犬についてはこう見えたよ(未来を言うの続き)
ある犬のときは、わたしが見たのは砂利だった。青味のある、ひんやりしていそうな砂利が見えた。枯れたすすきや川も見えた。
随分あちこちをうろうろしたけれど、彼には道がわからなくて、家の方角だけがわかるようだった。と思ったのは、彼がいろんな場所の匂いを嗅いで、顔を上げているのが時々景色の見える合間に感じられたからです。
彼は来た道を戻るということは考えずに、直線的に、山を越えて、行き止まりも通り抜けて、帰ろうとしていました。
それでわたしは「帰ろうとしているようだから、近いうちに見つかります。」と言ったのね。
「民家に入ってしまったりしていないだろうか。」
と訊ねられたら「民家の様子ではないよ。砂利の多いところにいるのか、いたのか、これから行くのか。道なき道を歩いているみたいな。」と答えた。
みんな探していたけれど見つからずに、翌日自分で帰って来た。だから、未来じゃ無いかも知れない。わたしが見たのは。
ある犬は随分敷地の広いところの隅に隠れているようで、わたしは上空から、コンクリートの大きい建物を見ました。
だけどその後に植物の緑色を見た。
緑色の質感が、人工的なものの色ではなくて、植物の感じのする色だった。
何にせよ隅で息を潜めようと、広い土地に入って頭をかがめながら、建物の影に入ろうとする姿が見えたから、やっぱりわたしは
「見つかる。二、三日うちに見つかる。」
と言った。
問題がまた、ここでもあります。
判断できないじゃないかということです。
こんなフワフワしたことを、これが何の役に立つかね。それはわたしが最も思うところです。
難しいです……。