選、拓
謹んで新春の言祝ぎを申し上げます。
そして、この編集室も丸一年ご無沙汰してしまいました。
3年もの長きにわたり、土地の人たちの”伝える””継ぐ”という気持ちと行動を削ぎ続けた禍々しい「禍」の最中でしたが、昨年もご縁いただき、伝承・継承がこの未曾有の困難をなんとか切り拓こうとする、日本各地の現場に数々立ち合うことができました。
これまで継いできたもの、積み重ねてきたものは全て正しく、勿体無いもの、ひいては面倒が起こらぬよう何も触らず伝えていく、いわば思考停止ともいえる状態が、伝承・継承の現場で繰り広げられていたのは言うまでもありません。
12年前の災、そして今回の禍で、変わらないことを選択するか、止めることを選択するか、新たな挑戦を選択するか、様々な選択肢を突きつけられました。
その選択は、誰のための選択なのでしょう?
子供や孫、新しく出会った志ある人たち。彼らにもその選択を、自信をもって引き継ぐことはできますか?
私たちは、大きな分岐点に立っています。
子や孫や有志の未来の一端を担っています。
そのプレッシャーを考えると、とても一人では耐えられません。
志ある人と出会う場、つながる場、形にしていくきっかけづくり。
よりよい選択を検討し、拓いていくお手伝いを、今年も諦めずに、続けてまいります。
本日は七日正月。積み重なった澱や重みに青草を流し込み、蠕動《ぜんどう》を引き起こして、新たな芽吹を祝い願いましょう。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2023(令和5)年癸卯 縦糸横糸合同会社