機械ネメシスの未知を既知に

はじめに

noteでは初めまして。たたみです。
普段は社畜しながらシャドウバースをやっています。

先日行われたRAGE 2020 summerにて、機械ネメシスを1stデッキとして持ち込み、プレーオフ進出という結果を収めました。

機械ネメシスについては、世間の評価(都合よくキーカードを揃えてランダム要素に頼る運任せのデッキ)と自分の感覚(キーカードへアクセスしやすいがミスしやすく練度の出るデッキ)にズレがあるデッキだなと感じていました。
また、こんなに面白いデッキが運ゲーと忌避され使われないことを非常にもったいなく思ったので、大会の振り返りがてら、自分なりのプレイや考え方を書いていこうと思います。

※「Q&B」さんという上位プレイヤーの方が書いた記事も既にあるので、機械ネメシスに興味があって未読の方はそちらも是非読んでみてください。自分も色々と参考にさせていただきました。

1.機械ネメシスってどんなデッキ?

■デッキの強み

強み①:ゲームを支配できるフィニッシャーがある
つまりはベルフォメット。分かっていても受けるのが難しいパワーカードです。ランダム要素もおおよそ「2/3で盤面、1/3で手札」の二択と捉えてよく、悪名高きゼウスほど極端ではないためゲームプランの軸にすることができます。

個人的な感想ですが、ベルフォメットは本体が他のカードでは見ないような高スタッツになること、疾走の打点・守護の回復値ともに高く不利状況を一発でひっくり返す力があることなど、プレイしていて楽しい華があるカードであることも魅力の一つと思っています。

強み②:キーカードへのアクセス手段がある
つまりはカイザーインサイト。大量に山を掘ってキーカードを強引に揃えるというアプローチで、デッキとして成立させています。

強み③:バハムートを採用できる
つまりはマグナジャイアント。強固な盤面を形成して押し切るという思想のデッキに対して明確な回答を持っています。


■ゲームプラン

基本の考え方は非常にシンプルです。

全対面共通:ベルフォメットを7ターン目までに着地させる

当然ながらベルフォメットは8コストのカードなので、エアリアルクラフトもしくは天界の門が必須です。門は5PPとボード一面をロスしてしまう(特にボードロスが厳しい)ので、極力エアリアルでの条件達成を目指します。

ここで重要なのは「鋼鉄と大地の神を6ターン目に着地させる」ではないという点です。
誤解のないように補足しておくと、もちろんエアリアルから神につなぐのは6ターン目のベストムーブですし、仮にベルフォメットを引けなくても4コストに下がったマグナジャイアントやグライアスで十分ゲームを作ることはできます。ただし本質的には、7ターン目のベルフォメットへの繋ぎとしてもっとも強い動きが6ターン目の神である、という捉え方をすべきだと考えています。

また、他の機械自然デッキでは強力なムーブとなる「神連打」は、機械ネメシスでは基本やりません。理由は単純で、山札がなくなるからです。同じように山を消費するのであれば、2体目の神を出すより1体目のベルフォメットを出す方が断然強いですからね。


2.構築と採用理由

■デッキレシピ

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■採用カード・不採用カード

※確定枠の中でもベースとなる機械カードについては省きます。

カイザーインサイト(3枚採用)
3枚確定。初手の追加マリガン、中盤の手札交換、終盤のフィニッシャー、いずれも代えの利かない役割であり、盛り無しでゲーム中3枚使うカードです。

コンセントレイト(3枚採用)
序盤は3PP余しのリソースカードとして、中~終盤は1PP余しの手札交換カードとして運用します。テンポと引き換えにリソースを増やすカードは重なると弱いため採用枚数に悩まされがちですが、このカードはなぜか重ね打ちができるため3枚確定。ベルフォメット9ドロー後に0PPで捨てられるのも一応のメリットです。

アーツマスター・カルラ(1枚採用)
後手カードと思いきや、先3に出すと4パスが正当化されて手札が増えるため、先後どちらでも強力な単体性能オバケ。もちろん後攻でコンセントレイトを無理なく打つためのカードでもあります。
機械でも自然でもなく、ゲーム中に必要な場面はおおむね1回なので、採用枚数は1枚がちょうどいいと思っています。

天界の門(1枚採用)
盤面にエアリアルの当たり先を出してくれない相手や、一面少なくてもベルフォメットを早期着地すれば勝てる相手のために保険として採用しています。具体的にはリノEと自然Wで、他の対面には基本的に出すことはありません。環境やBO3構成次第では抜いてもいいカードだと思っています。

