3月18日 胸中の手記 砂の味
3月18日 月曜日 晴れ強風
寒の戻りの風で飛んだ砂が顔に打つかってちりちり痛んだ。口にも入った。
仕事上がりの帰り道に、本当に砂を噛んで、胸中も全く同じ。
態と味のあるものを持っていることを装えば、尚更味気も力もない自分を感じ取ってしまうから、引き続き本当の自分を見つめようとする。
そうすればするほど中身のないことを感じて、大袈裟な感情を持ちたがり、言いたがって、溜め息が出そう。
誰かがいつかくれた忠告を思い出して、それは
「溜め息を吐くとしあわせが逃げるよ」
という言葉だったから、逃がさないように息を思い切り吸い込んだ。奥歯でジャリッと砂が鳴って、髪は風に荒れ狂って、あたかも向かい風に逆らって強く生きる女の人のようだけれど、ただ走って砂が口に入っただけの人が、道の上よりも我が身の上を、光明を探して彷徨って、終始ぼんやりしているのです。
難しいです……。