師匠にキズをつけることになる。
それだけは絶対に避けなければ申し訳ない。
だから、絶対に売れる。良い落語家になる!

落語入門@草月ホール
金明竹、薄型テレビ算、ツイッターQ&A、芝浜

今日がインターン最終日だとは聞いていたし、
入門を許可される自信はあった。
会のタイトルが落語入門だというのもフックになると思っていたけど、まさか、舞台に上げていただけるとは思ってもいなかった。

芝浜が終わったとき、
動線を確保しようと扉を開けに行った。
らく太さんが追い出しのCDをなかなか流さないから、カーテンコールがあるのかな、と急いで袖に向かう、、、、あたりからもう記憶がおぼろげになっている。
師匠が、こっちを見て
「人羅君、来るかい?」と言っている。
ワケがわからず、舞台に上がると、師匠は「やる?」とおっしゃった。
「一席やるか?」という意味だと思い「いや、いいです笑」と返す。
するとまた「やる?」と師匠。
僕が「いや、」と言っていると、
「そうじゃなくて、弟子になる?」と言いなおしてくださったので、
「はい、お願いします。」と言う。

「というわけで、本日は『落語入門』というタイトルでしたが、本当に弟子が入門したところで本日はお開きとなります。」と師匠。

正直なところ、状況が把握できておらず、感動すらできなかった。
ただ、お客様の「おぉー!」という歓声や、この「落語入門」という会をフックにしようという師匠のお心遣いは忘れることはない。

会が終わったあと、師匠と食事をさせて頂く。
師匠はとにかく自分が責任を持って育て上げる、とまでおっしゃってくださった。
最長で3年、やることをやったら最短で1年での二ツ目昇進を考えている。とまで。
師匠の若手時代の話や、今の状況をそれこそ包み隠さず話してくださった。

もしかすると「談笑の弟子」というだけで、
今後嫌な思いをするかもしれない、
と師匠はおっしゃった。
だけどそれ以上に、「談笑の弟子」として恥ずかしくない落語家になろうと強く思う。

妨害する連中がいるかもしれないけど、それ以上の力でもって突き進んで行こう。
いまの師匠ぐらい、
いや、それ以上に売れよう。
評価されよう。
オレが売れて、
「談笑の弟子はすげえなぁ」
と言わしめよう。

こちとら客商売!
お客様の前では常に楽しませる姿勢でいこう。
斜に構える必要なんてない。
面白いことをやり続ければ絶対に道は開ける。

とにかくやるやるやる。
師匠に恥をかかせないためにも、
前座のうちはとにかく前座修行をきっちりやろう。
もっと落語を好きになろう。
その上で好きなことをやろう。
他人には寛容で自分にはストイックでいよう。

師匠ありがとうございます!
家元ありがとうございます!
いままでの、そしてこれからの、落語に関わるすべての方に感謝します。

この気持ちを忘れることなく、、、。

2010年11月6日、
僕は正式に立川談笑の一番弟子となった。

(拙著『現在落語論』毎日新聞出版 より)


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