い韻です?
拝啓。
残寒のみぎり、読者様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
私はと言うと、少しばかり記憶を飛ばしてしまっているようです。
唐突で申し訳ありません。
本日目覚めると、自分が誰で、どこから来て、なにをしているのか、なにをしてきたのか、一切分からないのです。
どうやら埼玉県の小さな公園に居るようですが、それ以外にあてになるものが全くありません。
しかし、幸い知識だけはなんとなく残っているようです。
そんな最中、こちらのnoteというアプリを見つけました。
ということで、このアプリをメモがわりに使わせてもらっているという理屈なわけです。
どうやら私は“カツヲ”と言うらしいです。
そもそも、一人称は「私」なのでしょうか。「僕」か「俺」か、「わたくし」かもしれませんし、「それがし」かもしれません。ひょっとしたら「わたがし」の可能性も。
それすらも覚えていません。
でも今回は「私」にしましょうか。
カツオは好きです。
ただ、イカの寿司の方が好きかも。さらに言えば鯖缶も好きだし。
別に鯖缶を握りにしても美味しいだろう、とすら思っているぐらい好きです。
なんだかそういうのは覚えています。
でも名前だとか、住所だとか、経歴だとか。
履歴書的なものはすっぽり抜け落ちています。
ウダウダ御託を並べていても仕方が無いので、手がかりを求めてとりあえず近くの駅に向かってみましょうか。
埼玉県。
自分はこの県で生まれた感じはしません。
でもこの付近をいつの日か夜中に通った朧気な記憶はあります。
なんだろうこの記憶。
ん、ブランコにKENZOのパンツを履いたサブカル少年とハンチング帽を被ったドレッド少年がいます。
なんか楽しげな様子です。
マジカルバナナ!
懐かしいです。誰もがやった事のある連想ゲーム、マジカルバナナ。この少年たちが繰り広げるゲームから自分の出自に関するヒントは得られそうにはないですが、ちょっと盗み聞きしてみます。
あらあら、ハンチング帽を被ったドレッド少年、なかなか手練のようです。
レモンで攻め、カボスで引き出し、ライムで振りました。
素晴らしい立ち上がりです。
“マジカルバナナ将棋”で言う、「酸っぱ飛車」の戦法ですね。相手から「酸っぱい」を引き出して王手を狙います。
さて、KENZOパンツ少年の返しは如何に。
「良いんです」!?!?
あれ、“マジカルバナナ”ですよね??
私が見ているのは“マジカルバナナ”ですよね??
ドレッド少年の急戦的な攻撃に、KENZO少年の投了はもう想定された未来でした。
あまりにも短いものの洗練された棋譜に、感想戦もさぞ盛り上がるだろう。と思われたところでのKENZO少年の奇手。
これまでの“マジカルバナナ将棋”における定石を大きく覆すKENZO少年の一手ですが、“マジカルバナナ将棋”なんてものはこの世に存在しないので歴史には残りません。
ん〜なるほど。意味がわからんです。
知らんゲームが始まりまったしまっりまったましたたった。
いいえ。一歳童謡はしていませんよ。
おっけー、了解。
突然ラップバトルが始まったようですが、訳分からないので考えるのは辞めることにします。
・・・。
なんだこれぇーー!!!
ちょっと訳分からないです。
かったい韻を踏んだ末に、おあとがよろしすぎるオチ。
とても一般小学生に出来る所業ではありませんよ。
そしてなんか夏の風物詩の韻を踏むところ、やけに見覚えあるんですが、、、、、
あ、!
これこれ!こんな記事書いた記憶、微かにあります。
まだまだ記憶を取り戻せていませんが、こんなにも気取った文章を書いてたなんてお恥ずかしい限りです。
そうかそうか、このアプリで自分が書いたであろう記事が記憶を取り戻す手がかりになりそうですね。
そして記事を読み返してみると見つけたのですが、この2人の少年に引けを取らないほど、かったい韻を踏んでいたようです。私。
あぁ恐ろしい。
こんなにもカチコチな韻を忍ばせていた自分も、こんなにも訳の分からない遊びをしている彼らも。
・・・・・・・・
あら、思案に暮れていたら、私、生憎二人を見失ってしまいました。
自分の記憶を取り戻す絶好のチャンスだったかもしれませんでしたが、まだまだゆっくりと心象の反芻を繰り返すしかなさそうです。
それにしてもこの意味不明な状況に、さすがに私の心臓のポンプはバクバクで観念です。風来坊の私はゾワッと公園で狼狽えてしまっています。
・・・・・・・・
KENZOのパンツを履いたサブカル少年!?
ハンチング帽を被ったドレッド少年!?