機械神(予選:2枚採用、プレーオフ:不採用)
機械カードならなんでも良かった枠。終盤までロクに打点が出ず、上位能力のマグナジャイアントがいるため優先度は高くないです。本体は飾り。

チャクラムオフィサー(予選:不採用、プレーオフ:2枚採用)
機械神と入れ替えた枠。アクセラレートで打つとゴミに置き換わってしまいますが、カイザーインサイトで流すための手札を温存するという意味では悪くなく、序盤カードとして役割を持てると判断しました。
本体はほぼ飾りですが、4点疾走がついているので他の機械カードよりは使う場面があると思います(一度も使ったことないです)。

マシンエンジェル(不採用)
手札を減らして2コスを出すくらいならベルフォメットに1枚でも多く融合させたほうが良く、本体を出したい場面もないため不採用です。

ワンダーコック(不採用)
このデッキで欲しいのは神ではなくエアリアルとベルフォメットなので不採用です。


■マリガン

共通単キープ
・コンセントレイト(3枚まで)
・エアリアルクラフト(1枚まで)
・カイザーインサイト(1枚まで)

先攻単キープ
・フロートボードマーセナリー(1枚まで)

エアリアルクラフトとのセットキープ
・鋼鉄と大地の神(先攻であればベルフォメットより優先)
・天地の侵略者・ベルフォメット(後攻であれば神より優先)
・メカゴブリン(エアリアルに加えて上記2種どちらかあれば)
・アーマードアルマジロ(同上)

対面によって単キープ
・天地の侵略者・ベルフォメット(相手が自然ウィッチ、リノセウスエルフの場合)


■相性認識

 有利:機械V、AFNm、自然W
微有利:機械B
 五分:ミッドV、式神W
微不利:自然機械D
 不利:リノE

ベルフォメット降臨が7ターン目のため、動きのメインターンが8ターン目に設定されている、かつ盤面形成を重視しているデッキには非常に強いです。


3.実戦譜(RAGE振り返り)

RAGE予選のリプレイより、機械ネメシスの強みやプレイ分岐が見える場面を振り返ります。

■全体成績

day1 5-1(Nm 4-2、1不戦勝)
day2 7-0(Nm 7-3)
プレーオフ 0-1(Nm 1-1)


■day1 2回戦

vs 機械V(勝ち)

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後攻4ターン目。機械ネメ最強ムーブの後6ベルフォメットが成立するハンドをもらえました。
ここまで揃うのはもちろんツキもあるのですが、山の枚数26という部分を見ていただければわかる通り、カイザーインサイトとコンセントレイトによって爆速でキーカードを掘っているところがポイントです。余談ですが、予選2日間で後6ベルフォメットを3回決めています。

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相手のハンドが減っているのは、前のターンに天門ケアで神に融合させたからです。少し知っている相手だとこういうことがあるため、門プランを通すのは余計に難しいです。
ただし今回の場合、門プランをとる可能性がゼロであり、相手の手札2枚残しでネレイアと神であることが透けたため、こちらにとってはメリットとなりました。

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出目も期待値通り4面並んでくれたため、そのまま勝利。


■day2 2回戦

vs 機械B(負け)

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神展開を受けた後攻7ターン目。ベルフォメットには1枚融合済み、機械カウントは5、マグナジャイアントは山にあと1枚あります。
プレイ分岐としてはベルフォメット一択の場面ですが、どこまで融合させるかが問題。ここはトークンを4面出さないと押し切られてしまうと思い、「盤面」の出目を引く確率を高めるため、私はマグナジャイアントを1枚だけ残して7融合でベルフォメットをプレイしました。

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出目は疾走2、守護2、ドロー2(盤面1溢れ)。
ここは盤面処理の仕方も良くないです。ベルフォメットで7/7を叩き疾走をすべて盤面にぶつけたため、本体が選択可能かつヘルスが下がった状態になってしまっており、2体目の神で楽に取られてしまうからです。
ベルフォメットで盤面処理する場合は、本体の生存率を高めるような当て方を意識するところが重要です。本体が退場していると後続のマグナジャイアントの威力も半減してしまいます。