ちょっとどういう意味でしょうか、、、。
なんとなく流していましたが、とんでもないハイセンス少年たちでした、この2人、、。
サブカル系小学生なんて居てたまるか、ですよ。小学生はひたすらメインカルチャーではしゃいでナンボです。
そんでドレッドヘアのひとはハンチング帽なんか被りません。小学生はせいぜいベースボールキャップがオシャンな相棒なのに。
なんですかこれは、、、。
明らかに変な世界に来てしまった様ですね。
どうにか気を取り直して駅に向かいましょうか。
なんだか見覚えのある気がする景色です。
私は埼玉出身なのでしょうか。でも懐かしさは一切感じません。
むしろ変な感情ですがイマイチよく分かりません。
お、駅が見えてきました。
『埼玉しんとしん』
知っている駅です。
いや知りません。寒気がしてきました。
私が知ってるのは『さいたま新都心』です。
ひらがなになって初めて気づきましたが、回文じみた名前の駅だったんですね。
さいたましんとしん。逆から読んでも、んしとんしまたいさ。
サマンサタバサと一緒です。サバタサンマサ。
うん、意味がわからない。まいったな金星人。
もう怖いんだべ、ブルベ冬、骨スト。
・・・・・・・・
怖いです。
意図していないのに訳の分からない語彙が出てきました。
きっと脳みそに染み付いた自分の語彙なのでしょうけども、こんな気持ち悪い語彙が染み付いているのは本当に嫌です。
自分の記憶が戻るのが怖くなってきました。
自分はジョイマン的なリズム芸人だったのかな、まなかな、西野カナ。
でも進むしかないから、約束するよ、チャンカパーナ。
うぅ、、、怖いです。
今の時点で私の経歴として有力なのは“チャラアイドルリズム芸占星術師”です。
勘弁してくださいよ。
相変わらず狼狽えたままですが、とりあえず進みましょうか。
さっきから駅の近くのカラフルなお店にどんどん人が集まっていっているのが見えています。
向かってみましょう。
着きました。
『〜アフュームのぱーちゃんがオーナーのお菓子屋さん〜 「おぱっちのぱしゆか」』
意味がわからないです。なんだか私の知っているような気がする言葉が並んでいますが、意味がわからないです。
意味がわからないです。怖いです。
私が知っているのは“パフューム”の“あーちゃん”、“のっち”、“かしゆか”だし、『おかしのまちおか』です。
だから
『〜パフュームのあーちゃんがオーナーのお菓子屋さん~ 「おのっちのかしゆか」』
なら知ってます。
いや、知りません。そんな店。
そして、すごくメルヘンな雰囲気が漂っているのに、店名からはあの芸人がちらつきます。
店に入ってみれば、あら、結構賑わっているようです。
さすがお菓子屋さん。色々なお菓子が並んでいます。
良かった。見覚えのあるパッケージばかりです。
カンコドリマアム、ヨギボーグミ、イップススター、さらにチュウハイもあります。
ん、知らないです。なにこれ。
うそ、最後のだけ知ってる。焼酎ハイボールのことですよね。
その他にもありますね。
タッピーハーンに、ノッポ、シルキーキッス、鍵っ子ぞうもつ。
怖いです。
パッケージは全部似ているのに名前が全部違います。
お菓子から目を背けるように壁に視線を滑らせば、さすがアフュームのぱーちゃん。
たくさんの有名人のサインがあります。
ベッキー♪#
くっきー!
白鳥瞳
大野大介
ザ・ツネハッチャン
・・・怖いです。ペンネームだったり、改名前の芸名だったり。
野性爆弾の“くっきー”が姓名判断以後芸名を“くっきー!”に変えたことなんか誰も知らないのに。
まだまだありますがなんだか見覚えのない名前ばかりです。でも右下に注釈が書いてあります。ありがたい。
越智志帆ことSuperfly
鈴木崇裕ことマジカルラブリー野田
バスキン・ロビンスことサーティワン
前山田健一ことヒャダイン
ああ、なるほど。分かりました。怖いので逃げます。
どこに行くべきなのでしょうか。
とりあえずお店に入るのはダメなことが分かりました。
せっかくなので電車に乗りましょうか。
駅ってのは良いですね。居るだけで様々な情報が流れ込んできます。
お、たくさんの魅力的な広告がありますね。
『目の付け所がフラットだね』
『なんで、私が惣菜に。』
うんうん。もう動揺しません。
時には鋭い視点ではなく、平らな見方をすることで新しい発見があるかもしれませんし、沢山勉強した結果、なぜかスーパーに並べられることになってもこの世界では不思議じゃないですもの。この世界では。
『そうだ、群馬行こう。』
うんうん。そんなことあるのでしょうか。
でもこの世界では不思議ではありません。
正直いって群馬に行くなんてとち狂っていると思いますが、なぜな少し魅力的なので向かってみましょうか。
群馬県方面であると考えられる『髙﨑』行きの電車に乗りました。
『高崎』ではありません。『髙﨑』です。でももう動揺してません。慣れてしまいました。
群馬県。なぜか懐かしい感じがします。
住んでいた訳では無いはずですし、行ったことは、、、あるのでしょうか。ちょっと行くのは嫌ですけど。
あー、出たよハイセンス少年。
今度はSHINYA KOZUKAのニットを着た少年と、JOHN LAURENCE SULLIVANのデニムを履いた少年がいらっしゃいます。
彼らは一時期流行ってたリズムゲームを始めるようです。
名前を拍に合わせて言うやつです。
ニット少年はまなと君なのかな。
もう1人はなんという名前なのでしょうか。
らいむ君かな。珍しいですね。
・・・・・・
ちょっとワクワクしている自分がいます。
この世界のハイセンス少年の遊びは、本当にハイセンスっぽいから。
いやっほーーーい!!!来ました来ました!!!待ってました!!!楽しみです、彼らの言葉遊びが!!!
さあ、どう続ける?まなと(仮)くん!
ふぉーーー!!!オシャレです!
あくまでゲームのリズムを守りつつパスを出し、韻踏みの雰囲気を残した完璧な返しです、らいむ(仮)くん!
おぉ、絞り出した!!!韻踏みからは少し外れたかなり難しいパスでしたがしっかり返しました。
茨城出身の西野カナなのカナ?考察が広がります。
美しいです、、。
ちゃんとリズムゲームのフォーマットを残しつつ、徐々に“連想なぞなぞ”みたいな流れになってきました。
藤崎マーケットと『粉雪(レミオロメン)』のコラボレーションが見れる時が来るなんて思いませんでした。
良い韻です!!!良い韻です!!!楽しい〜!!!
どういう文脈で進んでいるかはちっとも分かりませんが言葉遊びってこんなに楽しいんですね。もう彼らから目が離せませんよ!
かはァ。。。
ちゃんとオチは元のゲームに立ち戻る彼ら。ハイセンスすぎます。
とても台本なしとは思えないレスポンスの早さ。特に鯖鱈さんまさんのところはお見事です!!!
・・・・・・
ところで、怖いですよね。
らいむ、ロッチ中岡、ららんどさーや、越智志帆。
そしてサマンサタバサ。
ところどころに、私が今日見たものだったり考えたことが出てきています。
なにこれ。
私の今日をオーバーラップしています。ラップだけに。
・・・・・・
いや普通に怖いですから。
もう変な世界には慣れてきたはずなのに、怖いですから。
彼らに夢中になっているうちに、気づけば外はすっかり野原に畑に。畑には鍬なんかも見えとります。
いや、
鍬、畑、野原があったらそこはもうグンマーや!!!
あ、、。
これですやん。
私、歩いて群馬まで行ったことあるらしいです。
群馬県に対するただならぬ既視感、あるいは忌避感の正体が分かりました。
そしてどうやら東京の西の方出身らしいです。私は。
というかもうすっかり群馬県です。
『髙﨑駅』に着いたので降りましょうか。
駅のホームには、なんだかサブカル大学生カップルがお話ししています。
サブカル大学生。
ハイセンスなのだとしたらハイセンスですが、ハイセンスではないのならばハイセンスではありません。
この文章の意味がわからない人は安心してください。正常です。
うん。これはギリハイセンスではない方のサブカル大学生です。
どういうことかよく分からない人は安心してください。正常です。
うんうん。安心しました。
やっとハイセンスじゃない人が出てきましたので。
文脈ガン無視の
「それで言ったらさ」
の意味がわからない人は安心してください。正常です。
うん。あったけぇです。
恐らく私の脳髄に眠る語彙から、私の正体は『ハイセンスぶったサブカル大学生』なので、彼らの文脈ぐちゃぐちゃの意味不明コミュニケーションが染みます。
彼女の方がややハイセンスなのも、実にリアルであたたかいです。
この“あたたかさ”がよく分からない人は安心してください。正常です。
うん。あったけぇ。
互いに言いたいことを言っているだけの時間が続いています。これでいいんです。
微笑ましいです。
このやり取りの面白さがわからない人は安心してください。正常です。
うんうん。そうですわ。
私って、誰にも見つけられない星になりたいんですわ。
意味のわからない語彙を放出して、流され、隠され、光れぬ世界で、誰も知らない自分の輝きを放ちたいだけなんですよね。
という理屈な訳だす。サブカル大学生は。
髙﨑駅のホームでなんだか思い出せそうです。私の出自が。
というか、元の世界に戻れそ、、、
ジリリリリリリ、。
おはようございます。
なんだ夢か。夢でした。
夢オチしほです。すみません。
悪夢から目覚めたら腹が減りました。
何食べようかな。
寒いですね。日本の冬は非常に寒いです。夏が待ち遠しいです。
まだ3月なので寒いです。でも変な夢を断ち切るために、さっぱりしたものが食べたいです。魚介とか。生魚なんか最高ですね。
朝にご飯は食べたくないから、手巻きよりも刺身かな。
でも鯖缶食べたいなぁ。せっかくだし鯖缶の握りでも作りますか。でもやっぱりイカのお寿司は食べたいですね。
完成。
サバ缶の握り、酷暑サマーに置かれましてはイカのお寿司に昇華。
そんな感じ。
相変わらず自分の口からは意味不明な言葉ばかり出てきますが、きっと大丈夫です。
窓の外からはラップバトルみたいなマジカルバナナが微かに聞こえてきますが、気にしなくて、い韻です。
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