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9ターン目。神を3連鎖され、マグナジャイアントがないため盤面処理できず負けてしまいました。
対機械Bは基本的にマグナジャイアントを3枚使いきるマッチであること、またノードローの出目を引いた場合もマグナジャイアントで捌き続けられることを考え、1枚目の場面ではマグナジャイアントを2枚とも残さないといけませんでした。

ちなみに、マグナジャイアント以外で残すことを積極的に検討すべきカードは他に「グライアス(条件:神で4コストにダウン済)」「グライアスの威光(2点バフの方)」がありまにす。ベルフォメットがノードローの出目を引き盤面偏重となった場合、追撃手段となるカードは温存する価値が高いです。

■day2 7回戦-1

vs 機械自然D(負け)

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先攻7ターン目。相手が5神6神で宇宙開発しており普通のデッキであれば絶望的な状況ですが……

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ベルフォメットの出目がなんと守護4面。
ここでの正着はプテラ殴りです。ナテラで面が埋まり盤面ロックが成立しています。実戦では正着が見えずにプレシオを殴ってしまったため、母君での負け筋が生まれてしまいました。

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先攻8ターン目。運よく本体が生存して帰ってきました。
ここでは、カイザーインサイトでカイザーインサイト以外を流してマグナジャイアントを引きに行くのが正着です。山にマグナジャイアントは2枚残っており、相手は休息を既に2枚吐いているため、ここで引ければ15点+カイザーインサイトの7点で勝っていました。仮にプレシオ3枚目があった場合でも相手の山札が先に尽きるので、いずれにせよ勝ちます。

実戦ではここの正着も見えず、LO勝ちを狙ってベルフォメットを神にぶつけ盤面処理に向かいますが、ようやく出てきたヴァイディの侵食に削り切られて敗北。最終局面では相手の山札が0、自分のライフもピッタリ0で、紙一重で勝てないルートを選んでしまったというゲームになりました。

カイザーインサイトの手札交換は初手のマリガンと中盤のエアリアル絡みがほとんどであり、終盤は山も少なくなるためアクセラレートの択を捨ててしまいがちですが、マグナジャイアントを引きに行くパターンも忘れずに覚えておきましょう。
また、こうした受けを常に考えるために、カイザーインサイトで流したり融合させたりした主要カードはすべて記憶しておくことを推奨します。カイザーインサイト、マグナジャイアント、ベルフォメットの枚数は最低限で、守護のアルマジロ、疾走のエアリアルとチャクラムまで把握できていればおおむね大丈夫です。

■day2 7回戦-2

vs 機械V(勝ち)

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後攻4ターン目。エアリアルクラフト+ベルフォメットのセットが見えていましたが、相手の盤面が弱かったためフロートボードマーセナリー×2のプレイを選択し、手札の質を高める選択を取りました。このサーチで神が引けたため、デュアルエンジェル進化でナテラを回収し、5エアリアル→6神→7ベルフォメットの黄金ムーブへ向かいます。
相手の盤面が強くて多面処理を要求されるパターンの方が頻出ですが、いずれにせよ、エアリアルのターンはずらしても良いというところがポイントです。先攻でも神を経由しない場合は1ターン待つことができます。

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後攻7ターン目。疾走2面で勝ちの場面でしたが出目はまたしても守護4面。
ここは2回戦の反省点と同じく、殴れるからといってベルフォメットで神を叩かないことがポイントです。仮に神が8/8でも放置し、2枚目の神や機械神で本体が取られる可能性を減らします。
本体が残れば、あとはノインの守護展開に温存していたマグナジャイアントを合わせてGGです。

おわりに

最後までお読みくださり誠にありがとうございました。

また改めまして、緊急事態宣言下という大変な情勢の中でRAGEを開催していただいた運営さんに、そしてプレーオフ出場にあたり応援してくださった方々全員に、心より感謝申し上げます。

皆さんご存じの通り、noteには有料記事という文化があります。
自分としては、価格設定は妥協せずにすべきだと思っています。時間をかけてプレイで得た知識を時間をかけて文章で還元する以上、筆者が誰であれ記事の内容がどうであれ、書いた対価を求めないのはむしろおかしいので。
ですが本記事は、初noteであること、アディショナル直前であることを考えて、全編無料としました。

今回は、たたみって人はこういう文章で、こういう切り口で、こういう内容を書くんだなということをなんとなく知っていただき、今後もし有料記事を書く機会がありましたら、この記事を参考にご判断・ご購入いただけると幸いです。

それでは皆様、よき機械ネメライフを。

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